この作品のレビュー
平均 4.0 (11件のレビュー)
-
とんでもない・ものすごい本を読んでしまったものだと、今さらながら後悔しています。こんな本を読まなければ、私はもっと穏やかでいられたのに。
目からウロコ、というより、無知な私は、唖然・呆然・慄然の連続…で、読後は精も根も尽き果てて、ヘトヘトの抜け殻みたいになってしまいました。
この本が悪いんです、自分の言葉で語る気力も何もかも喪失させたこの本が・・・・・・・
だから、しかたなく「訳者あとがき」に代わってもらいます。
★ 訳者あとがき 藤田真利子 ★
本書「ヴァギナ 女性器の文化史」の原題はThe Story of V-Openig Pandoras Boxk 「Vの物語 パンドラの箱を開く」である。パンドラの箱とはヴァギナのこと、人間の災厄も未来もそこから出てくるという意味かもしれない。科学の博士号を持つジャーナリストである著者、キャサリン・ブラックリッジは多方面からアプローチすることによって、ヴァギナの真の姿を描き出そうとしている。
神話や伝承、あるいは民俗学では、恐れ敬われ、魔除ともなる力強い姿が紹介され、あるいは、歯のある恐ろしい姿が示される。言語学的方面からはさまざまな文化におけるヴァギナの名称とその由来が語られる。ヴァギナはまた、歴史上さまざまな誤解を受け、科学に無視されてきた。西洋文明による誤解の例は枚挙に暇がなく、なかには支離滅裂の域に達しているものがある。たとえば、マスターベーションの害を防ぐためにクリトリス切除が行われたかと思えば、ヒステリー治療のためにヴァギナ・マッサージが医師の手によって施された。バイブレーターというのは医療用器具だったというのだから驚く。それが家庭でも手軽に治療できるようにというので小型のものが開発され、二〇世紀はじめのアメリカでは、シアーズ・ローバック社のカタログにも載る家電製品だったのだという。たしかにオーガズムは体によさそうではある。
実際この秘められた部分について、私たちはどれだけ正確なことを知っているだろうか?単純に自分のものを「見る」ということでさえ非常に難しいのだ(と言っても人のものならなおさら難しいわけだが)。そしてどうするかといえば、仮にも知的好奇心の旺盛な女の子なら、鏡を使って調べる。ちょうど、本書に紹介されているアンネ・フランクのように。だが、その奥となったらもう手に負えず、古代の神話ならぬ現代の科学的装いを持つ神話の陰に隠されてしまう。ところが、著者によると最近ようやく女性生殖器の役割に科学の目が向けられるようになり、いろいろと新しいことがわかってきたらしい。
ひとつ著者が強調しているのは、ヴァギナから子宮にいたる生殖器は、精子を運び受胎した卵子を育てるだけの単なる入れ物ではなく、精子の選別や受胎にもっと積極的な役割を果たしているということである。しかも、多数の種ではメスも複数の相手と交尾することがわかり、もともと怪しげだった「・・・・だからオスは多数の相手と交尾するのが自然界の普通の姿だ」というような一見科学的な迷信は、スタートの事実から間違っていたことがわかったわけである。ほら見ろと言わんばかりの著者の力の入り具合がほほえましい。翻訳をしていてよく感じることなのだが、ヴァギナを指す言葉に関しては、日本語のタブー度は非常に高い。お疑いなら、今すぐ「お」で始まり「こ」で終わる三文字ないしは四文字の言葉を口に出してみればいい。予期した以上の抵抗があるはずだ。ウィメンズ・リブ全盛の頃、女性生殖器の新しい呼称を選ぼうという話があったことを覚えていらっしゃるだろうか。
お風呂に入って男の子に「おちんちん、きれいに洗いなさいね!」とは言えるが、女の子に「おまんこ、きれいに洗いなさいね!」と言える母親は(父親もだが)いないからだ。女性のセクシュアリティの権利回復を狙うのなら正しい戦略だったのかもしれない。名づけられないものは「存在しない」ことになるからだ。だが、「われめちゃん」はじめ、さまざまな候補が上がったが、定着したものはひとつもなかった。あまりに恥ずかしくて口に出せないのか、神聖すぎて口に出すのをはばかるのか。いずれにせよ、気軽に名前を呼ぶのを妨げる何かがあるようだ。このように、事実にまつわりついてきた何か、それを文化と呼ぶのかもしれないが、それはまた偏見であったり迷信であったりもする。著者は、そうした飾りや履いを取り去ったヴァギナのありのままの姿を見てほしいと思ってこの本を書いた。ここは間近に寄ってじっくりと見つめてみてはどうだろう。だいじょうぶ、噛みついたりはしないから。続きを読む投稿日:2011.07.20
女性器についての基礎知識とその成り立ちを文化、生物、歴史、神話、民俗など幅広い領域を通し理解できる。
アリストテレスやガレノスの科学的知見が与えた「偏見」が「普通」になる世界の単純さ。
他生物との比較…やオーガズムの仕組み等も面白い。続きを読む投稿日:2023.11.29
新刊自動購入は、今後配信となるシリーズの最新刊を毎号自動的にお届けするサービスです。
- ・発売と同時にすぐにお手元のデバイスに追加!
