安田講堂1968-1969
島泰三(著)
/中公新書
作品情報
一九六九年一月、全共闘と機動隊との間で東大安田講堂の攻防戦が繰り広げられた。その記憶はいまもなお鮮烈である。青年たちはなぜ戦ったのだろうか。必至の敗北とその後の人生における不利益を覚悟して、なぜ彼らは最後まで安田講堂に留まったのか。何を求め、伝え、残そうとしたのか。本書は「本郷学生隊長」として安田講堂に立てこもった当事者によって、三七年を経て、はじめて語られる証言である。
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商品情報
- シリーズ
- 安田講堂1968-1969
- 著者
- 島泰三
- 出版社
- 中央公論新社
- 掲載誌・レーベル
- 中公新書
- 書籍発売日
- 2005.11.25
- Reader Store発売日
- 2014.12.21
- ファイルサイズ
- 13.6MB
- ページ数
- 364ページ
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この作品のレビュー
平均 3.4 (12件のレビュー)
-
日本大学の使途不明金問題、東京大学医学部の研修医制度の改善。
元々はこのふたつが問題の中枢だった。だが、時代は「政治の季節」。
ベトナム反戦、空母エンタープライスの佐世保入港、第1羽田闘争、
第2羽田…闘争。学生が大学へ抵抗した運動は、いつしか政治の色を
濃くして行った。
そのなかで起きたのが全学連を主体とした東大・安田講堂占拠事件で
ある。本書の著者は安田講堂へ立て篭もった当事者であることもあって、
あの時、立て篭もった学生たちの間ではどんな考えがあり、何を思った
のかを知りたいと購入した。しかし、期待は大外れである。
本書は自己正当化と思い出の美化以外の何物でもない。大学をはじめ、
警察等への権力との抗争という点は分からぬでもない。だが、学生からの
投石が原因で亡くなった警察官の死さえも、機動隊投入を決定した大学側
が悪いって論理はないだろう。
「青年たちは命を懸けて…」と言うような記述が頻繁に出て来るが、講堂に
突入した機動隊員たちに「暴力はやめろ」と叫んだのは今まで散々、石や
火炎瓶を投げつけて来た当人たちではなかったか。
「どうせ死ぬ勇気もない連中」と三島由紀夫が評した通りではなかったか。
若い頃、戦争ごっこをしていた。その時代に対するノスタルジーだけで書かれた
書である。歴史的証言として読む価値はない。今からでも遅くはない。著者は
自己批判をせよ。あの時代の自分自身を総括せよ。続きを読む投稿日:2011.02.18
このレビューはネタバレを含みます
2005年刊。著者は、東京大学理学部在学中の1969年、所謂「安田講堂籠城事件」に参加し、懲役2年の実刑判決を受けた人物。
レビューの続きを読む
本書はこの「安田講堂籠城事件」の前後の模様を、内側から体験談的に叙述する…書である。
これこそ体験談(ただし種々の史料にあたっており、引用も多い)と言える生々しさ。
感傷過多な点は青春回顧録の面もあるからだろう。事実をきちんと列挙している以上、この程度の感傷的叙述は個人的には許容できる。
さて、叙述からは著者らは、日本共産党配下の者や新左翼とも対抗・対立し、彼らとは全く違う目標があったことが伺える。
それは例えば、①インターン無給の是正。②カレーライス一杯50円の時代、30億円もの使途不明金を出し、これに対する弁明をしなかった日本大学の経営陣への批判と情報開示。そしてなによりも、③官憲の大学構内への干渉を唯々諾々と承認した東京大学の総長その他教授会の面々の唾棄すべき姿勢への反発である。
これらは政治変革や権力奪取を目指したのではなく、個別具体的マターの対応方に対する抗議でしかない。
そもそも、ベトナム反戦運動とて権力奪取を目指したもの、すなわち革命を目指したものとは直ちに評し得ないだろう。
このような個別マターの解決に向けて、自分の未来と、命とを賭して異議申立を行い、強権発動に抵抗した。
今の自分が、この万分の一だけの熱量でも持ちながら、事に当たれているか?。そういう意味では、粛然とさせられた一書である。
ただし、本書の内容で残念なのは、籠城事件による逮捕の後、代監等での勾留・取調べの模様や、爾後の刑事裁判が殆ど叙述されない点だ。
司法もまた、ある種の官憲による措置であるはずだからだ。
ところで、かかる境遇下にありながら、著者は京都大学で理学博士を取得し、ニホンザル生息地保護管理調査団主任研究員、マダガスカル国派遣専門家として霊長類研究指導をするというキャリアを積んだ。
この経緯や事情は詳らかではないが、京大の懐の深さを想起できるエピソードではある。続きを読む投稿日:2016.12.03
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