不思議なアトムの子育て アトム保育所は大人が育つ
横川和夫(著)
/太郎次郎社エディタス
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子育ての不安にゆれて、トラブルにひとり苛立ち、ヘルプを求められない母親のあなたへ、アトム共同保育所からのメッセージ。大人同士の育ちあい。
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この作品のレビュー
平均 5.0 (2件のレビュー)
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アトムの子育てのあり方、中でも保育士の親に対するアプローチが印象的。こんな教育をしているところが、2000年ごろからあったことを驚くとともに、まだまだ広がっていないことへ問いが立てられた。
「人間臭さ…」は読んでいて温まる話だが、自分にそれができているかと言われると...というところに壁がありそう。
【教育に大切なことは】
・幼児期から人間は、遊びやけんかを繰り返す中で、異質の人間とぶつかり、自分と相手の間に距離感を知り、生きる力を学んでいく。アトムの保育の特色は、保育士だけでなく子ども同士、親とのぶつかり合いを大切にしていることだ。子どもはもちろん、家族まるっと支援する姿勢がアトムにはある。
→ほっこりする、そして自分に子どもができたらこんな共創の教育をしていきたいな、と感じた。
・アリサはメガネやパンツを隠すことがいいことなんか思っていない。悪いことと知っていると思う。悪いことと知っているにも関わらず、そんなことをしたくなる原因が何かを掴んでやることが、一番重要なことだと思うんです。
→子どもがしているとき、分別がついていないからと判断するのは大人の悪いところかもしれない。根源を突き止めること。
・親の言うままに行動することが、ことを荒立てないですむ、親を怒らせない最善の方法であることを身につけていく。良い子のポーズをとることで、自分が自分でなくなる第一歩を踏み始めるのではないだろうか?
→画一的な価値観で人を育てようとする弊害。「私が子どもの可能性に限界をつくることだけは避けたい」。
・「自分には自信がないんです」-アトムの取材をしていて、若い保育士や母親たちの口から、必ずといっていいほど出てくるのは、この言葉である。
→子育てが初めてだから自信がないのか?多分、①子どもこうあって欲しい確固たる像がない、②確固たる像に向けて何が必要か分からない、③必要な何かを得るためにどうしたらいいか分からない、の3つが大きな理由か?
・人との関わりを大切にしていける子になってほしいと願いながら、じゃあ、自分はどうやねん、と問われると「できるだけ人とのトラブルは避けよう、触らぬ神に祟りなし、的な生き方をしてきたように思います。」
→耳の痛い話。全くその通り。「読書をしなさいと子どもに言っている横で、スマホばかりいじる親がいたら、子どもは読書しないでしょ?」子は親の背中を見て育つ。
・できたかできないかは、自分自身の問題なんやないか?誰が見ていようといまいと、観衆が1人だろうが5人だろうが、そんなことは関係ない。できたから自信がつくというのは、大人の大きな錯覚であることを理解しておかないかん。今一番大切なのは、大人もそうだが、自分が自分で評価できる視点を確固としてもつことだと思う。どんなに努力しても評価されないことはいっぱいあるわけだし、それでも自分はよくやっているという価値意識の感覚を育てておかないと、いまの社会の中では、めげることがたくさんあるわけだから。
→親が受けてきた教育が正解ではない。自分にできるのか、、、とても不安。
・工作が好きだという認識をもったのも、アトムで何かをさせてもらって、みんなから仕上げた作品について「すごいね」と言われたことがきっかけになったような気がします。時期が来たら、子どもはいわなくてもするようになるんだなぁ、と思うようになりました。
→その通り。自分の好きなことなんていろいろと経験する中で、これワクワクするな、とか、これ人より出来るから好き!、とかそんなもの。大人になって志がないよ…と焦るのも本質的には、自分のワクワクすることとか内向きな感情にこそ隠れている気がする。
・自分のことしか考えなかった勝手な親でした。ごめんなさい。(アタマジラミの話)
一人ひとりのお母さんが、正確なところをしっかりと自分の中に位置づけておかないと、子どもに友達を見る目、病気の子をどう理解するかを見る目で偏見を与えることになる。
→親自身の目線だけでは子どもの教育はできない。子の立場に立った時、適切な倫理観をもって、その通り行動できるか?それが問題。
・間違いは正すことができないから書かんとこ、というのは弘子さんの感性や。私は、取り返しがつくという考えなんや。その違いは弘子さんが発言してくれたからわかるんで、そういうことが大事なんや。
・傷つけるという言葉は一見きれいだけれど、それほど残酷な言葉はないで。傷つけるから言わないって、1年間過ごした結果がこれやないか。
→ここまでぶつかり合う人的ネットワークを築けている?築こうと努力している?人的ネットワークは自利利他。先ずは周囲、それは子ども含めこうなってほしいという思いから始まり、これがあることでぶつかり合うことができる。
・担任が自分のクラスの子供をびしっときびしくしつけたら、子どもたちはびしっとするだろうけれど、家に帰ってからも、その子がびしっと厳しい態度をとり続けるかといったら、そうはならないやろ。つまりは、担任の影響力なんてものは、その程度で、人格形成の問題は担任よりは親の与える影響の方がずっと大きいと思うんやけど。
→モンペにならない。学校教育なんて自分からしたら、人との人間力/コミュニケーションを養う場、程度に感じる。教科の良し悪しは後から、また家庭内でもどうにでもできる。続きを読む投稿日:2015.06.08
アトムの保育方針に100パーセント同意はしないが、さまざまな気づきがあった、という意味で星5。
この保育園のキーワードはおそらくぶつかり合いだと思う。読んでいると結構な回数それに類する表現がでてくる…。
一方で、ぶつかり合いが目的化しているようにみえてくる。おそらくは信頼関係を築くために、相手の本心を同定する必要があり、そのためにはぶつかり合いを通して相手の生の心のありようを描き出したい、ということなんだと思う。
でも、それってぶつからないとわからないものなのだろうか。
自分の小さな箱からでる方法という本がある。
軋轢を乗り越え、より高次の関係に昇華するための方法論についての書籍だ。
相手のことをわかる手立てとして、必ずしも正面からぶつかるのではなく、相手の側に立ってみるという方法もあるように思った。
ただ、そういう耳障りのいいロジックを盾にした安易な共感が問題を先送りすることになるんじゃないか、とこの本は言っているんだと思う。
続きを読む投稿日:2019.09.11
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