原発と原爆 「核」の戦後精神史
川村湊(著)
/河出ブックス
作品情報
戦後の日本が世界中の人々に本当に伝えるべきこと、それは、被爆=被曝の体験から生まれた文化、原子力による被害の文化である―。ゴジラと放射能恐怖映画から、鉄腕アトム、広瀬隆『東京に原発を!』、吉本隆明『「反核」異論』、黒澤映画『生きものの記録』、『はだしのゲン』、『長崎の鐘』、『風の谷のナウシカ』、『AKIRA』、「原発文学」の数々まで、さまざまな文化現象を世相に重ね合わせながら読み解き、原発と原爆(=「核」)をめぐる時代精神を浮き彫りにする。3・11の破局にいたるまで、私たちはいったい何をしていたのだろうか…。
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商品情報
- シリーズ
- 原発と原爆 「核」の戦後精神史
- 著者
- 川村湊
- 出版社
- 河出書房新社
- 掲載誌・レーベル
- 河出ブックス
- 書籍発売日
- 2011.08.03
- Reader Store発売日
- 2015.03.06
- ファイルサイズ
- 5.5MB
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この作品のレビュー
平均 4.3 (5件のレビュー)
-
このレビューはネタバレを含みます
P191
レビューの続きを読む
原発関係者は放射能を閉じ込めるということを強調するのだが
それは実は原発の全ての情報を閉じ込めることであり、
原発に関する論議、討議を密室化し、その実情を決して明らかにしないということにある
P195
発電の方法はいくらでもある。
コスト、環境悪化、持続可能性、終末処理、社会的リスクの
どの面においても原子力発電はもっとも劣悪な選択枠であることは
すでに明らかとなっている。
誰かが犠牲にならなければならないという
エネルギー政策は根本的に間違っているのだ。
★読んでみたい本、見て見たい映画がたくさん紹介されていた。
川村 湊さんの本も、もっと読んでみたい。投稿日:2013.06.12
借りたもの。
サブタイトルの通り核と関わってきた日本人の精神面をフォーカスしたもの。
それは原爆から原発、そして原発事故に至るまでの日本人の考え方の変化も読み取れるものだった。
日本人の“唯一の被爆国…”(表向きに唯一実戦投入されたのは事実だが)という考えに釘を差し、アレルギー並みの嫌悪感を抱きながら原発の誘致を進めた矛盾を細かく切り刻んでゆく。
結局、安全神話は迷信であり、原子力ムラというより“原子力マフィア”ともいうべき一部の利権を得られる人々に、扱いきれない代物を金によって盲目にされた人々が受け入れてしまった、という話だった。
「原発の必要性」は欺瞞であると。
何よりこの本は、文学やサブカルチャーに見る「核」との関わり方にフォーカスしている部分は非常に興味深かった。
『ゴジラ』に始まり、『AKIRA』『風の谷のナウシカ』まで。(冲方丁『シュピーゲル・シリーズ』や井上智徳『COPPELION』はどうした!?)
日本人にとって原爆の被害が、台風や地震と同じ未曾有の大災害と似た形で受け止められていた事、他所から来た未知の力、“マレビト”に例えている事が言い得て妙だった。(そうでなければゴジラも腐海も生まれなかっただろう)
斜め読みだが、村上隆『リトルボーイ―爆発する日本のサブカルチャー・アート』にも同じような思想があったかも知れない。今度こそしっかり読みなおしてみようと思う。
若干駆け足で、要素がしっかり繋がっていないような気もするが……史実だけではなく人の精神史について書かれたものはまだ少ないと思うので、良い本だと思う。続きを読む投稿日:2015.03.20
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