「源氏物語」の色辞典
作品情報
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『源氏物語』千年の華麗な色彩を総覧
平安王朝の多彩な「襲の色目」を『物語』五十四帖に沿って再現。光源氏の愛した色と装束。そして女人たちの美妙な衣装がいま甦る。
『源氏物語』五十四帖を丹念に読みつつ、その「平安博物誌」と賞賛される記述の中から、色と衣装に関する部分を引き寄せて、往時の染色法そのままに再現した《夢をみる》ような色彩辞典。
「正等なる異端」とよばれ、日本の伝統色を草樹花実から汲みだしている色彩界の第一人者《吉岡幸雄》が半生をかけて挑んだ偉業が、いまここに結実した。
商品情報
- シリーズ
- 「源氏物語」の色辞典 紫紅社刊
- 著者
- 吉岡幸雄
- 出版社
- アットマーククリエイト
- 掲載誌・レーベル
- 紫紅社
- 書籍発売日
- 2008.11.01
- Reader Store発売日
- 2014.12.12
- ファイルサイズ
- 79.9MB
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この作品のレビュー
平均 4.3 (8件のレビュー)
-
最初から最後までうっとり。こんなに美しい本があるなんて。
草木染めの第一人者である染司(そめつかさ)の吉岡幸雄さんが、源氏物語の登場人物たちの衣装の色を読み解き、実際に草木で染め、それらを襲ねてオール…カラーで再現して見せてくれる。
往時の染色方そのままに五十四帖に沿って進む。まさに夢のようなめくるめく世界だ。
野生化した桐の木に出会ったことがある。
15メートルくらいの高さで、ハッとするほど美しい紫色の花をつけていた。
夢でも見ているかと思うほどの色合いで、何度も何度もその木に会いに行った。
本書の最初は「源氏物語は紫のものがたりである」で始まる。
「桐壺」で、まさに桐の花の色が再現されている。なんと人を惹きつける色だろう。
「桐壺の更衣」が暮らしていた館にもこんな色の花が咲いたのだろうか。
「桐壺」も「藤壺」も、建物の正式な名称ではない。
中庭(イコール壺)に咲く花の名前でそう呼ばれたのだ。
それがそのまま后の呼び名となった。
このふたりは紫つながりだったということだ。
平安京の天皇の住まう内裏では、鎮座する高御座は紫の布で覆われていたらしい。
後に源氏が愛するのも「紫の上」。「若紫」の帖だ。
色に言及せず「濃き」「薄き」という表現があったら紫の濃淡を指すのだという。
「玉鬘」の帖の終わりごろに登場する「衣配り」の場面の華麗さが溜息もの。
お歳暮のように、新年を迎える調度や女君たちの晴れ着を配る習わしだったそうで。
源氏がそれぞれの女君に用意した衣装がもう、美しいうえにも美しい。
更に、「澪標」の帖で住吉神社に詣でる源氏一行の華やかさなことよ。
一位の深紫の色から九位の浅縹(あさはなだ)の色まで、ずらりと再現して並べてある。
「帚木」の帖では、手紙にも植物染で使った和紙を使っていたことが紹介される。
「季節にふさわしい」染め和紙を組み合わせて文を書いたというから何とも粋なひとたちだ。
着道楽と言えばそれまでだが、現代と違いイメージを大切にする時代だった。
女性は簡単に顔を見せず、御簾や几帳から垣間見える裾や袖口の襲(かさね)の色で男性を刺激した。そのセンスが良ければ「ああ素敵なひとだ」と恋文をしたためたのだ。
文に書かれた文字や歌の良し悪しも問われ、知性プラス感性の高さが尊ばれた。
物語という想像の世界の色合いをひたすら書き上げた紫式部は、やはり素晴らしい書き手だったのだろう。その頭の中にはどれほどの襲の色目がおさまっていたのやら。
十世紀に書かれた律令の施行規則である「延喜式」という書物に、三十種類の色名とそれを染めるための植物染料と用布、灰や酢などの助剤が列記されているらしい。
解読し、工夫を重ねて染め上げた色の数々を見ると、目の前に平安装束に身を包んだひとたちが見えてくるようだ。
巻末の24種の襲を見て、もう一度うっとり。
春の「桜の襲」、夏の「卯の花の襲」秋の「桔梗の襲」と冬の「胡桃の襲」。。。
こんな女性が現れたら、私だってぼおっとなるわ。
世界には源氏物語ファンもたくさん存在する。
