- 最新巻
スティーブ・ジョブズ 無謀な男が真のリーダーになるまで(下)
ブレント・シュレンダー(著)
,リック・テッツェリ(著)
,井口耕二(訳)
/日本経済新聞出版
作品情報
1985年、スティーブ・ジョブズは自身が創立したアップルから追放される。問題行動も多く、社内を混乱に陥れたとされている。その「変人」は、なぜ96年にアップルに復帰するや、「現代を代表する経営者」、「ビジョナリー」となったのか?
講談社から発売された公認伝記『スティーブ・ジョブズ』には、詳しく語られなかった部分がある。それは、ジョブズがアップルから追放され、ピクサーとNeXTを立ち上げていた時代である。その間にどのような人間的変化があったのか。
NeXTに移ると、ジョブズへの世間からの注目度は低くなり、人材を含めたリソースも、アップルほどではなくなる。そうなると、彼はこれまで正面から向き合ってこなかった「会社経営」を学ばないといけなくなった。
新会社に移って真剣に取り組んだのがマーケティングだ。アップル時代は会社が大きかったので、こういったことは他人に任せて、自分は商品開発に打ち込んでいた。また、人心掌握にもたけるようになる。時を同じくしてローリーンと結婚したことも大きい。「人」への関心が高まっていった時代だ。
ジョブズというと、その個人の発想力、企画力、ちょっとずれると、その「変人」ぶりばかり注目されるが、本書からは意外にもその「ビジョナリー・リーダー」の姿がはっきり見えてくる。その後、アップルに戻ると世間の予想をくつがえす能力を発揮し、iPhone、iPad、iTunesといった革新的アイデアを次々と実現させていく。その姿は、80年代の「マックの美しさに固執する変人」ではなかった。
本書は、フォーチュン誌記者としてジョブズと25年以上にわたる親交を持つ著者が、折々に取材したテープ(30本以上)を再構成し、さらに公認伝記には協力しなかった人物にもアクセスして書き下ろした話題作。すでに世界20カ国以上で翻訳されている。
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商品情報
- 著者
- ブレント・シュレンダー, リック・テッツェリ, 井口耕二
- 出版社
- 日経BP
- 掲載誌・レーベル
- 日本経済新聞出版
- 書籍発売日
- 2016.09.07
- Reader Store発売日
- 2016.09.23
- ファイルサイズ
- 5.8MB
- ページ数
- 352ページ
- シリーズ情報
- 既刊2巻
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この作品のレビュー
平均 4.3 (4件のレビュー)
-
「アイザックソンの本なんてひどいもんですよ」
著者はビル・ゲイツとも古くから親しく、彼の話も本書には詳しいが、ジョブズ以上の先見の名や慧眼に驚かされる。
プログラムにもお金が支払われるべきだという彼のマニフェストは、時代の流れを変えたし、パーソ…ナルコンピューターが企業中心になりつつあると最初に気づいたのも彼だ。
ジョブズは、マイクロソフトが事業用を基本として業界を次々と標準化していく過程でできた、個人用という穴を突き進むことで活路を見いだした。
これは、ゲイツが作ってくれた穴でもある。
ラスベガスにおけるゲイツの「デジタル家電プラス」構想も、来るべき未来を正確に予言していた。
このゲイツの構想に驚き、ジョブズに「マイクロソフトにやらせちゃだめです。これは我々がやるべきことでしょ」と談判したのがアップルの幹部たちで、後の「デジタルハブ」戦略に結実する。
このように権限を委譲されたジョブズの部下たちは、アップを牽引するまとまりのあるチームで、激しやすく気難しいジョブズをうまくあしらい、時には押し戻す力まで持った、成熟したグループだった。
「自分たちにとって最良と思える方針をスティーブに承認してもらうにはどうしたらいいのか、スティーブの専制的な決定や浅慮な決定、あるいは先入観などをどうすれば突破できるのか、あるいはどうすれば迂回できるのか、さらには、スティーブが次に向かう先を予想しようと、折々、関係するメンバーが集まっては相談していた」と元幹部のテバニアンは語っている。
そもそもジョブズは、食事に誘うといった、チームをまとめるためにリーダーがよくやることを何一つやっていない。彼はただ彼なりのやり方で、二人きりで散歩に誘うのだ。
ジョブズには、簡単にあきらめない粘り強さや、スピリチュアルな感覚が生む視野の広さといった優れた特質があるが、部下たちのやる気を引き出す力も類いまれなものがあった(そのための金銭的な報酬も惜しまなかった)。
本書の後半は、彼の飼いならすことができず残ってしまった欠点も取り上げ、弁明しがたい行状の数々も率直に語られ、単なるジョブズ万歳本になるのを防いでいる。
公式伝記本を嫌悪するティム・クックのジョブズとの思い出は、本書でしか読めない感動的な場面が多く、自らの肝臓の提供をジョブズに申し出ていたとは知らなかった。続きを読む投稿日:2017.12.07
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ジョブズの成長を学ぶことができた。天才によくあるように性格には難があったが、それでも世の中のことを常に考え行動していくことで、彼を慕う多くの友もいた。家族を大切に考える人だったということにも驚いた。優…秀な人はなぜ早く逝ってしまうのか。まさに太く短い人生。その中でも数多くの失敗と挫折と成功を経験し、人々の生活を一変させるものを生みだした。その恩恵に預かっている身として、素直に感謝したい。世の中にどのような価値を生み出すか。社内政治的なことばかりに目を向けている今の会社の考えにとらわれず、その一点を軸として持ってこれから仕事にのぞんでいきたい。続きを読む
投稿日:2018.12.08
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