戦争と平和(二)
トルストイ(著)
,工藤精一郎(訳)
/新潮文庫
作品情報
ロストフ伯爵家とボルコンスキイ公爵家の人びとの交際。また、旺盛な実行力に富むアンドレイと、繊細な感受性で自己の内面に没頭し人生の永遠の真理を探究するピエール。二人の若い貴族に仮託してトルストイの深淵な人間観が吐露され、彼らの生活を通してロシアの実態があざやかに写し出される。本巻は、全編の中でもっとも詩的な部分であり、多くの美しい印象的場面が展開される。
もっとみる
商品情報
- シリーズ
- 戦争と平和
- 出版社
- 新潮社
- 掲載誌・レーベル
- 新潮文庫
- 書籍発売日
- 2005.12.01
- Reader Store発売日
- 2017.01.27
- ファイルサイズ
- 0.9MB
- シリーズ情報
- 既刊4巻
以下の製品には非対応です
このコンテンツは”PRS-650/350”には端末の制約により対応しておりません。予めご了承ください。
この作品のレビュー
平均 4.5 (22件のレビュー)
-
1巻は序章だったのか?と思えるくらい2巻で一気に物語が動き出す
ぼんやりしていた各人物像と関係性がクリアになっていき、ようやく読みやすくなる
こんな長編モノは恐らく二度と読めないので備忘録の…ため、あらすじを残しますのでネタバレご注意ください
あまりに膨大なので主要人物にそってまとめることに
■ベズーホフ家
ピエール
莫大な財産を手に入れたちょいダサ男(眼鏡&太っちょ)のピエール
妻エレンが他の男(ドーロホフ)と親密になり逆上して決闘をしちゃったり…
はたまたフリーメイソンに入会しちゃったり…
(秘密結社の宗教団体というよりここでは村の寄り合いの延長みたいな感じだけどね)
勘違いに突っ走り、私財を投じて聖堂を建設したりと、かなり寄付をしている模様(いいように巻き上げられております)
うーんかなり精神的に参っていらっしゃる
しっかり踏みしめようと努めるほど、ますます足下から沈んでいくのを感じるピエール
求めているものとのギャップに苦しみすさんで荒れた生活が続く…
まだまだ青いピエール君
環境を変えたって駄目なのよ、君自身が変わらないとね
純粋で良い子なんだけど、意志も弱く流されやすいし、何か変えたいと思っても頑張るも観点がズレてるし…
不器用で困ったちゃんである
本来は愛されキャラなんだけどなまじ財産と悪妻をもってしまったばっかりに運命にもてあそばれている真っ最中
■ロストフ家
ロストフ家のお坊ちゃマンこと長男ニコライ
もう呑気で平穏な良家のお坊ちゃまではいられなくなり試練が立て続く
試練その①
ピエールと決闘し負けたドーロホフ
今度はソーニャに惹かれ、厚かましくもプロポーズ
ニコライを愛しているソーニャはもちろんきっぱりお断り
腹いせにドーロホフはニコライを賭博の席に招き、こてんぱんにニコライを叩きのめし大損させる
財政難の父に頭を下げ借金をするハメに…(しかしドーロホフって恐いわぁ!サイコだ)
試練その②
連隊へ戻ったニコライ
ドイツのとある村で足止めを食らうことをきっかけに補給が途切れだし、連隊が飢餓状態に
仲間であるデニーソフが飢えた隊員のため味方の歩兵から食糧を略奪し暴力沙汰となり、傷を負ったデニーソフは病院へ
(ちなみにデニーソフはニコライ妹のナターシャにプロポーズ、が母親にしっかりに断られる)
入れられた病院はあふれんばかりのチフス患者ばかり
痩せて黄濁している者、多くの意識のない者、さらには漂う死臭(死体の片付けが追いつかないのだ)
デニーソフの大ピンチのためにプライドを捨て、野心家マザコンのボリスを頼る
ニコライはまっすぐな気持ちを持ちながらも、大人の駆け引きをしなくてはならない世の中に嫌気を感じつつも立ち向かう
試練その③
遅ばせながらようやく居候ソーニャの魅力と変わらない彼女の愛情に改めで気づくニコライ
が、二人の結婚に両親は猛反対
