- 最新巻
魔の山(下)
トーマス・マン(著)
,高橋義孝(訳)
/新潮文庫
作品情報
カストルプ青年は、日常世界から隔離され病気と死に支配された“魔の山”の療養所で、精神と本能的生命、秩序と混沌、合理と非合理などの対立する諸相を経験し、やがて“愛と善意”のヒューマニズムを予感しながら第一次大戦に参戦してゆく。思想・哲学・宗教・政治などを論じ、人間存在の根源を追究した「魔の山」は「ファウスト」「ツァラトストラ」と並ぶ二十世紀文学屈指の名作である。
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この作品のレビュー
平均 4.1 (20件のレビュー)
-
このレビューはネタバレを含みます
ドイツ教養小説。
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ドイツにはそんなジャンルがあるのかと尻込みしてしまう。
職場が変わって1年。
『文章の改行は文節ごとに。単語の途中など、意味上の切れ目でない場所で改行するのは美しくない』という社内のルールに、どうも馴染めない。任意の場所で改行して良いなんて学校では習わないはずなのに。
そんな時、上巻322-323頁を開いて唸った。1度も改行のない見開き。これだ、これだよ。
いつか読んだネットの記事で、保守と革新の分岐点についての解説があった。
曰く、人類の進歩の可能性をどう評価するか、にあると言う。
人類は過ちを犯すし堕落もしてしまう。従って過去の教訓を活かして再発防止を積み重ねるしかない。特定個人に依存するのは危険であると考え、過去から学ぶ、あるいは(堕落する前の)過去に戻ろうとすると、保守的になる。
いや、人類は進歩することができるし、これまでにない新たな価値や枠組みを構築できる。過去にはなかった何かを提げた特別な誰かが現れる日が来る。進歩を信じて新しいものを求めると、革新的になる。
確か、そんな話。
俗世から離れて療養に専念するする環境で、直子とレイコさんにも出会うんじゃないか思っていたら、順番はその逆。ワタナベが阿美寮に持っていくのが魔の山だった。
なんだってそんな本を、とレイコさんは言う。そりゃ言うよな、無事には出られぬ天国地獄。
(物語を終えるのに)まさか7年とはかかるまい、とまえがきで筆者が言い、3週間で旅は終わると主人公が繰り返し言う。結局主人公は7年滞在し、筆者は物語を終えるのに12年を費やした。
最初の数日がたっぷり時間をかけて描写される。
変化に富む毎日とは、その時はあっという間に過ぎていくように感じるかもしれないが、振り返れば長く感じる。一方で規則的で単調な時間は、振り返って見ればただの1日に過ぎないように感じられる。そんな話が挿入される。
すると、物語の中の時間がどんどんスピードアップして行く。まさに規則的な毎日が圧縮されて進んで行く。
物語の中で、時間は完全に支配されている。
話の中で、人類の進歩を信じた教師は、ライバルを失い、生徒も失った。自身の命もそう長くはなく、仕事は達せられそうにない。
人類に懐疑的だった宗教家は、傷つき憤った挙句に自死を選んだ。
その後には、保守も革新もない。戦争がやってくる。
主人公の内面に寄り添って来たところから一変。
従軍が始まるや、描写は急に彼から距離が取られる。よく知った家族・友人が・知人が戦場を駆けて行く。一体何の為に?
そして堪らず作者が主人公に語りかける、『さようなら』。
長く困難な物語に付き合うのは率直にいって退屈で苦痛でもあったが、こうして終わる頃には感慨も少なくない。不思議なもので、物語を通していつしか心情も支配されていたんだろうか。投稿日:2018.04.07
いわゆる教養小説の代表作に位置し,明治の日本文学にも多大な影響を与えていることから,研究目的で読む分にはやりやすいだろう。
投稿日:2024.02.21
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