この作品のレビュー
平均 4.3 (807件のレビュー)
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内容は重めですが、遠藤さんの小説の中で一番好き
遠藤さんは「不気味な静寂」を実に巧みに表現する作家さんだと思います。その場の空気、ほこりっぽさなんかまで伝わってきて、主人公と同調して息苦しささえ感じるほどです。この作品でも村に踏み込んだときの静寂が…、恐ろしい予感と共に描き出されており、真にリアリズムを追及する作家なんだなとつくづく思います。
クライマックスは、かつて敬愛した師との残酷な対面の場面。残酷なのは、なにもひどい体罰を加えられたり、むごい死に様の死体を見せられたりということではないのです。一番恐ろしい恐喝者は叫んだり激することをしないと言います。まさに、それ、です。
遠藤さんは、「私はカソリックだが、私が生きていた時代に踏絵があったら、私は絶対踏んだだろう。間違いない。」というようなことを別のエッセイ集で語っています。そう素直に吐露できる人の書いた踏絵の話、興味がわきませんか?続きを読む投稿日:2016.07.20
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信じる者は救われる?
映画のCMを見て原作に興味を持ち、読んでみました。遠藤周作の本は戦国時代物を読んだ記憶があるのですが、キリスト教関係の本をたくさん書かれていたとは知りませんでした。
この本とは関係なく、日本人ってそ…れほど神様に頼っていないのではないかと考えることがあります。地震や災害も神様が起こすこと、しょうがないよね、みたいな。
本作を読んで、キリスト教はイエスによる救いをより強く求めている感じがしました(もちろん誤解があるかと思いますが)。主人公の宣教師は色々と苦難にあい、今こそイエスの奇跡が起こるべきだと考えますが、何も起きません。キリストも磔刑の時に「神よなぜ私を見捨てるのですか」と言ったとされています。
そんなに都合のいい救いなんてないよね。と思ってしまう自分は普通の日本人なのでしょうか。
遠藤周作がクリスチャンだったことも初めて知りましたが、さらにこのようなキリスト教徒の受難の時代の、ほとんど救いのない話を書いていたことにさらに驚きました。どういう思いを持って書かれたのでしょうか。他の本も機会があれば読んでみたいと思います。
最後、主人公が心の中で折り合いをつけることができたのが、せめてもの救いでした。
続きを読む投稿日:2017.05.01
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