朝鮮王公族―帝国日本の準皇族
新城道彦(著)
/中公新書
作品情報
1910年8月、日本は大韓帝国を併合した。最大の懸案だった皇帝一族の処遇については、王族・公族の身分を華族より上に新設し、解決を図った。1945年8月の敗戦まで、男子は軍務に就くなど、皇族同様の義務と役割を担う。異民族ながら「準皇族」扱いされた彼らの思いは複雑であり、日本に忠誠を尽くす者、独立運動に関与する者など多様であった。本書は、帝国日本に翻弄された26人の王公族の全貌を明らかにする。
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商品情報
- シリーズ
- 朝鮮王公族―帝国日本の準皇族
- 著者
- 新城道彦
- 出版社
- 中央公論新社
- 掲載誌・レーベル
- 中公新書
- 書籍発売日
- 2015.03.25
- Reader Store発売日
- 2015.12.11
- ファイルサイズ
- 6.5MB
- ページ数
- 272ページ
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この作品のレビュー
平均 4.3 (7件のレビュー)
-
この本は複雑な感情を抱いてしまう本だ。類書と違って韓国語が出来る人が書いているので本田節子が「朝鮮王朝最後の皇太子妃」で紹介した閔甲完なる自称「英王の元婚約者」の著書を訪韓した際に初めて読んだらしく…「天皇の韓国併合」では本田節子が書いたとおりに評価したのにやんわりと閔が詐欺師と分かるように書いている。一方、李鍝公と朴賛珠の成婚は「当局の意に添う」形で成立したと見做しているらしく?「都合の悪い」からか「木戸幸一日記」前巻のような以前から知られていて市販されている史料が参考文献目録すら出て来ない。李鍝公と朴賛珠が昭和8年に勅許を得ないで婚約の儀を行ったという記述があるのが矛盾するので言及しないのだろう。「東京陸軍幼年学校史 わが武寮」には陸幼時代に既に李鍝公と朴賛珠が婚約者であり、朴賛珠がハングルで書いた手紙で文通していると読み取れる回想があるので「当局の意に添う」形云々はあり得ないのではないか。第一、朴賛珠は甲申事変からの開化派で哲宗の王女の婿である朴泳孝の孫だ。完璧に推測だが、朴泳孝とは「木戸幸一日記」前巻で李王職長官の篠田治策から聞いた内容にも出て来るように旧韓末から関係の良くない李堈公の公子である李鍝公が李埈公家の当主となって朝鮮にいる間に朴賛珠と婚約したのではないか?、と思う。
研究者が書いた本らしく他の本では言及されない公族(特に尹致昊の親族である第2共和国時代の大統領尹譜善の実弟の尹源善と結婚した李辰琬)を書き、史料を細かく言及する一方で、戦後の李鍵公家について「史料がない」からか、李鍵公が書いた相矛盾する手記類(ただし取材に応じた「天皇家の密使たち」はない)や松平誠子の手記を使うとしても、自称「皇室ジャーナリスト」河原敏明の「昭和の皇室をゆるがした女性たち」を安易に使っているのはどうだろうか?これではゴシップ記事の寄せ集めだ。
何故か「天皇の韓国併合」では使っている張赫宙の「秘苑の花」も参考文献目録すら登場しない。張赫宙は「秘苑の花」を書く際に面識のある趙重九元男爵とともに英王李垠に取材しているのもあるが、方子女王と伊都子妃の自伝の記述(特に「三代の天皇と私」)を読むには「秘苑の花」を参照する必要があるのに。
本田節子が「朝鮮王朝最後の皇太子妃」で趙重九元男爵を取材し、彼から「王家の終焉」を貰って記した内容が流布したが、この本も同じだ。張赫宙も趙重九から聞いた内容を昭和27年に「在日朝鮮人の内幕」で書いているが微妙に違っている個所がある。「秘苑の花」で戦時中に李王家東京邸を訪れた朝鮮人は李鍵公と李鍝公の他は趙重九だけだと書かれているが、佐々木春隆の「朝鮮戦争/韓国篇」上巻に書かれている李應俊大佐と陸士生徒時代の李亨根大尉という未来の義理の父子が訪れた事は明らかに趙重九は知らない。李鍾賛のような朝鮮貴族の嗣子ではないので面識がなかったのだろうか。「王家の終焉」には実在しない人物が出て来るので鵜呑みにするのは危険で裏が取れない記述が多過ぎる事だ。
張赫宙の「在日朝鮮人の内幕」には面識がなさそうな李鍵公と松平誠子の離婚という「話題性」と李鍵公が書いた手記に対する上げ足取り?が書かれている。多分、趙重九から聞いた話がほとんどだろうが、「一応は皇族出の姫君を物色したが」という個所がある。「朝鮮王公族」に引用されている李鍵公の手記にある「女なら誰でもいい」という記述の裏にあるのは、案外ここかもしれない。「天皇の韓国併合」に引用されている木戸幸一がまだ内大臣だった時点で李鍵公が書いた手紙にあるように「私は李王家の一族であります。併し私の家は四十年も前に分家独立したのであって、同一家族ではありません。また君と臣との関係も存在してはゐません」なので表向きは「分家」と振る舞っていても内心は叔父である英王李垠より自分は「大院君→高宗→李堈公→李鍵公本人という本家筋」という意識があったのかもしれない。英王李垠は韓国併合当時の皇太子で韓国併合後は王世子であり、弟の李鍝公は公系襲系後、自分は昭和5年に「李勇吉君」から「李鍵公子」を経て「李鍵公殿下」となるまでは目上になったので屈折した感情を持っていたようだ。続きを読む投稿日:2023.10.05
韓国併合後、李朝の王や係累を日本は皇族・華族に準じた王公族という待遇で遇じた。かなりのコストをかけて彼らを遇じたのは、併合による朝鮮の人たちの懐柔という面も当然あった。王公族となった人たちも世代により…受け取り方が違ったという。高宗太王や純宗王たちとは、その子供たちとは違っていたという。併合後に生まれた李垠や李鍵、李ぐなどは、皇族の義務を果たそうとし、軍務に服したと言う。終戦でその身分も変わり、韓国は直ぐには国籍を認めなかったから、かなり辛い戦後の生活を送った者もいたようである。林真理子の「李王朝の縁談」を読んで興味がありこの本を読んだ。日本も王公族の待遇には随分と気を使って対応したようだが、当時の朝鮮民衆とは別次元の世界であった。続きを読む
投稿日:2022.02.26
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