長生き地獄
松原惇子(著)
/SB新書
作品情報
2015年の国勢調査確定値によると、75歳以上の人口が、14歳以下の子供を上回ったという衝撃的な報告が出ました。
人間の長い歴史のなかで、これだけの「超高齢社会」は初めて。人類は未曾有の事態に遭遇する。
いま、私たちは、これまでタブーとされてきた「死に方を決める」という課題に直面している。
これからの長寿は必ずしも幸福ではない。「長生き=幸福」という価値観は崩壊しつつある。
生涯未婚率が増加傾向にあるなか、単身高齢者の増加は必至。
老人がたくさんの家族にみとられ、惜しまれつつ逝く姿は、もはや幻想でしかない。人間はどこかで自分の命をしめくくることを考えなければいけない時代に入ってきた。
「尊厳死」や「安楽死」は、長生き地獄のなかで唯一残された生きる希望。
老いさらばえるなか、ゴールの見えない人生を歩き続けるのは辛すぎる。「あそこまで頑張れば休めるよ」という希望が欲しいだけ。
別に自殺したいわけではない。「死=(安楽死・尊厳死・自選死)」という希望があるだけで、人を今日一日を頑張って生きられるのではないか……。
延命治療や在宅医療、老人ホームなど、長生きの実状をつぶさに取材してきた著者が、これからの死に方と生き方を問う本!
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商品情報
- シリーズ
- 長生き地獄
- 著者
- 松原惇子
- 出版社
- SBクリエイティブ
- 掲載誌・レーベル
- SB新書
- 書籍発売日
- 2017.08.04
- Reader Store発売日
- 2017.08.04
- ファイルサイズ
- 1.2MB
- ページ数
- 192ページ
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この作品のレビュー
平均 4.5 (5件のレビュー)
-
あなたは何歳まで生きたいですか?
超高齢社会の日本。人生100年時代と謳われるものの、「長生きしたくない」人が急増している。
それはなぜか、長生き地獄の現場、有料老人ホームで目の当たりにした。
…こんなにゾッとする怖い本はここ最近なかったなと思うくらいでした。
どこかで紹介されていたのを見て、どうしても、今すぐ読みたい!という気持ちになった本です。
作者の選んだタイトルは、学生の頃から私がうっすらと考えてきたことと一致しています。長生きはしたくない。この本を読んでよりはっきりと定まりました。長生きは、絶対にしたくない。そして自分で自分の人生を切り開くためには、個々で死生観を持つだけでは足りないということが分かりました。
意識不明で救急車で運ばれた家族を前にして、医者に「命だけは助けてください!」今まではこの言葉に違和感なく受け入れていましたが、今となってはそんな自分のエゴを押し付けることは言えない、でも言わずにいられるのか?!となりました。
自分に関しては、延命治療はして欲しくないと思っていても、自分の親が危篤状態の時にどう判断するのか、親はどうして欲しいのか、何も知らないままでは判断を誤るなと思いました。
そして自分がもし危篤状態となった時に、配偶者や子供達に判断を委ねないといけない(自分は話せないから)。
どんなに死生観について気持ちをシェアしていたとしても、死にゆく人を前に「どんな方法を使ってでも助けて欲しい、死んでほしくない」と言ってしまいたくなる気持ちはとてもよく分かる。縁起でもない話と嫌がられても、死生観について家族とシェアし続けることが自分や家族個人の幸福な死に繋がるのだと思いました。
私は割と若い頃から自分の理想の死に方がはっきりしていました。おばあちゃんの自分がコタツで孫たちに囲まれてミカンを食べている時に老衰で息をひきとる。「おばあちゃん?おばあちゃん??おかあさーん!おばあちゃんがー!!」という死に方。
しかし本書を読んで、この理想がとてつもなく贅沢で到底成し得ない死に方であるということがよく分かりました。もう今の日本で、これからの日本でこんな死に方はできない。それでも理想に近づけるため、死に場所、死に方を考え、家族と根気よくシェアしていく必要がある。その努力を怠ると、口から栄養が取れないくらい衰弱していても、体に穴をあけて痛い嫌な思いをしてただただ延命させられる。そんな死に方はごめんだ。続きを読む投稿日:2020.02.01
延命治療・介護がいかに無意味なことかに気づきました。つくづく何も考えず「当たり前」と思っていたことに大きな過ちが潜んでいるものだと感じました。
投稿日:2023.01.03
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