この作品のレビュー
平均 4.0 (8件のレビュー)
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酒場の雰囲気を活き活きと描写
BSでたまたま見た「吉田類の酒場放浪記」
この番組に惚れて購入しました。
酒場の雰囲気が活き活きと伝わる名著です。今度の休みにぶらりと酒場に行ってみようかな・・・投稿日:2013.11.05
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「酒場という聖地へ、酒を求め、肴を求めさまよう…」でおなじみ(?)、吉田類の本。東京にある、昔ながらのカウンターに大将と女将に常連さん、のような居酒屋について、俳句を交えてエッセイ風に紹介、かと思っ…たら、俳句がメインになって、酒場俳句について語る、かと思ったら、飲んだ時のエピソードが短編小説風に書かれて、最後に「酒場八十八句集」を味わって終わり、という本。人柄が滲み出るような書きっぷりで、読みやすい。
BSのあの番組を知らなければ、というか類さんの人柄とかあの語り口を知らなければ、あと店で飲むのが好きでなければ、この本の面白さは言うまでもなく半減してしまうので、割と読者を選ぶ本なのか。逆に言えば、類さんの番組を見て、「このおじさん、飲んでばっかりでいいなあ~」とか思う人は読んだら面白い。「いいなあ~」と思っていたけど、撮影の苦労話もあって、やっぱり本当に心底楽しめる訳でもないのね、というのが分かった。「撮影用に利用できるスペースは、カウンター席と壁との間に置かれた小さなテーブルだった。肩幅のある大人にはかなり窮屈で、僕は半身に腰掛けるしかなかった。(略)ひたすら元祖酎ハイや純米吟醸やらで自らを鼓舞し、場に馴染む努力を強いた。(略)優先されるべきは流儀でなく映像だ。酔いの勢いを借りた笑顔と麻痺した味覚上のコメントをカメラに向かって発言するしかなかった。」(p.100)など。他にも店名はもちろん明かされていないが、まずい料理をさも美味しそうに食べるのが大変、みたいな話もあって、笑ってしまう。
撮影の裏話的な要素も面白いが、おそらくメインは酒場の雰囲気を俳句とともに表す、ということで、飲みの「流儀」やお酒そのものに関する蘊蓄もたくさん書いてある。「富を誇ったり経歴を披露することは、雑多な人間が集う酒場の話題には向かない。(略)武勇伝や武道歴を、それとなく話題の中にちりばめて誇示しようとする者にもときどき出会う。酒場で、さほど面識のない相手にこれを自慢するのは度量の狭い愚か者のすることである。小心で実力のない者ほど酔うとたちが悪い。」(p.16)というのは、そうだろうなあと思う(とはいえ、こういう酒場、おれは全然行かないのだけれど)。「酔うとたちが悪い」というのは、本当に避けましょう。酔って品が良くなる(?)人になりたい。木場の「河本」(もう閉店してしまったらしい)は、ネコの話が印象的だ。「あるとき、人間の手で腰骨を砕かれたハンジロウが、下半身麻痺のまま前足だけで『河本』の猫窓の下に帰り着き」(p.24)って、なんてことする人間がいるんだ、というところで引っかかって、その後おれの大好きなホッピーの話もあるのだけど、なんか入ってこなかった。次は中野のブロードウェイにあった「八千代」という焼き鳥屋。「旧くて安定した店には、『常連のはじまりは、一見から』というモットーが定着しているからだ。また、過剰な愛想がないのも特徴。」(pp.58-9)という店の一つとして紹介されている。なかなか「常連」になる程の店が作れない(1軒だけそれに近い店はあるのだけど、といっても酒の飲めるピザ屋。でもおれそんなにコンスタントに通わないので…、未だ店主に認められているのかよく分からん)けど、もっとオッサンになったらそういうこと出来るのかなあ。おれにとってはまだ大人の世界。ちなみにおれより10歳上の先輩は、すでにそういう店があって一人で行ったりするのだそうだけど、おれ一人でそういうところ行くのが半年に1回くらいしかないので…。とにかく、過剰な愛想のある店は安定してないってことなのか、とか色々思った。あとホッピーとともに大好きなハイボール(というか、プリン体&糖質を気にしているだけなのだけど。本当に好きなのはビールです)。「ハイボールの名称は、アメリカの荒野を走る鉄道の駅で乗客向けのサービスととして用意した炭酸水(ノンアルコール)のような飲み物が由来らしい。それが飲める場所を示すために目印として揚げた風船、いわば小さなアドバルーンの役目を果たした高い(High)・球体(Ball)からとされる。」(p.78)って、そうなのか。全然知らなかった。でもhighballよりはやっぱりwhisky and sodaと言うのが英語では一般的だそうで、「ハイボール」の名称が日本でこんなに流布しているのが不思議だ。そしてこのハイボール、というか酎ハイで「天羽飲料のエキス」(p.81)というものが飲める店があるらしく、一度飲んでみたいかなあ。お酒の話がひと段落して、類さんの酒飲みエピソードの話もあって、面白い。特に面白いのは「ハードボイルドな一夜」(pp.155-8)の話かなあ。ずっと酒飲んでたら、こんな目にも遭うのか。最後の「あとがき」のところで、「この頃、年を経るごとに自分が意地悪爺さんに向かっているような気がしてならない。優しい人と言われれば、素っ気なく振る舞ってしまい、山好きかと問われれば下町が恋しいと答えてしまう。これは江戸っ子気質の一種"天邪鬼"というやつらしい。これではますますいばらの道を択んで歳を重ねていくしかなさそうだ。」(p.188)とあって、テレビの類さんはそんな感じじゃないので、意外(年を重ねて、と言ってもこの本既に16年以上前の本だけど、今はどういう心境なんだろうか)。でも類さんの場合は、人間臭さがあっていいんじゃないかなあ、とか。
という、酒飲みの本が2021年一発目の本になってしまった。なかなか外の店にも行けない時期なので、類さんのテレビを見ながら雰囲気を楽しもう。(21/01)続きを読む投稿日:2021.01.14
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