特に母親はこの財政状況を立て直してもらえるような資産家との結婚を願うため狂ったように反対
大いに反発し、親子の縁が切れる直前までいってしまう
とうとう母親は病床に臥せる
…とまぁ、こんな試練が続く続く
兎にも角にもロストフ家の経済状況がかなり悪化している状態
母親から帰郷をせがまれ、父に代わり立ち向かおうとする
戦時下っぽい出来事にも立て続けに巻き込まれていく
果たして自分の力でどこまで這い上がれるのだろうか
でもね世間知らずだったニコライ君
なかなか頑張ってるのよ
少しずつだけど大人になりつつあるわよ~
一方、天真爛漫のおきゃんな娘ナターシャ
ナターシャは16歳に
もう4年も会っていない(一応彼氏だった)野心家ボリスとは母親の反対もありジ・エンド
さて次なる出会いは素敵な舞踏会
踊りの得意なナターシャをアンドレイが誘い二人は恋に落ちる
生命の抜け殻となっていたアンドレイに幸せが訪れる
しかしアンドレイの頑固な禿山引きこもりの老父(ボルコンスキー公爵)が大反対
二人に試練を与え、1年会えない遠距離恋愛となる
最初のうちは「ママあの人に会わせて!早く!」と駄々っ子レベルだったが、
時間の経過とともに鬱屈した気持ちが腐りだすアンドレイ不在の彼の実家ボルコンスキー公爵家を訪れることになるナターシャ
追い打ちをかけるように、老父から今まで受けたことのないほどの冷遇を受け、心がさらに折れまくる
そんなナターシャの目の前に現れたのが成金貴族クラーギンの息子アナトーリ(禿山老父の娘マリヤを狙っていたが失敗した最低男)
傷ついた心の隙をチャラ男アナトーリがすかさず狙い撃つ
弱り切って隙だらけのナターシャがまさかのご乱心
駆け落ち未遂にまでに発展し大問題に
心より頭が先に動いてしまうアンドレイは冷静にきっぱりナターシャと別れる
どうなるナターシャ!?
さてロストフ家絡みでとても気に入ったシーンが2カ所ある
その①犬追猟
猟犬130頭と20数名の騎馬の猟師が繰り出す大掛かりな狩り
このシーンはスピード感とリアルさを感じる描写が生き生きとして面白い
ちょっと映像で見てみたい
(ロストフ家経済状況本当に悪化してんの?庶民にはお金持ちのレベルがよくわからない)
その②伯父の家
このシーンは今までの本書で一番お気に入りだ
丸木の裸壁のあまり清潔ではない小屋
素敵な家政婦の素敵なたくさんの料理
(料理の描写がにくいにくい ほかほかした湯気とおいしそうなにおいが立ち込めているのがわかる このお家に招かれたい!)
すべてに潤いと、まじりけのなさと、白さと、快い微笑がこもっている素敵な家政婦
そしてバラライカ(ロシアで人気のあるギターに似た楽器)やギターの神がかった演奏
たまらずナターシャが踊り出す
素朴で暖かい幸福な時間
(こちらは映像化しちゃダメよ 膨らむ妄想をめいっぱい楽しめるシーンなんだから!)
■ボルコンスキー公爵家
アンドレイの妻リーザが産気づく
いよいよ…というときアンドレイが戦場から帰ってくる
一瞬の再会直後妻リーザは死ぬ(無事出産)
逆に精神的に参ってしまったアンドレイは軍務につかず2年間もの間引きこもる
しかしここでまさかのピエールが(失礼)アンドレイの心を動かす
アウステルリッツ以来はじめてあの高い青空を見る
そうナポレオンと会った時、彼の背景に見た青く高い空
彼の内部に眠っていたよりよい何かが目を覚ます
アンドレイの心境の変化には自然の風景が伴い美しく分かりやすい
この描写方法が面白い
こういうところはトルストイ作品の素敵なところだ
一方老父と娘マリヤはモスクワへ
老父の老衰が進行し、忘れっぽいわ、怒りっぽいわ…とさらに嫌な頑固爺に!
完全なる虐待者となり娘マリヤを辱め、卑しめ、挙句の果てに出て行けと言わんばかりに…
ひぇ~歪んだ愛情が怖すぎる
孤独で追い詰められつつあるマリヤ
そんな中、兄の2人目の嫁になるかもしれないナターシャに対してよい感情を持てない
マリヤも心の拠り所がまったくなくなってしまい、崩壊寸前!
