「人工超知能」 -生命と機械の間にあるもの-
井上智洋(著)
/秀和システム
作品情報
人工知能(AI)の進化は目覚しく、高度な自立性を持つAIやロボットが登場する日も間近に迫っています。その時、AIは人間の知性を超え、反乱を起こす日が来るのでしょうか。本書は、文系の学生やビジネスマンでも簡単に理解できるように、哲学的議論をからめてAIの基礎知識や未来像を具体的にわかりやすく解説しました。「知性とは何か」「意識とは何か」という哲学的議論を通して、AIを科学的に正しく理解できるようになります。
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商品情報
- 著者
- 井上智洋
- ジャンル
- コンピュータ・情報 - コンピュータ・インターネット
- 出版社
- 秀和システム
- 書籍発売日
- 2017.07.25
- Reader Store発売日
- 2017.10.27
- ファイルサイズ
- 2.8MB
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この作品のレビュー
平均 3.7 (11件のレビュー)
-
AIと人間の関係性について。語り尽くされたテーマにも見えるが、本著は、やや散逸しながらも、あらゆる角度から本テーマを再確認する。
「メタ思考」というキーワードが用いられる。少し使い方は異なるかも知れ…ないが、AIを制作する、よりメタな立場である人間をAIが超えられるかと問いかける。人間が神を超えられないように、AIは人間を超えられない。しかし、人間の親子関係を見れば「トンビがタカを産む」事は十分にあり得るし、ここで言うAIとの関係性は、あくまでも競争種目で語られるべきなのだろう。言語生成のみならば万能型だとしても、自律自走、アームを付けたロボットには、用途以上の機能を持たせると高コストになるからだ。
種目別に見た時、既にAIに代替された労働、人間が優位な分野というのが、まだ疎らにある事が分かる。例えば以下の内容だ。
ー ホワイトカラーの仕事は、情報の流れを制御することであり、端的に言うと情報処理。帳簿や契約、株価、法律等の情報。コンピューターというのは情報処理する機械であるから、AIの進化による代替可能性が高い。またAIブームが起きるずっと前から航空チケットやホテルの予約、決済といった手続きは単純な情報処理であるため、既にネット上の旅行サイトにとって代わられていた。
ー トレーディングロボットは、高頻度取引と言って、0.001秒単位で戦略を変えながら取引を行えるので、超短期的なトレードでは、人間はほとんどこうしたロボットに勝てなくなっている。東京証券取引所では、取引の40%以上がトレーディングロボットによって行われている。
ー 一方、会計業界では4大監査法人によって寡占されていて、4社が横並びの状態にあるため、4社が大々的にITを導入し、価格破壊をしようなどと目論むようなことがなければ、劇的な変化は起きない。そしてそれは今のところ動きがない。なぜなら、企業に売掛金がある場合、相手企業に対する買掛金があることを確認するための作業は、会計システムどころか未だに郵便で行われている。
ー マイケル・ポランニーは暗黙知と名付けた。暗黙知の有名な例は、人の顔の認識。私たちは、人の顔を1000人、100万人の中からでも見分けることができるが、どのようにして自分が知っているかを見分けるのかわからない。
ー 人を殺害する軍事用ロボットは既に実戦配備され始めている。例えばサムスンのグループ会社が開発した監視用ロボットで、韓国軍によって北朝鮮との国境沿いの非武装地帯に配備されているロボットは、韓国軍の指揮センターから命令があったら、敵を感知してマシンガンをブッ放すことができる。
人間の余暇が増えるのであれば、AIによる労働の代替そのものは忌避する問題ではなく、寧ろ、特定の人間や、よもやその人間にすら統制できぬ暴走状態が危険だと認識しなければならない。あるいは、逆にAIにより人間が統制される状態だ。人間とは、子供に爆弾を持たせたテロを行うような生き物でもあり、悪意に操作されるAIの誕生もリスクとして避けられない。既にドローンも兵器化している。願わくば、人道的な法整備が後追いにならぬよう。続きを読む投稿日:2024.02.11
副題を注視すれば分かるように
技術的側面にも触れながら、より主題として取り上げているのは我々の知能や思考の問題である。
科学万能の謳われる現代の、その先鋭であるAI技術においてこそ
人文学や哲学の思考…は活かされるべきだという意見を散見するが
本書ではそういった思考のあり方を「私見を交えたもの」と前置きし断定的に答えることはせず、近未来の人々のあり方について(それは過去現在にも相通ずる)思索する足場になる。続きを読む投稿日:2021.12.21
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