保科正之 徳川将軍家を支えた会津藩主
中村彰彦(著)
/中公新書
作品情報
徳川秀忠の子でありながら、庶子ゆえに嫉妬深い正室於江与の方を怖れて不遇を託っていた正之は、異腹の兄家光に見出されるや、その全幅の信頼を得て、徳川将軍輔弼役として幕府経営を真摯に精励、武断政治から文治主義政治への切換えの立役をつとめた。一方、自藩の支配は優れた人材を登用して領民の生活安定に意を尽くし、藩士にはのちに会津士魂と称される精神教育に力を注ぐ。明治以降、闇に隠された名君の事績を掘り起こす。
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商品情報
- シリーズ
- 保科正之 徳川将軍家を支えた会津藩主
- 著者
- 中村彰彦
- 出版社
- 中央公論新社
- 掲載誌・レーベル
- 中公新書
- 書籍発売日
- 1995.01.25
- Reader Store発売日
- 2014.12.21
- ファイルサイズ
- 2.9MB
- ページ数
- 204ページ
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この作品のレビュー
平均 3.5 (12件のレビュー)
-
著者は保科正之に惚れ込んでいるのだなぁ。
保科正之は確かに政治家として優れた人間かもしれないけれども、彼の素地となった朱子学なるものこそなかなかの代物なのではなかろうか。
会津が悲しき歴史を背負う…こととなり、正当な評価を受けることなく、歴史の影に葬られようとし、そこから著者のような人間が事実を掘り起こし、会津の素晴らしさを伝えてくれることに感謝はするが、ちょっと主観が強い気がするし、根拠も弱いかなと思った次第である。
ただ、現代にはもはや絶滅危惧種となってしまった、真の意味での政治家であったことは、政策から伺えたのは良かった。
もう少し、会津の勉強しよ。続きを読む投稿日:2023.05.30
ゴジラに破壊されようが、巨神兵に薙ぎ払われようが、華の都大東京の象徴・東京タワーは再建されるが、華のお江戸の江戸城天守閣は再建されなかった。それはなぜかと問われれば、初代会津藩主の名君保科正之がいた…からだ。
3代将軍の家光の異母弟として生を受け、権力争いに巻き込まれることを避けてひっそりと育てられていた正之だが、その存在を知った家光に抜擢され、その才能を評価されてからは右腕として手腕を発揮した。頼朝と義経みたいだが、最期までその兄弟愛が深かったところが違う。
明暦の大火により焼け落ちた天守閣の再建よりも民の復興を優先すべきであると献策し、天守再建論を退けた。また人口増加により深刻化していた江戸の水不足を解決するために、玉川上水の掘削事業にも着手する。(どうでもいい話だが、保科正之がいなければ太宰治が入水自殺をすることもなかったといわれているらしい)
会津藩主になってからも将軍の信頼厚く江戸を離れることができなかった正之は、遠隔の地から藩政を行った。
民中心の政治姿勢は江戸でも会津でも変わらなかった。
飢饉や不作に備えて、備蓄米を常に一定量蓄えたのもそのひとつ。米を貨幣代わりに備蓄するのではなく、災害時の救済米という目的限定で蓄えておくことをしている藩はなかったらしい。
のちに奥羽諸藩が飢饉に苦しんだ時も会津藩からは餓死者が出なかった。救済米として他藩に分け与えてもいる。
そんな名君なのに、なぜ今じゃ知る人も少ないのか。
深く考えずともわかると思うが、薩長閥の支配した明治新政府が、会津の藩主のことなんかよく言うわけがない。だから次第に忘れられてしまったのだ。
正之の思想信条が後々まで藩の命運を左右してしまった有名な会津家訓十五箇条。
「君の儀、一心大切に忠勤を存すべく、列国の例を以て自ら処るべからず。若し二心を懐かば、 則ち我が子孫に非ず、面々決して従うべからず。」
これによって松平容保は京都守護職という火中の栗を拾わざるを得なくなってしまった。
ああ、この一条さえなければ・・・
他にも「婦人女子の言、一切聞くべからず」という一条もある。
今なら炎上必死のこの一文は、悪妻が政治に口を挟み、汚職や権力闘争に暗躍したからだとか。
名君といえども女を見る目は節穴だったか。続きを読む投稿日:2017.06.26
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