この作品のレビュー
平均 4.0 (13件のレビュー)
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文章が読みにくい。
他、難しい熟語、雅語などが出てくる。
『エンデの読んだ本』より「マリオネット芝居について」で興味を持ち購入。
この評論の切れ味が良すぎて、ほかの短編作品もいいのだが、それを読んだ…時ほどの衝撃は得られなかった。続きを読む投稿日:2013.05.19
ドイツの小説家・劇作家ハインリヒ・フォン・クライスト(1777-1811)の
掌短編小説6編+エッセイ2編を収録した作品集。
文筆で身を立てるべく奮闘しながら挫折を味わいもし、
最期は交際していた女性…と心中――という、
短くも過激な生涯を送った人物による、
ヨーロッパと南米を舞台にした
風変わりな味付けの人間ドラマが並んでいる。
内容もさることながら、
発表時は宗教界の力が強かったため、
当時の社会通念に照らして、
けしからん内容だと一蹴された小説が、時代が下るにつれ、
価値観の変化に伴って評価が高まっていったという事実が
胸を打つ。
■チリの地震(Das Erdbeben in Chili,1807)
1647年、チリの首都サンティアゴ。
ジェローニモ・ルグェーラ青年は
家庭教師を務めていた貴族の娘ジョセフェと
恋仲になったことが露見し、クビになった。
ジョセフェは修道院へ送られたが、
ジェローニモは彼女との逢引に成功し、結果、
修道女の妊娠が発覚するというスキャンダルに。
神への冒瀆とて各々投獄されたが、
ジェローニモが絶望して自殺を図ろうとした瞬間、
大地震が発生した――。
*
災害文学の古典であり、
非常時における共助と信仰の問題が俎上に。
体面や家名を重んじ、
自由を抑圧するのが普通だった
古い時代の常識に異を唱える若者の悲劇が、
発表から長い時間を経て、時代が下るにつれて
高く評価されるようになっていったことが興味深い。
反逆児クライストは天国で笑っているだろうか。
■聖ドミンゴ島の婚約(Die Verlobung in St. Domingo,1811)
19世紀初頭、ハイチでの黒人による暴動と
白人虐殺の最中に出会った可憐な混血の少女トーニと
スイス人でフランス軍将校の青年
グスタフ・フォン・リートの恋。
*
後年、合意の上で恋人を射殺して
すぐさま後を追ったという作者クライスト自身の姿が
二重写しになる。
■ロカルノの女乞食(Das Bettelweib von Locarno,1810)
スイス南部ロカルノにて、さる侯爵の古城に現れた、
年老いて松葉杖を突いた病身の女。
侯爵夫人は彼女を憐れに思い、一室を宛がったが、
侯爵はそれをよしとせず、追い立てた。
彼女は命じられたとおり暖炉の後ろに移動したものの
息絶えてしまい……。
*
短くて味わい深い恐怖譚。
侯爵の愛犬が見えない幽霊の存在を感じ取って吠えると、
それに合わせたように松葉杖を床に突く風な音が響いた
という条が白眉。
■拾い子(Der Findling,1811)
ローマの豪商アントーニオ・ピアキは
息子を伴なってラグーザへ。
そこで疫禍に見舞われ愛息を失ったが、
偶然出会った孤児ニコロを代わりに家へ連れ帰って
育てることにした。
アントーニオの若い後妻エルヴィーレは
ニコロを歓迎し、
家族は幸福に暮らしていくと思われたが……。
■聖ツェツィーリエ或いは音楽の魔力~ある聖者伝説
(Die heilige Cäcilie oder die Gewalt der Musik,1810)
16世紀オランダ(ネーデルラント)に
偶像破壊騒動が巻き起こっていた頃、
ドイツ・アーヘンの学生四兄弟が感化され、
聖ツェツィーリエ修道院を襲撃しようと目論んだが――。
■決闘(Der Zweikampf,1811)
14世紀末、ヴィルヘルム・フォン・ブライザハ大公が
早暁、矢で射られて暗殺された。
華奢で優雅な装飾が施された、その持ち主は誰なのか。
二転三転、激しいセリフの応酬が舞台劇の趣きを醸すところは
戯曲をも物した作者の面目躍如か。
■話をしながらだんだんに考えを仕上げてゆくこと
(Über die allmähliche Verfertigung der Gedanken beim Reden,1878)
未完のエッセイ。
他者とのコミュニケーションを介して
連想的に思考を取りまとめていくことの面白さと
大切さについて。
■マリオネット芝居について(Über das Marionettentheaterr,1810)
1801年、著者は舞踏家の男性と偶然出会い、
その人が参加している人形芝居について話を聞いた。
マリオネットに命を吹き込む使い手の技術について
“話をしながらだんだんに考えを仕上げて”いったこと。
※もう少し詳しいことは後程ブログで。
https://fukagawa-natsumi.hatenablog.com/続きを読む投稿日:2022.11.07
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