国語教科書の闇
川島幸希(著)
/新潮新書
作品情報
国語の教科書が、変だ。「羅生門」「こころ」「舞姫」は、議論もされずに「定番教材」と化し、横並びで採録される没個性ぶり。国語教科書がここまで画一化したのはなぜなのか? そもそも、これらの「暗い」作品は教材にふさわしいのか? 「定番小説」という謎、知られざる舞台裏、採択を決定する「天の声」、教員の本音、仰天の実態。問題は歴史教科書だけじゃない。もう一つの「教科書問題」がここにある。
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商品情報
- シリーズ
- 国語教科書の闇
- 著者
- 川島幸希
- 出版社
- 新潮社
- 掲載誌・レーベル
- 新潮新書
- 書籍発売日
- 2013.08.10
- Reader Store発売日
- 2014.06.27
- ファイルサイズ
- 0.7MB
- ページ数
- 188ページ
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この作品のレビュー
平均 3.5 (10件のレビュー)
-
国語教科書はなぜ「羅生門」「こころ」「舞姫」といった定番小説ばかりなのか。
著者は本書中にて
①1970年改訂の学習指導要領で「主題や要旨を的確にとらえ、それについて自分の考えを深めること」が強調さ…れ、比較的主題の捉えやすい前述の3作品が選出されたため
②1990年代以降の少子化の影響で〝教科書会社の淘汰〟が起こり、定番小説を外すという挑戦的な編集方針で教材を選定することが極めて困難な状況になったため
という2つの理由を挙げている。
また、著者はこの状況を踏まえて、現代の高校生にとっては難解な上、後味が悪く悲惨な結末の作品であるこれらの作品が、子供達の国語嫌いや読書嫌い、ひいては昨今話題になっている読解力の低下を促していると警鐘を鳴らしている。
私も以前まではこの意見に賛成であった。
私自身読書が好きになったのはつい最近であり、その前までは「なんで羅生門なんて読まなきゃいけねえんだよおお(゚Д゚)ゴルァ!!こんなんほぼ古典じゃねえかよおおお(゚Д゚)ウゼェェェ」と思っていた。
周りを見ても国語の授業は寝てるか机の下でスマホをいじっている生徒が大半だった。
こんなことなら本屋大賞作品などもっと中高生に親しみやすい作品を題材にしたほうがいいのではないかと思った。
しかし、本当にそれで現代の若者の国語嫌いや読書離れを改善することができるのだろうか。
たしかに本屋大賞の受賞作品は私達学生にとって幾分親しみやすいものが多いとは思うが、それらをほんの数ページ教科書で扱っただけで世の読書嫌い中高生に読書の魅力をわからせるような優れた作品は残念ながらまだ存在しないと私は思う。
というのも、人の感性は十人十色であり、感銘を受ける作品も人それぞれであるからだ。
人に勧められた本を読んでみたがつまらない、というのもこれが原因であると思う。
それ故、たとえ「羅生門」や「こころ」や「舞姫」を違う作品に変えたとしても、それは国語嫌いや読書離れの根本的解決には至らないのではないか。
また、私のようなものにとっては普段大衆小説ばかり読んでいるため、授業などで半強制的に自分の興味のなかったジャンルのものを読めて逆に嬉しいといったこともある。
何がともあれ、私はこれらのような小説が現代の国語教科書において定番化していることは、特に問題視することでもないと考える。
むしろ若者の読書離れを食い止めるためには我ら図書委員が精力的に活動しなくてはならないのだ…(●´ω`●)ゞエヘヘ続きを読む投稿日:2019.12.29
「羅生門」「こころ」「舞姫」。これらの作品を、授業でどう扱ったらよいか悩ましい。生徒たちに何を教えたらよいのか、模索し続けている。一応「羅生門」では小説の型を、「こころ」では利己心と罪悪感を、「舞姫…」では社会と自己の葛藤を、教えることにはしているが。
著者は、これらの作品がほとんどの教科書に掲載されていることを批判的にとらえている。掲載の意図はあるにせよ、それが生徒に伝わっていない、国語嫌いを生産するばかりで教科書にはふさわしくないものだ、と。
これかの作品がふさわしいかどうか、私の中ではまだ答えは出ていない。しかしこれだけ多くの教科書に採録されるのには意味があり、自分がそれを明確に理解できていないだけではないか、とも思ってしまう(教科書に載る作品はすばらしい、という思想に近い危険な発想ではあるが)。著者は1人の教科書編集者にしか話を聞いていないが、もっと多くの教科書編集者の話を聞いてみたいものである。また、新学習指導要領に則った新しい教科書はどのような編集になるのか、興味深い。続きを読む投稿日:2019.10.31
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