「超常現象」を本気で科学する
石川幹人(著)
/新潮新書
作品情報
幽霊・テレパシー・透視・念力……。我々を驚かせてきた不可思議な現象の数々は、多くの人に関心を持たれながらも「非科学的」、「オカルト」と否定されてきた。だが、それこそが科学の挑むべき謎だとして、あくまでこれを「科学的」に研究してきた人々がいる。「何がどこまで解明できたのか?」。そして「何が未だに謎なのか?」。明治大学教授が、異端の科学の最先端を案内しながら、「科学とは何か?」の本質に迫る。※新潮新書に掲載の写真の一部は、電子版には収録しておりません。
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商品情報
- シリーズ
- 「超常現象」を本気で科学する
- 著者
- 石川幹人
- ジャンル
- サイエンス・テクノロジー - 数学・物理学・化学
- 出版社
- 新潮社
- 掲載誌・レーベル
- 新潮新書
- 書籍発売日
- 2014.05.16
- Reader Store発売日
- 2014.11.21
- ファイルサイズ
- 2.6MB
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この作品のレビュー
平均 3.5 (24件のレビュー)
-
このレビューはネタバレを含みます
タイトルのとおり、本書では超常現象を本気で科学的に考えていきます。幽霊から始まり、超能力へと移っていきますが、とっかえひっかえするようにトピックを渡り歩くのではなくて、幽霊現象をしっかり考え抜いたうえでそこからの繋がりとして超能力現象へ移り(19世紀末にあらわれた心霊研究の流れを汲むものが20世紀アメリカの超能力研究でした)、そこで得た知見をもちいて再び幽霊現象と超能力現象を眺めるとそこに通低している原理と推測されるものがわかっていく。
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本書は「超常現象」と呼ばれるものを科学的に見ていくだけにとどまりません。まず、「幽霊はいるのか」ではなく「幽霊はなんの役に立つか」という実用性の視点から見ていきます。つまり、従来の超常現象観を発展的に捉えなおしているのです。「幽霊はなんの役に立つか」と考えていくことは、超常現象にまとわりつく迷信や無益な不安、恐怖の感覚をはぎとって、現象そのもののエッセンス・本質に近づくことになります。ここまでが本書の中身の半分です。残りの半分は、議論の旅の果てにたどりついた場所で知る「なんの役に立つのか」の解答を論じていくような中身になっています。そこがとてもエキサイティングでした。
交感神経(意識)と副交感神経(無意識)は、お互いに抑制し合いながら、どちらかが優位なときにはどちらかが不活性状態になるというかたちでバランスがとられています。覚醒状態、睡眠状態、夢見状態が知られますが、神経科学等の研究者たちは「第四の精神性」と呼ばれる交感神経系(意識)と副交感神経系(無意識)が両方とも活性化した状態があることを指摘し、超心理学の研究者たちは透視などの超能力現象が「第四の精神性」のときに生じやすいことを主張しているそうです(超心理学とは厳密な科学的手法に則ったやりかたで透視やテレパシーを研究する学問領域です)。
そういったところから考えていくと、どうやら「無意識」が幽霊も超能力も、そしてシンクロニシティやセレンディピティをも生じさせているようだ、とわかっていく。そして、最後に辿り着くのは創造性です。クリエイティブな能力は、どうやら無意識が担当している。そして、社会性つまり社会のいろいろな面を知ること、言い換えれば現実世界そのものの在り様を意識上でしっかり理解していることを前提として、優れたアイデアが無意識からどうやら生まれるのだ、という結論に至っていく。もう「超常現象」を科学する本だとだけ思いながら読んでいましたが、びっくりするような飛躍をしました。裏テーマが「クリエイティブ論」ですから。とはいいながら、そういった展開をしてくれたほうが僕にとってはありがたい読書でした。すごく興味のある分野でしたから。
さて、ここまでで一気に本書の中身を貫いた形になりました。最後におもしろかったトピックをひとつ紹介します。人付き合いにおいてまめに連絡をとったりなど関係を維持し続けることには、気苦労が多くなったりして短期的にみれば損だけれども、長期的にみれば自分の助けになる、という見方がされていました。人生をギャンブルとして見る人の考え方にのっかって論じた話のなかでです。このあたり、乱数や確率の話でもあって僕なんかには身を持ってよくわかる話でおもしろかったです。それに、近頃ではよく、人とのつながりは大事だよなあと思うようになって、これは背中を押してくれる考え方なのでした。
と、そんなところですが、新書タイプの本ですし200ページくらいなのでさくさく読めること請け合いです。超常現象と創造性のどちらにも興味がある方ならば、とても好い読書時間になると思います。また、「無意識」を知りたい人にとってはかなりよく知ることができる入門編でもあると思います。おすすめです。投稿日:2022.02.07
超常現象を科学的に解明する本。
はん幽霊論というキーワードを基に、反・半・汎に分けて解説。具体的な超常現象を解明するよりも、超常現象の科学的な捉え方を示唆する。個人的は具体的な超常現象をもっと解説して…ほしかった。
幽霊=人間には「見た」と錯覚するメカニズムがある
金縛り=カギは睡眠時の肉体コントロールの誤作動
お守り=「効いた」のは統計上の偏りに過ぎなかった
テレパシー=「何か」による作用は認められるが…
透視=米軍も実用化を研究していた?
予知=それは人の無意識がもたらしている?続きを読む投稿日:2020.02.08
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