というわけで2巻は戦争描写等は一切なく、どちらかというと、各登場人物たちの目まぐるしい動きがドラマ仕立てとなり読みやすい展開に
歴史的にはロシアとフランスが最初の講和条約が署名される
印象的なのはピエールとアンドレイの真逆なキャラ
悶々としながらピエールが考えていた「領地改革」
それをあっさり行動に移しを実行してアンドレイ
対照的な二人の行動を物語っている
器用で感情より先に頭で考えてしまうアンドレイと不器用で気持ちが内側にばかり向いてしまい空回りするピエール
二人の長所短所がかわるがわる波のように満ちたり引いたりする様は興味深い描写だ
そしてナターシャのまさかの大波乱
さらにはマリヤとナターシャの複雑な心境のぶつかり合いが興味深い
二人はそれぞれ良い人柄(特に「戦争と平和」の登場人物の中ではかなり良い方)なのだが、
人間のもつ嫌らしい部分がここで露出する
トルストイの鋭い感性が光る部分
さぁ盛り上がってきたよ~
なのだが、何だろう…
読みだすと止まらないし、面白いとは思うのだが…
1冊読み切る間に、なんとなーく他の本に浮気したくなる
内容がモリモリ過ぎで疲れるというか…
うーん…確かに面白いのだがトルストイは相性がよくないのだろうか…
続きを読む投稿日:2022.10.26
5つのロシア貴族の家、ストーリーの展開が次第に明確になり、方向付けられてくる。ロストフ家の狩猟のシーンは美しいロシアの自然にトルストイの愛情が向けられているようで好きだ。また終盤でのナターシャの愛の躓…きとそれに関わるピエールの心の動きは面白い。今後の展開を期待する。続きを読む
投稿日:2023.03.31
新刊自動購入は、今後配信となるシリーズの最新刊を毎号自動的にお届けするサービスです。
- ・発売と同時にすぐにお手元のデバイスに追加!
- ・買い逃すことがありません!
- ・いつでも解約ができるから安心!
※新刊自動購入の対象となるコンテンツは、次回配信分からとなります。現在発売中の最新号を含め、既刊の号は含まれません。ご契約はページ右の「新刊自動購入を始める」からお手続きください。
※ご契約をいただくと、このシリーズのコンテンツを配信する都度、毎回決済となります。配信されるコンテンツによって発売日・金額が異なる場合があります。ご契約中は自動的に販売を継続します。
不定期に刊行される「増刊号」「特別号」等も、自動購入の対象に含まれますのでご了承ください。(シリーズ名が異なるものは対象となりません)
※再開の見込みの立たない休刊、廃刊、出版社やReader Store側の事由で契約を終了させていただくことがあります。
※My Sony IDを削除すると新刊自動購入は解約となります。
お支払方法:クレジットカードのみ
解約方法:マイページの「予約・新刊自動購入設定」より、随時解約可能です続巻自動購入は、今後配信となるシリーズの最新刊を毎号自動的にお届けするサービスです。
- ・発売と同時にすぐにお手元のデバイスに追加!
- ・買い逃すことがありません!
- ・いつでも解約ができるから安心!
- ・優待ポイントが2倍になるおトクなキャンペーン実施中!
※続巻自動購入の対象となるコンテンツは、次回配信分からとなります。現在発売中の最新巻を含め、既刊の巻は含まれません。ご契約はページ右の「続巻自動購入を始める」からお手続きください。
※ご契約をいただくと、このシリーズのコンテンツを配信する都度、毎回決済となります。配信されるコンテンツによって発売日・金額が異なる場合があります。ご契約中は自動的に販売を継続します。
不定期に刊行される特別号等も自動購入の対象に含まれる場合がありますのでご了承ください。(シリーズ名が異なるものは対象となりません)
※再開の見込みの立たない休刊、廃刊、出版社やReader Store側の事由で契約を終了させていただくことがあります。
※My Sony IDを削除すると続巻自動購入は解約となります。
お支払方法:クレジットカードのみ
解約方法:マイページの「予約自動購入設定」より、随時解約可能ですReader Store BOOK GIFT とは
ご家族、ご友人などに電子書籍をギフトとしてプレゼントすることができる機能です。
贈りたい本を「プレゼントする」のボタンからご購入頂き、お受け取り用のリンクをメールなどでお知らせするだけでOK!
ぜひお誕生日のお祝いや、おすすめしたい本をプレゼントしてみてください。※ギフトのお受け取り期限はご購入後6ヶ月となります。お受け取りされないまま期限を過ぎた場合、お受け取りや払い戻しはできませんのでご注意ください。
※お受け取りになる方がすでに同じ本をお持ちの場合でも払い戻しはできません。
※ギフトのお受け取りにはサインアップ(無料)が必要です。
※ご自身の本棚の本を贈ることはできません。
※ポイント、クーポンの利用はできません。クーポンコード登録
Reader Storeをご利用のお客様へ
ご利用ありがとうございます!
エラー(エラーコード: )
ご協力ありがとうございました
参考にさせていただきます。