日本の美意識について何か聞かれたら、本書を開いて見せてあげたい。
源氏物語好きなブク友さん、ぜひどうぞ。眺めると一挙に平安京に旅するかのようだ。続きを読む投稿日:2020.11.03
平安王朝の多彩な「襲の色目」を「源氏物語」54帖に沿って再現した色彩辞典。
それはそれは美しい。
花や実、樹木の皮や根などから、これほどまでに美しい色が生まれてくるのかと感激する。
著者・吉岡幸雄さん…の日本の伝統色へと懸ける想い、飽くなき探求心、そして『源氏物語』に真摯に向き合われたことによって生まれた最高傑作に間違いない。その熱情は大変丁寧な本編の作りにも表れている。
この辞典の特徴であり素敵なところは、やっぱり「襲の色目」という形で『源氏物語』の色彩を紹介しているところだ。
どれほど美しい色だとしても、ただ単色を並べられているだけでは、少しばかり面白味にかける。
さらには、物語の原文、各帖のわかりやすい解説、調べやすい索引なども載せられおり、『源氏物語』を読んでなくても十分楽しめるようになっている。
さて『源氏物語』同様、この『「源氏物語」の色事典』も第1帖「桐壺」から始まる。
ここでは桐壺更衣の桐の花のイメージが「桐の襲」、藤壺宮を象徴する藤の花が「藤の襲」となって再現されているのだ。
どちらも紫の濃淡が上品でうっとりする。
紫といっても、「桐の襲」は貴重な紫草の根を用いて、やや渋く染め、裾へいくほど色が濃くなる配列になっている。
「藤の襲」のほうも、同じく紫根を用いているが、こちらは裾へいくほど色を薄くし、最後に白平絹が置かれる。
加えてどちらの襲も、蓼藍と黄蘗で染めた葉の緑が添えられているのだ。
それにしても同じ紫でも濃淡や配列によってまるで受ける印象が違う。
「桐の襲」は桐壺更衣のような儚き美しさ。「藤の襲」は藤壺宮の輝く美しさのようである。これには感動した。もうこの襲じゃないと彼女たちではない、逆ではありえないと思ってしまう色目なのだから。
このように『源氏物語』には「紫」がよく出てくる。桐も藤も花は紫であるし、紫式部も「紫」だ。「若紫」の帖には、のちの紫の上が登場すると著者はいう。
『源氏物語』は紫のものがたりである。
この言葉からも、著者がどれだけ「紫」の色目を大切に再現されたのか窺い知ることができた。
「花宴」の帖では、光源氏の「桜の襲」がたいそう可憐であった。
正装の他の参宴者たちとは違う「桜の唐の綺の御直衣、葡萄染の下襲、裾いと長く引きて」という普段着の直衣姿である。
このような淡い桜色は、なかなか着こなすのが難しそうである。やはり似合うのは、若く美しきプリンス源氏だからこそなのだろう。源氏は自分の魅力が最大限発揮される見せ方を、ちゃんとわかっているなぁ。
眺めていて心華やいだのは「玉鬘」の色布と衣裳。
帖の終わり近くに「衣配り」とよばれる場面がある。源氏のような位の高い男性は、今日のお歳暮のように、新年を迎える調度や女君たちの晴れ着を配る習わしがあった。
なかでも紫の上の葡萄染の衣裳は高貴な色合いで、もっとも高価なのだろうということは見ただけでわかる。やはり源氏の最愛の女性だ。
それって他の女性陣たちの心境は複雑なのかな。いやいや、やっぱり紫の上の方が複雑だよねぇ。
しかしながら源氏がそれぞれの女君に用意した衣裳は、どれも彼女たちのイメージにピッタリなもので、源氏(紫式部だけど)のセンスには脱帽するしかない。彼女たちの「光君はわたくしのことをちゃんと見てくださってるんだわ。やっぱり……好きっ」という声が聞こえてきそうだ。
襲の色目は同じ名称であっても、用いる個人によって微妙に色調が異なるのはいうまでもないと筆者は述べる。
四季二十四節気七十二候、雪月花の風景に眼を凝らす。そこで育まれた1人ひとりの感性が、衣装や調度に反映される。だからこそ歌を詠むなど、季節の移ろいを感じて表現できる教養が貴人には備わっていなければならなかった。
なにより、恋の駆け引きにも必要なんだもの。だって襲の色目のセンスで恋が生まれることもあるのだから。やっぱり少しでも他の人と差をつけたいじゃない?
最後になりましたが、
本年もどうぞよろしくお願いします。続きを読む投稿日:2021.01.05
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