河内源氏 頼朝を生んだ武士本流
元木泰雄(著)
/中公新書
作品情報
十二世紀末、源頼朝は初の本格的武士政権である鎌倉幕府を樹立する。彼を出した河内源氏の名は武士の本流として後世まで崇敬を集めるが、祖・頼信から頼朝に至る一族の歴史は、京の政変、辺境の叛乱、兄弟間の嫡流争いなどで浮沈を繰り返す苛酷なものだった。頼義、義家、義親、為義、義朝と代を重ねた源氏嫡流は、いかにして栄光を手にし、あるいは敗れて雌伏の時を過ごしたのか。七代二百年の、彼らの実像に迫る。
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商品情報
- シリーズ
- 河内源氏 頼朝を生んだ武士本流
- 著者
- 元木泰雄
- 出版社
- 中央公論新社
- 掲載誌・レーベル
- 中公新書
- 書籍発売日
- 2011.09.25
- Reader Store発売日
- 2014.12.21
- ファイルサイズ
- 0.8MB
- ページ数
- 228ページ
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この作品のレビュー
平均 4.0 (25件のレビュー)
-
現在の大河ドラマも同時代を背景としており、なんとなく読んでみた。
ドラマ同様、登場人物が複雑で取っつきにくいのだが、読み進めるうちに徐々になれてきて、面白くなってきた。
歴史書だけを参照しては浮かびあ…がってこない人物の生きざまが描かれているところに、引き込まれていくのではなかろうか。
武家も貴族の一派であるという理解だけで、清和源氏、桓武平氏の意味するところや、豊臣秀吉が将軍ではなく関白に就いた経緯が推量でき、歴史への興味も湧いてきた。
読み終わった後、不人気といわれる大河ドラマが面白くなったことも付け加えておきたい。続きを読む投稿日:2012.08.18
源頼朝は治承四年(一一八〇年)八月一七日に挙兵した。頼朝は後白河法皇の皇子である以仁王の平家追討の令旨を大義名分とした。但し、頼朝は令旨を四月に受けたが、しばらくは動かなかった。八月に挙兵した動機は様…々な面がある。
第一に平家が令旨を受けた諸国の源氏追討を計画しており、討伐される前に挙兵したとする。この説に立つ場合、頼朝には奥州平泉に逃亡するという選択肢もあった。逃亡ではなく、挙兵を選択した理由が問題になる。北条政子らの伊豆での生活を失いたくなかったという理由があるだろう。頼朝自身にも一所懸命の鎌倉武士のマインドがあった。
第二に後白河院の密命が下ったとする。後に後白河院を「日本一の大天狗」と罵るが、頼朝は後白河院に恩義があった。頼朝は平治の乱で捕らわれて殺されるところを清盛の継母の池禅尼に助命された。しかし、これは池禅尼自身の慈悲心よりも後白河院の姉の上西門院の意向を反映したものであった。
「後白河院とその姉上西門院は、平治の乱で彼を救った恩人である。その後白河が、今や平清盛の暴虐によって幽閉され、院政を停止されていた。頼朝が奮い立つのも当然かもしれない」(元木泰雄『河内源氏 頼朝を生んだ武士本流』中公新書、2011年、206頁以下)
第三に三浦氏や千葉氏ら有力東国武士団の後押しである。平家は多くの国を知行国とし、目代を派遣して東国の直接支配を進めた。在地の武士団は圧迫を受けており、平家に対抗する神輿を望んでいた。
鎌倉幕府は伝統的な歴史観では朝廷の支配下で低い身分に甘んじていた武士が自立したと説明される。しかし、既に東国は朝廷の支配が弱まり、東国の武士団は元々自立していた。ところが、平家政権が成立すると平家が京から全国の武士を統制しようとした。これに対して東国武士団は反発した。朝廷への反発よりも平家への反発であった。続きを読む投稿日:2022.12.02
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