日本財政 転換の指針
井手英策(著)
/岩波新書
作品情報
「破綻」や「国債暴落」という警告の言葉に脅え、財政を「再建」することが、本当に社会に共通の善なのか。尊厳と信頼の社会を構築するための財政の条件とは何か。赤字の原因を日本社会の構造から解き明かし、「ユニバーサリズム」の視点から、受益と負担の望ましいあり方、そして新しい財政のグランドデザインを提言する。
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商品情報
- シリーズ
- 日本財政 転換の指針
- 著者
- 井手英策
- 出版社
- 岩波書店
- 掲載誌・レーベル
- 岩波新書
- 書籍発売日
- 2013.01.22
- Reader Store発売日
- 2013.03.22
- ファイルサイズ
- 2.7MB
- ページ数
- 232ページ
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この作品のレビュー
平均 4.1 (14件のレビュー)
-
日本財政の今後のあり方を問う書。日本の財政赤字の原因は支出の増大ではなく、減税に伴う税収の減少だという指摘。財政再建のための増税では租税抵抗を受けるだけなので、財政学の伝統的な考え方である量出制入原則…に基づき、国民のニーズを満たすことが必要と説く。これによって増税も受け入れやすくなるという話。ニーズの確定が先だという話もよくわかるが、日本の財政赤字はかなりの額で破綻もあり得るという議論もあるので、破綻の可能性についても触れて欲しかった。続きを読む
投稿日:2013.05.12
〈感想〉
○著者のあるべき論が先行しており、裏付けの数字への担保が薄い。
・税収の拡大を許す根拠が虚弱であり、弱い。著者の展開する思想とあるべき論とセットで、具体的な財政プランと数字を提示出来ていれば…、指針として説得感が増した。
・税収の減少や過去の日本財政の分析については興味深い。但し、分析が著者の構築したフレームワークに寄りすぎている感も否めない。
〈要点〉
○財政の理念とは:ユニバーサリズム
→・所得年齢や性別関係なしに、人間のニーズを果たしていく=○社会や政府からどのように扱われたか、という論点
○今までの日本財政は:「増税出来ない政府」
→◎減税が重要な利益分配
→・1990年以降の法人税、所得税の減税により、バブル崩壊後、一般会計に占める税収の割合が減少。
└1989年の消費税導入は所得税及び法人税の減税がセットであり、97年度消費税増税も所得税減税がセット。
→・減税分により福祉や教育などのサービスを購入。
→◎土健国家:財政投融資を中心とした公共事業への投資を通じて、雇用を創出
→・自民党保守政治を中心に、救済ではなく、働く機会を与えるという発想が多かった
→◎支出上限による締付け=支出構造の改革諦め:個別の資源配分を犠牲。有るべき論の欠如
→・大蔵省の戦略:禍根の残る個別予算での論争を避け、総枠で管理するため
←・予算性質で分けるアメリカとの違い:
○今後どういった施策が実施すべきなのか:
→◎国と地方の役割の定義と、それに沿った財源の割り振り
〈その他〉
・アメリカの予算制度改革
→・義務的経費と裁量的経費に対するルール適用
→1、義務的経費増大させる場合は、経費の節減や増税による財源捻出を義務。守られない場合、当該年度の開始年度に義務的経費の一律削減
└新たな立法措置が起因の場合のみで、高齢化・インフレによる自然増加は対象外
→2、裁量的経費は、予算に関連する委員会ごとで支出の上限を設定。
・鳥取県智頭町の事例
・累進課税:基準が恣意的になりがち=納得感が得られにくい続きを読む投稿日:2020.01.03
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