恐怖の2時間18分
柳田邦男(著)
/文春文庫
作品情報
“福島”との恐るべき類似。今こそスリーマイルの教訓に学べ!
冷却水停止、炉心圧力上昇、燃料棒損傷、避難パニック。1979年、米スリーマイル島原発で起きた事故は、まさに「今」を予言していた。安全とされた巨大システムはなぜ崩れたのか? 技術への過信、人間の判断の危うさ、情報の混乱――徹底的な現地取材でスリーマイル事故のすべてを描き出した圧倒的なドキュメント。1983年に刊行され、原発問題を考えるための必読書といわれてきた本作が、ついに電子書籍で登場。
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商品情報
- シリーズ
- 恐怖の2時間18分
- 著者
- 柳田邦男
- ジャンル
- 教養 - ノンフィクション・ドキュメンタリー
- 出版社
- 文藝春秋
- 掲載誌・レーベル
- 文春文庫
- 書籍発売日
- 1986.05.25
- Reader Store発売日
- 2014.08.08
- ファイルサイズ
- 9.3MB
- ページ数
- 287ページ
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この作品のレビュー
平均 4.8 (7件のレビュー)
-
スリーマイル島の原子力発電事故についての柳田国男さんのレポート。
前半は事故初期段階での原子力発電所内の様子、およびその原因となった技術的、システム的な問題についての記述。後半はマスコミや行政の対応に…おける問題点についての考察。
図らずも原発の仕組みについては詳しくなってしまっているので、特に前半は内容をよく理解しながら読めて興味深かった。ただ読みながらつくづく感じてしまったのが、「福島と比べるとずいぶん軽い事故だったんだなー」ということ。
福島については、問題収束はだいぶ先だろうし、現状把握すらまだまだだけど、いつか福島についてもこのくらいきちんとしたレポートがまとまったら是非読みたい。続きを読む投稿日:2011.06.02
技術の発達は私たちに様々な恩恵を与えてくれる。その反面、使う
側の人間が振り回されることも多いのではないか。
本書は1979年3月28日に発生した、アメリカ・スリーマイル島原子力
発電所の事故…を再現し、巨大なシステムを運用する際の安全面を考察
している。
ヒューマン・エラーとして片づけてしまっては、巨大事故の本質は
見えてこない。では、何故、ヒューマン・エラーが起きたのか。
そこには最新技術への過度の依存と、その技術が使う側の視点から
構成されたシステムではなかったことが大きい。
重大な危機に直面して、人は平常心を保っているのは難しい。どうに
かこの危機を脱しなければと気持ちは焦る。それなのに、次々と警報音
が鳴り、コントロール・パネルの無数とも思えるランプは点滅を続ける。
冷静になるどころか、鳴り響く警報音や点滅を続けるランプは益々混乱
を招き、今、何が最優先事項であるのかを判断する能力さえ奪う。
恐怖である。スリーマイル島原子力発電所の事故に関しては、たまたま
外部の目が最大の問題点に気付いたからいいようなものの、事故発生時
の運転員たちの目だけであったのなら、危機は侵攻し続けていた可能性
が高い。
「──原発事故においては、目に見えない放射能が相手であり、情報
を正しく理解するには、科学的知識を必要とする。
ペンシルバニア州では、その後連邦政府の関係機関と連絡して、原発
事故発生時における緊急連絡体制を作り、一九八〇年七月にはじめての
大がかりな緊急連絡訓練を行ったが、それでも必ずしも円滑には行かな
い問題点の残されていることが、明らかになっている。苦い経験をした
ペンシルベニア州でさえ、そういう状態である。日本の関係機関は、
いざというときにうまくやれる自信を持っているのだろうか。」
福島第一原子力発電所の事故を経験した後では、著者のこの問題点の
指摘はまったく考慮されていなかったように感じる。
スリーマイル島原子力発電所の事故も、チェルノブイリ原子力発電所の
事故も、原子力推進派は「日本じゃそんな事故は起きるはずはない」と
言って来たのだから。続きを読む投稿日:2018.10.14
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