村からみた日本史
田中圭一(著)
/ちくま新書
作品情報
これまでの江戸時代史は、支配の側の法・制度・裁判の判決文によって捉えた歴史である。それも歴史には違いないが、歴史の技術はほかにもある。村に出かけ、みずからの目で見、手で触れ、世界史的法則などと言わずにみずからの頭で考える、という技術である。村の史料に焦点を当て、「歴史の見方」を大きく変えるエピソードを満載して、スリリングで新しい歴史観を提示する。
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商品情報
- シリーズ
- 村からみた日本史
- 著者
- 田中圭一
- 出版社
- 筑摩書房
- 掲載誌・レーベル
- ちくま新書
- 書籍発売日
- 2002.01.20
- Reader Store発売日
- 2014.12.23
- ファイルサイズ
- 4MB
- ページ数
- 236ページ
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この作品のレビュー
平均 3.0 (1件のレビュー)
-
このレビューはネタバレを含みます
“歴史を正論という勝者の観念から現実に引き戻す”
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いわゆる通説というものに異を唱え、農民の真実の姿をあぶり出し、江戸時代をとらえなおす。
そういう本です。
つまり本筋ではないんですね、歴史のとらえ方が。
だからどうにも攻撃的で独断的。
とはいえ、江戸時代の農民がすべて虐げられ、窮乏生活を送っていたというような今までの歴史観は、私も疑問でした。
何度も幕府が「倹約令」を出したということは、華美にはしる余裕があったことも事実なのでしょう。
農民一揆が、暴徒が無計画に破壊しまくるものではなく、破壊すべきもの(農民を虐げ私服を肥やす輩)と、手を出してはいけないもの(庶民の味方)をきっちり区別し、文書で回覧しているというのは初めて知りました。
つまり農民といえども、普通に読み書きできる人が結構いた、ということでもあります。
直訴、越訴なども、首謀者は死罪になることは知っていましたが、その代わり要求を認められるケースも結構あったと。
それをきっかけに良い方向に変わった事例が多々あったから、首謀者は死罪になるとしても、直訴という手段は有効だったわけなのですね。
ただ、そういうところから、農民は結構自由であったという結論に持って行くのは、さすがに無理と思います。
米=年貢である以上、やはり農民の苦労は相当だったと思います。
この本で紹介しているの元禄時代の越後の農民は、気候的に安定していた時代のコメどころですから、そりゃあ余裕はあったでしょう。
でも、米を作るにも水をためるにも土地が足りないような地域で、棚田だ千枚田だと景観こそは素晴らしくても、田んぼとしては無理のある地形を強引に田んぼにしなくては年貢を納められなかった地域が、どれほど多くあったことか。
冷害に次ぐ冷害で、村がまるまる消滅してしまった地域が、どれほどあったことか。
宗門人別帳の上では農民と記載されていても、実際は国を抜け出て金回りのいい仕事をしている人がたくさんいた。
だから、農民=貧乏ではない
という書きぶりですが、農家としての収入以上のものがあるから抜け出すのでしょう?
そして、抜け出せない人たちがその分も米を作らないと、村としての年貢は納めきれないわけでしょう?
やっぱりそこを無視してはいけないんじゃないかと思うのです。投稿日:2017.03.15
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