この作品のレビュー
平均 3.9 (22件のレビュー)
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奈良時代の女官たちの働きぶり。
キャラ設定がわかりやすい歴史小説です。
1300年前の平城京、聖武天皇の御世。
宮廷を支える後宮には、多くの女性たちが働いていた。
表紙のイラストのようなキャラ設定で…、読みやすい。
おっとりした若子が上京し、しっかり者の笠女、色っぽく可愛い春世と同室に。
3人とも10代後半で、地方の出身。
若子は出仕するはずだった妹の代わりに急遽仕事に就いたため、覚悟も準備も出来ていなかったが…
後宮には12の司(部署)があり、13歳から30歳までの女性が登用される。
地方の豪族出身だと采女(うねめ)になり、畿内の貴族出身の氏女(うじめ)とは身分の差があった。
総合職と一般職みたいな感じ?
氏女からのいじめみたいなこともあったり(笑)
若子は膳司という職場に配属され、食事の世話をする、といっても料理ではなく主に貴人に食事を運ぶのが仕事。
仕事があまり向いていないと感じ、将来も思い浮かばない。
春世に相談したところ、結婚相手を見つけてもいいと勧められるが…?
笠女は、書司に勤めていて優秀、忙しい時期に男性のする仕事を頼まれて立派にこなすが…
縫司に勤める春世はもてまくり、浮名を流す目立つ存在で、貴族の愛人となって子供も生んだが、子供は本妻に育てられている。
春世の本心は…?
藤原家の有力者である四兄弟と長屋王の権力争いが続いている時代。
どの妃が先に男子を生むかどうかが、勢力図を大きく変える。
3人の娘たちは妃に仕えているわけではないので、直接は関わらないが、やはり影響は出てくるようです。
後に疫病がはやった時代を「火定」で骨太に力強く描き切った作者。
これはまだ、そういう事態になる前、ある意味では平和な時期の物語ということもあり、雰囲気は全く違います。振れ幅大きいですね。
時代考証が詳しい分、最初はわかりにくい部分も、しっかりした背景の裏付けで、読みごたえにつながっています。
藤原四兄弟はのちに疫病で死んでしまうのだが…
娘たちは藤原家とも関わりながらも、働き続け、生き延びる。
それぞれに生き方を探してあがく娘たち。
実はちゃんとモデルがいるというのが面白く、笠女のモデルなどは高位にまで出世し、長生きしたこともわかっていたり。
全く違うようで、現代にも通じるような、女性のつらさ、いやむしろ、たくましさ。
あっぱれです☆続きを読む投稿日:2020.10.08
平安初期の後宮に仕える女官たち。
平安中期の、道長の時代辺りに材をとった小説はたくさんあるが、奈良時代を舞台にするものは初めて読む。
へえ、こんなもの食べてたんだ。
油飯って、割とおいしそう。
年老…いた女官は光永寺という寺で隠居したのか。
女官の官舎に舎監がいるなんて、何か学校の女子寮みたいだなあ。
地方豪族の娘たちである采女たちと、都の豪族の娘たる氏女の対立なんて、いかにもありそうな…。
描かれる生活のディテールがやはり興味深い。
藤原家系譜でしか見たことのない藤原麻呂や房前。
ただの名前が、人に見えた瞬間を味わった。
本当は見目麗しい妹が采女になるはずだったのに、妊娠により「繰り上げ当選」されてしまった十九歳の若子。
官舎で笠女、春世という二人の采女と同室になる。
笠女は、能筆で、男性と張り合える知性の持ち主。
一方春世は美貌に恵まれ、大勢の男性と浮名を流している。
若子は新参で彼女たちと比べても「何もない」。
けれど、実直な勤務ぶりと持ち前の人情の厚さで、さまざまな困難を切り抜ける。
やがて、権力者である藤原房前を恋人にし、さらに彼を利用するしたたかささえ身に着けていく。
春世という人物が面白かった。
いわゆる「女の武器」を使って世渡りする女性だ。
自分の魅力に自覚的で、どう価値を最大化するかを知っている。
そのため、彼女に言い寄る男は引きも切らず、女たちは彼女を「浮かれ女」扱いし、毛嫌いする。
こんな人が身近にいたら、私も偏見を持って対するのかもしれない。
でも、この作品を読んでいると、この人のことが嫌いになれないのだ。
しかし、大貴族である藤原麻呂に生んだ息子を取り上げられ、権門に育つ幼い息子自身にも切り捨てられる。
彼女の孤独さ、悲しみにもクローズアップしているからか?
この本、本当に読むのが楽しかったのだが、最後に僭越ながら苦言を。
帝の子を宿した志斐弖を、長屋王からも藤原家からも守っていかに宮中から逃がすか。
物語は緊迫し、若子は恋人の房前さえも手玉に取ることとなる。
これから、若子はどんな女性になっていくのかが楽しみになってきたところで、物語が終わってしまうのだ。
この終わり方、どこかで見たようなー。
あっ、同じ澤田さんの『泣くな道真』か!続きを読む投稿日:2022.03.20
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