昭和の鉄道
須田寛(著)
/交通新聞社新書
作品情報
トップリーダー必読。今、昭和に学べ! 長年にわたって日本の鉄道経営の中枢にいて、それぞれの時代の舵取りをしてきた著者が、環境問題、エネルギー問題などで鉄道に対する新たな期待が高まっている現在、今後のあるべき鉄道の展開を視野に入れながら、あらためて振り返った昭和の鉄道史。明治・大正の前史から、戦前の興隆期、戦時下、戦後復興期、高度経済成長期、昭和40年代以降の転換期までの、それぞれの時代の実像を多彩な資料とともに解説する。【著者】須田 寛(すだひろし)昭和6年生まれ。29年3月京都大学法学部卒。同年4月日本国有鉄道入社、昭和62年4月東海旅客鉄道株式会社代表取締役社長、平成7年6月同社代表取締役会長、16年6月同相談役。主な著書に『産業観光』『新・観光資源論』『東海道新幹線50年』『新・産業観光論』(交通新聞社)など。
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商品情報
- シリーズ
- 昭和の鉄道
- 著者
- 須田寛
- 出版社
- 交通新聞社
- 掲載誌・レーベル
- 交通新聞社新書
- 書籍発売日
- 2011.04.15
- Reader Store発売日
- 2016.09.23
- ファイルサイズ
- 16.7MB
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この作品のレビュー
平均 4.0 (2件のレビュー)
-
昭和を中心とする時代(=国鉄があった時代)までの鉄道会社のサービスを時代ごとに分析した一冊。
本の冒頭でも書いているとおり、鉄道の技術史的な本は多いのですが、サービス・経営の変遷はあまり取り上げられ…ない。それをまとめた本としては貴重。
主に国鉄の経営を営業面から取り上げている本なのですが、「対策が後手後手に回りやすい組織」の例としても興味深かった。特に、「戦後は運賃決定が法律(=決定者が議員)だが独立採算」という状態で、さまざまな対策が後回しになり、それがスト権ストなどの形で噴出した」という流れは、ある意味いまの多くの企業の現状でもあり、興味深かった。
ただ、状況変化に合わせた経営判断を適当なタイミングでできる経営者がいるか否かが、成功した私鉄との違いでもあったんだろうな、と。
大正期に整備された幹線・準幹線以外が、平成のこの世では微妙に要らない子扱いなのを見つつ、「100年を見抜くことって難しいな」と。「成功であれ失敗であれ鉄路は残る」鉄道の興味深さを再確認した一冊でした。続きを読む投稿日:2017.07.17
平成も31年4月で終了することが決まり、昭和は愈々遠くなりさうな感じです。そんな昭和の鉄道史を振り返つてみませう。
著者はJR海の初代社長にして、現在は同社の相談役の須田寛氏であります。この方は物凄い…人なんですが、まあここでは経歴は省略。今年で86歳とのことですが、先日もTVに出演してゐるのを拝見し、まだまだお元気であることが分かり愉快になりました。
『昭和の鉄道』は、文字通り昭和時代の日本鉄道史を概観する一冊。国鉄が解体されてJRグループが発足したのが昭和62年なので、まあ昭和の鉄道史はずばり国鉄(官鉄)の歴史とも申せませう。
更に本書では「前史」として、明治期と大正期の鉄道史に、それぞれ一章を設けてゐますので、そのまま「日本鉄道史」の体裁を整へてゐます。
章割は「昭和の鉄道Ⅰ」~「昭和の鉄道Ⅴ」に分けられ、それぞれの章で「国鉄旅客運輸の動向」「貨物運輸の動向」「民鉄の動向」について触れます。
この種の本は、どうしても国鉄の旅客事情に偏りがちですが、さういふことのないやうにとの、著者の律儀な面が出てゐます。まるで学術論文みたい。
国鉄~JRにかけて常にその中枢で活躍してきた著者だけに、「鉄道と乗客(大衆)」の距離感について敏感な記述が目立ちます。両者の距離が極めて近かつた戦前の黄金期、次第に乖離が見られる戦中輸送事情、車両不足が殺人的混雑に拍車をかけた戦後直後の、サービス以前の時代、そして復興とともに再び近くなる距離感、しかし国鉄末期の度重なる値上げやストによる「国鉄離れ」......単なるテツが書いた本とは違ふな、と思はせるところです。
逆に、身内だからといふ訳ではありますまいが、事故・事件や不祥事についてはあまり触れられてゐません。特に下山事件をはじめとする国鉄三大事件などは、どこにも記述がありません。せめて年表くらゐには載せればいいのに。
しかし全体としては、その長い歴史をまことにコムパクトに纏めた好著ではないかと思ひます。こんな感じで、『平成の鉄道』も執筆して頂きたい喃。
http://genjigawa.blog.fc2.com/blog-entry-732.html続きを読む投稿日:2017.12.14
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