沖縄の島守 内務官僚かく戦えり
田村洋三(著)
/中公文庫
作品情報
島田叡。沖縄県知事。米軍の沖縄攻撃二カ月前に赴任。荒井退造。沖縄県警察部長として島田を迎える。二人は過酷な戦時体制下で、県民保護の困難な仕事に命がけで取り組んだ。共に沖縄戦が事実上終息した一九四五年六月、摩文仁の丘で消息を絶つ。沖縄戦後半世紀を越えて発掘された新事実を基に、二人の男の希有な生き方を丹念にたどった長編ノンフィクション。
もっとみる
商品情報
- シリーズ
- 沖縄の島守 内務官僚かく戦えり
- 著者
- 田村洋三
- 出版社
- 中央公論新社
- 掲載誌・レーベル
- 中公文庫
- 書籍発売日
- 2006.07.23
- Reader Store発売日
- 2016.10.07
- ファイルサイズ
- 6.1MB
- ページ数
- 536ページ
以下の製品には非対応です
この作品のレビュー
平均 4.7 (3件のレビュー)
-
沖縄戦前夜、だれもがしり込みする沖縄県の官選知事、沖縄県警察部長に赴任した二人の官僚、島田叡氏と荒木退造氏。本書は、住民の疎開と食糧の確保に全力を尽くしながら殉職し、住民から島守として戦後長く慕われた…彼らの軌跡をたどっている。
実際の戦闘が始まるまで住民は疎開を嫌がった。疎開児童千数百名を乗せた対馬丸の沈没がそれに拍車をかけた。歴史を振り返るといつも思うのは予防の重要性だが、二人の努力でかなりの人々が北部に移動を終えていたことが住民の被害を多少なりとも抑えたことを著者は強調している。
一方で、戦闘が始まってからの「六十万県民只暗黒ナル壕内ニ生ク」という過酷さは読んでいて辛すぎる。知事が守備隊の首里撤退に強硬に反対したのは「首里を放棄して、南端の水際まで下がるとなれば、それだけ戦線を拡大することになり、いきおい県民の犠牲をおおきくすることになる」(P354)からだった。徹底抗戦を選んだ守備隊が崩壊する中で、住民の被害は加速度的に広がってしまった。
沖縄の実情を本土に伝えるべく編成された警察官の決死隊は全滅。「沖縄県民斯く戦えり 県民に対し後世特別のご高配を賜らんことを」という海軍の太田司令官が打った有名な電報は、著者の推察によれば島田知事の報告を少しでも伝えようとするものだったという。
「一般行政が行われていた一つの県で住民の4分の1がなくなった」地上戦での住民の苦しみ、そして同時に、中央官庁から送り込まれた官僚や警察官の一部が沖縄のためにどれだけ献身的に働いたかをフェアに書き残したいという著者の執念が感じられる本であった。続きを読む投稿日:2019.01.01
『先生、偉い人とはどんな人ですか』。西郷はしばらく沈黙の後、答えました。『偉い人とは大臣とか、大将とかの地位ではない。財産の有無でもない。世間的な立身出世でもない。一言で言えば、後ろから拝まれる人、死…後慕われる人だ』と」
田村洋三さんの「沖縄の島守―内務官僚かく戦えり」という本からです。
本書は1945年の太平洋戦争末期、沖縄戦前夜ともいうタイミングで、沖縄県民の疎開、食料調達、戦場での避難輸送に尽力した末、殉職した2人の官僚、島田沖縄県知事、荒井警察部長について書かれた本です。
開戦当初は戦果を挙げていた日本でしたが、やがて太平洋での制海、制空を失い、アメリカ軍の沖縄上陸をいかに戦うかが重要課題となっていました。
沖縄から逃げる官僚が多発していた中、沖縄県民を救うべく最後の最後まで任務にあたった知事と島田さんで、警察のトップが荒井さんです。
新井さんは1943年、島田さんは1945年に知事として沖縄に赴任します。
島田さんが沖縄に着任後は荒井さんとともに、食料の調達や県外への疎開などに尽力し、また沖縄戦開始後は軍側と折衝し県民の命のために自らを犠牲にしながら奮闘します。
冒頭の言葉は島田さんが、かつて佐賀県に赴任していた際に参加したある勉強会で講師が紹介していた西郷隆盛の言葉で、その言葉を聞いた島田さんが、地位いにうぬぼれ、ちやほやされていた自分を反省し、生涯「後ろから拝まれる人」になりたいと、謙虚な人生を歩む努力をしたとのことです。
リーダーとはこうあるべきと、とても感銘を受けた一冊です。
ぜひ読んでみてください。
いたたまれない。もし島田さんの立場だったら、リーダーとしてあのように振る舞えただろうかと自問自答。続きを読む投稿日:2017.05.30
新刊自動購入は、今後配信となるシリーズの最新刊を毎号自動的にお届けするサービスです。
- ・発売と同時にすぐにお手元のデバイスに追加!
