ザ・ディベート ――自己責任時代の思考・表現技術
茂木秀昭(著)
/ちくま新書
作品情報
ディベートと言えば、「ああ言えばこう言う」という詭弁術とか、言葉で相手をとっちめる技術と思いがち。和を乱す「非日本的」なものとして排除されてきたのも事実だ。だが「朝まで生テレビ」はディベートではない。実は誰でも既に、会議や交渉というビジネスの場で、「テーマを設定し、データを集め、問題枠を作り、複数の議論パターンを考え、自説を主張し、相手に反駁する」という経験をしている。これをより方法的に相互の信頼のなかで実現していく技術こそがディベートなのだ。よいコミュニケーターはよいディベーター。自分の頭で考え、自分の言葉で述べ、相手の言葉を聞くための方法。
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この作品のレビュー
平均 4.3 (9件のレビュー)
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ディベートとは何かを実例を持って解説し、その教育的効果を説明している。特に人格と議論を切り離す、事実と意見を切り離すことについては、出来ていない人間が多く見受けられるため、効果として非常に大きいのでは…ないかと思った。
惜しむらくは、想定の範囲を超えた情報がなかった点。また、終盤記載の、結論ありきの社会人ディベートを教育現場に持ち込むできではないという意見に対する本書の反論が、教育現場にディベートを持ち込むべきではないという拡大した議論にすり替わっており、興醒めした。続きを読む投稿日:2018.11.08
ディベートについて、本来の定義から方法論と実践例、活用方法まで網羅した内容となっている
第1章 思考・表現技術としてのディベート
第2章 調査技術としてのディベート
第3章 コミュニケーション技術と…してのディベート
第4章 問題解決技術としてのディベート
第5章 ディベートを社会に活かす
「ディベート」について、日本人の多くが「理屈で相手を論破する言い争いの技術」「サギをカラスと言いくるめる技術」というイメージを抱いているがそれは間違いだという
討論の勝ち負けが強調されがちではあるが、本質的には「論理的に思考し表現する技術」がディベート
「朝まで生テレビ」はディベートではないと断言する
相手の主張を遮って自らの主張を割りこませる技術に長けた人の主張が受け入れられている
ファシリテーターの仕切りに依存している
本来のディベートはそれぞれの持ち時間内に主張と反証を繰り返すもの
ディベートは相手の論旨を傾聴し、議論を掌握する能力が必要
情報収集、哲学、論理展開、傾聴、問題点の発見、短時間でのストーリー構成等々の訓練法として有効である
日本人の英語がわかりにくいのは、発音や語彙の問題ではなく、文章に論理性がないという指摘
日本語でもディベートを行うことで論理性が養われ、英語の文章作成が上達するという
ディベートの5つの鉄則
・主張するものは証明すべし
・沈黙は同意を意味する
・建設的な議論をする
・人格と議論を切り離す
・意見と事実を切り離す
テーマも大きく3つに分けられる
1.事実論題
2.価値論題
3.政策論題
未知の事実については証拠が重要視される
政策は政策の立案や実効性まで考慮する必要があるので、難易度が高い
その点で、価値論題はディベートの経験が少ない人でもとっつきやすい
日本では何故ディベートが馴染まない理由としては、重いテーマに関しては公の場で発言することは憚られる風潮があるからかもしれない
ディベートの鉄則である「人格と議論を切り離す」ができないのでしょうね
どれだけ論理的でも倫理的に欠ける主張をすれば人格を疑われる可能性がある社会
本来のディベートはどちらの立場でも主張できる「技術」だけれども、「意見」の方が重要視されるからか?
センシティブなテーマや一歩間違えると差別的な主張になってしまうテーマに関しては口を噤むのが良しとされる風潮のままでは、ディベートという文化は根付かないと思う
では、どうやって意見が表層化しているかというと、現代の日本ではネットの影響力が強くなってきているのではなかろうか?
ただ、意見の多寡や影響度を為政者やメディアがいいように操っているわけで、それも実態を表してはいない
それらの意見を無視した方針を打ち出す政府ですものねぇ
選挙では人や政党を選ぶしかないけど、個別の政策について議論するする場があったらいいのにとは思う続きを読む投稿日:2023.01.21
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