- ・買い逃すことがありません!
- ・いつでも解約ができるから安心!
※新刊自動購入の対象となるコンテンツは、次回配信分からとなります。現在発売中の最新号を含め、既刊の号は含まれません。ご契約はページ右の「新刊自動購入を始める」からお手続きください。
※ご契約をいただくと、このシリーズのコンテンツを配信する都度、毎回決済となります。配信されるコンテンツによって発売日・金額が異なる場合があります。ご契約中は自動的に販売を継続します。
不定期に刊行される「増刊号」「特別号」等も、自動購入の対象に含まれますのでご了承ください。(シリーズ名が異なるものは対象となりません)
※再開の見込みの立たない休刊、廃刊、出版社やReader Store側の事由で契約を終了させていただくことがあります。
※My Sony IDを削除すると新刊自動購入は解約となります。
お支払方法:クレジットカードのみ
解約方法:マイページの「予約・新刊自動購入設定」より、随時解約可能です続巻自動購入は、今後配信となるシリーズの最新刊を毎号自動的にお届けするサービスです。
- ・発売と同時にすぐにお手元のデバイスに追加!
- ・買い逃すことがありません!
- ・いつでも解約ができるから安心!
- ・優待ポイントが2倍になるおトクなキャンペーン実施中!
※続巻自動購入の対象となるコンテンツは、次回配信分からとなります。現在発売中の最新巻を含め、既刊の巻は含まれません。ご契約はページ右の「続巻自動購入を始める」からお手続きください。
※ご契約をいただくと、このシリーズのコンテンツを配信する都度、毎回決済となります。配信されるコンテンツによって発売日・金額が異なる場合があります。ご契約中は自動的に販売を継続します。
不定期に刊行される特別号等も自動購入の対象に含まれる場合がありますのでご了承ください。(シリーズ名が異なるものは対象となりません)
※再開の見込みの立たない休刊、廃刊、出版社やReader Store側の事由で契約を終了させていただくことがあります。
※My Sony IDを削除すると続巻自動購入は解約となります。
お支払方法:クレジットカードのみ
解約方法:マイページの「予約自動購入設定」より、随時解約可能ですReader Store BOOK GIFT とは
ご家族、ご友人などに電子書籍をギフトとしてプレゼントすることができる機能です。
贈りたい本を「プレゼントする」のボタンからご購入頂き、お受け取り用のリンクをメールなどでお知らせするだけでOK!
ぜひお誕生日のお祝いや、おすすめしたい本をプレゼントしてみてください。※ギフトのお受け取り期限はご購入後6ヶ月となります。お受け取りされないまま期限を過ぎた場合、お受け取りや払い戻しはできませんのでご注意ください。
※お受け取りになる方がすでに同じ本をお持ちの場合でも払い戻しはできません。
※ギフトのお受け取りにはサインアップ(無料)が必要です。
※ご自身の本棚の本を贈ることはできません。
※ポイント、クーポンの利用はできません。クーポンコード登録
Reader Storeをご利用のお客様へ
ご利用ありがとうございます!
エラー(エラーコード: )
ご協力ありがとうございました
参考にさせていただきます。