- ・買い逃すことがありません!
- ・いつでも解約ができるから安心!
※新刊自動購入の対象となるコンテンツは、次回配信分からとなります。現在発売中の最新号を含め、既刊の号は含まれません。ご契約はページ右の「新刊自動購入を始める」からお手続きください。
※ご契約をいただくと、このシリーズのコンテンツを配信する都度、毎回決済となります。配信されるコンテンツによって発売日・金額が異なる場合があります。ご契約中は自動的に販売を継続します。
不定期に刊行される「増刊号」「特別号」等も、自動購入の対象に含まれますのでご了承ください。(シリーズ名が異なるものは対象となりません)
※再開の見込みの立たない休刊、廃刊、出版社やReader Store側の事由で契約を終了させていただくことがあります。
※My Sony IDを削除すると新刊自動購入は解約となります。
お支払方法:クレジットカードのみ
解約方法:マイページの「予約・新刊自動購入設定」より、随時解約可能です続巻自動購入は、今後配信となるシリーズの最新刊を毎号自動的にお届けするサービスです。
- ・発売と同時にすぐにお手元のデバイスに追加!
- ・買い逃すことがありません!
- ・いつでも解約ができるから安心!
- ・優待ポイントが2倍になるおトクなキャンペーン実施中!
※続巻自動購入の対象となるコンテンツは、次回配信分からとなります。現在発売中の最新巻を含め、既刊の巻は含まれません。ご契約はページ右の「続巻自動購入を始める」からお手続きください。
※ご契約をいただくと、このシリーズのコンテンツを配信する都度、毎回決済となります。配信されるコンテンツによって発売日・金額が異なる場合があります。ご契約中は自動的に販売を継続します。
不定期に刊行される特別号等も自動購入の対象に含まれる場合がありますのでご了承ください。(シリーズ名が異なるものは対象となりません)
※再開の見込みの立たない休刊、廃刊、出版社やReader Store側の事由で契約を終了させていただくことがあります。
※My Sony IDを削除すると続巻自動購入は解約となります。
お支払方法:クレジットカードのみ
解約方法:マイページの「予約自動購入設定」より、随時解約可能ですReader Store BOOK GIFT とは
ご家族、ご友人などに電子書籍をギフトとしてプレゼントすることができる機能です。
贈りたい本を「プレゼントする」のボタンからご購入頂き、お受け取り用のリンクをメールなどでお知らせするだけでOK!
ぜひお誕生日のお祝いや、おすすめしたい本をプレゼントしてみてください。※ギフトのお受け取り期限はご購入後6ヶ月となります。お受け取りされないまま期限を過ぎた場合、お受け取りや払い戻しはできませんのでご注意ください。
※お受け取りになる方がすでに同じ本をお持ちの場合でも払い戻しはできません。
※ギフトのお受け取りにはサインアップ(無料)が必要です。
※ご自身の本棚の本を贈ることはできません。
※ポイント、クーポンの利用はできません。クーポンコード登録
Reader Storeをご利用のお客様へ
ご利用ありがとうございます!
エラー(エラーコード: )
ご協力ありがとうございました
参考にさせていただきます。