シャーロック・ホームズ全集4 シャーロック・ホームズの思い出
アーサー・コナン・ドイル(著)
,小林司(訳)
,東山あかね(訳)
,C・ローデン(注・解説)
,高田寛(解説訳)
/河出文庫
作品情報
学生時代のホームズや探偵初期のエピソードなど、ホームズを知る上で欠かせない物語満載。宿敵モリアーティ教授との対決を描き「最高の出来」と言われた《最後の事件》を含む、必読の第二短編集。
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商品情報
- シリーズ
- シャーロック・ホームズ全集
- 著者
- アーサー・コナン・ドイル, 小林司, 東山あかね, C・ローデン, 高田寛
- 出版社
- 河出書房新社
- 掲載誌・レーベル
- 河出文庫
- 書籍発売日
- 2014.06.04
- Reader Store発売日
- 2016.09.05
- ファイルサイズ
- 25.5MB
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この作品のレビュー
平均 4.4 (7件のレビュー)
-
「ねえ、ワトスン、ここがどこかわかるかい」
「いや、どこなんだ」
「極東の一小国のようだよ」
「極東といったら、支那かね」
「支那を小国とは言わないだろう。大国としてのふるまいをいまだ知らないようでは…あるがね。ほら、ぼくらの喋っているのは日本語だろう。日本語が公用語なのは、日本国しかないよ。しかもぼくらの時代から100年以上も先だ」
「100年だって。それはどういうことなんだ」
「ここはネットのサイトだからね。ネットというものができるのは100年もあとなんだ」
「何のことかよくわからないが」
「君は常々、ぼくの捜査記録を発表してくれているじゃないか。そのおかげで、たくさんのパスティッシュが生まれたというわけさ。つまりぼくらの複製があちこちに出没するってわけなんだよ。書評でパスティッシュをするなんてのも、まあ、ありきたりだね、ぼくからいわせれば」
「何だね、君の変装みたいなものかね」
「ちょっと違うが、まあ、そんなところだ。ほら見たまえ、君がまとめてくれた捜査記録の短編集の2つめ、『思い出』だが、巻末にパスティッシュのおまけまで付いているよ。これはなかなかのメタフィクションじゃないか」
「J・M・バリーからドイルに送られたものとあるね。あれ、著者名がジョン・H・ワトスンじゃなくて、ドイルになっているぞ」
「それも君には理解困難なことだろうが、このドイルという男、ぼくのことを快く思ってないのだ。短編を書くのには長編を書くのと同じくらいの労力を要するものだから、他の仕事ができなくなってしまうというんだよ。そこで、「ストランド・マガジン」に高額の執筆料をふっかけてみたのだが、出版社は何の躊躇もなく要求に応じたものだから、ついに続編を書かざるを得なくなってしまった。『冒険』の最後の「ぶな屋敷」から、『思い出』の最初の「銀星号事件」の連載再開まで半年、その後、1年かけて次の12編を連載するのだから、その執筆速度たるや」
「ぼくはそんなに速く書けないね」
「そうだろう。ぼくの失敗譚「黄色い顔」を載せるのもドイルの複雑な心情かも知れないね。もちろん、「最後の事件」でぼくを殺してしまうんだが」
「なに、きみは生きていたじゃないか」
「それはまたあとの話さ。ときにこの「ボール箱」、痴情の連鎖で起こる悲劇だが、きみが間接的に「扇情的な興味本位の要素」といっているように、ドイル自身のアルコール依存の父と、母親の不倫をかなり直截的になぞっているようなところがあるせいなのか、『思い出』には載せられず、後年、『最後の挨拶』に収録されたものが、ここではもとに戻されているんだよ。ぼくたちは事件のまえに、戦争というやり方はまったく無意味だという話をしていたが、「ボール箱」の事件を見て、「悲惨と、暴力と、恐れが、めぐりめぐって続くことがどういう役に立つというのかね?」とぼくが述べるのをきみは記録してくれたね。みたまえ、この100年後の世界でもこうしたことの解決は「永遠の課題」に留まっているようだよ」
「嘆かわしいことだね」
「さて、ぼくの耳に間違いがなければ、どうやら新しい依頼人がきたようだよ」続きを読む投稿日:2016.02.12
題からは想像できないようなことが起こって、予想の斜め上の結末を行くのがホームズ。それがすごく面白い。お兄さんと、モリアーティと、重要人物初登場!
投稿日:2024.03.02
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