森林異変
田中淳夫(著)
/平凡社新書
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※この商品はタブレットなど大きいディスプレイを備えた端末で読むことに適しています。また、文字だけを拡大することや、文字列のハイライト、検索、辞書の参照、引用などの機能が使用できません。二一世紀に入り、日本の森は一大転換期にある。国産材の需要が高まる中、現場には大型機械が導入され、一〇〇ヘクタール以上の大規模な伐採も行われている。しかし造林がなされず、荒地となった林地も少なくない。さらに林業従事者の減少と高齢化に歯止めがかからず、これで打ち止めにするための伐採も散見される。国際森林年を契機として、山の人も街の人も、日本の森の未来をじっくりと考えてみよう。
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1950年代に外材の輸入が次々に解禁されて木材の供給が増えたことにより、価格は売り手側から買い手側に移って下落した。伐採・搬出、加工、流通ではコストを下げられなかったため、下落した価格に合わせて立木価…格は下げられた。また、植林や下刈り、間伐などに補助金が支出されたことによって、作業方法や販売方法の見直しの努力が行われず、採算度外視で伐採して価格が下落するという悪循環を引き起こした。
外材の輸入解禁に合わせて、営業から建材の調達まで一貫して請け負うハウスメーカーが登場した。建材を大量に仕入れて価格を下げるために、プレカットを利用したため、外材が木造住宅の主流となった。国産材は和室用の役物や集成材の化粧張りに利用されていたが、壁にクロスを張る大壁構法が進んだことで役物の需要は失われた。
2001年にスギB材(間伐材など)を用いた合板づくりが始められ、表面に外材を用いたサンドウィッチ工法も開発された。2004年、国内の合板・集成材メーカーに国産材用の機械を導入する助成制度が設けられたことによって、杉材を用いた合板や集成材を大量・高速に製造できる機械が17の工場で導入された。2000年から数年間は18%台だった木材自給率は、2005年から上昇し始め、2009年には27.8%まで回復した。
京都府南丹市の日吉町では、森林整備を請け負うための企画書を森林所有者別に作成して、作業を集約化する「森林プラン」を作成する事業を進めている。長野県上田市のNPO法人フォレスト工房もくりは、森林と共に暮らす仕組みを構築する活動の一環として、地域の木を使ってつくったベンチや格子を設置して街の風景を向上させる景観木工品設置プロジェクトを実施している。
家具などを製造・販売するワイス・ワイスは、商品の材料調達において合法木材と国産材に見直すプロジェクトを実施している。
資金面や後継者不足の理由から、伐採しても再造林を放棄する事例が増えている。森林面積のおおよそ5%が無立木地と推測されている。伐採直後は木の根が土壌を掴まえているが、5〜10年経過すると根が腐朽してくるので土砂崩れの危険が出てくる。続きを読む投稿日:2015.08.06
[まとめ]
・外材は国産財より高い。
・吉野杉というブランドを活用した産地偽装
・国産木材業界の怠慢が林業不振の理由
・伐採禁止国の増加による世界的な木材需要の拡大
・合板業界の国産材へのシフト
・林…野庁のB材利用促進策
・伐採が進む理由 再造林すると赤字になる。
・木材を高く売るための努力が必要続きを読む投稿日:2016.09.21
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