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最近政治に進出してきたある教団が、「方便の時代」からの路線変更を示したことを語る上で欠かせない一冊でしょう。
世界の宗教の見方は学問的に見ても非常に優れていると思います。
こういう大きな視点から…宗教を語られると、読む側もロマンを感じて「そうだ!」という風になびいていってしまうんでしょうね。
今まで「霊言」をたくさん降ろしてきていた高橋信次を「裏側の仙人」と位置づけ、GLAとの決別をはかります。
そして、気になるのが、
「現代の悪魔は巧妙であって、思想的な方向からも入ってきて、思想において人々を狂わせるということをします。
さらには、みずからには信仰心がないことをよいことに、他の人間の信仰心をゆさぶる人間が出てきます。そこに悪魔が入り込んでそれを増幅させます。『疑』の心を増幅して、ユートピア建設のために生きている人たちを撹乱妨害するような人もでてきます。
悪魔の手段はいつも疑と失望です。大勢の人間がいればいるほどいろいろなところで矛盾が出てきますから、その矛盾をついて撹乱したり、あるいは弱いところにつけこんで揺さぶりをかけたりします。これが悪魔の常套手段です。
しかし善意なるひとはこの悪魔から逃れる方法があります。それは信仰心を確立するということです。
悪魔に翻弄されているひとの顔を見てください。その人の言動を見てください。他人の悪口しか言わない。猜疑心でしか人を見ない。嫉妬心でしか考えない。やっかみ、愚痴、不平不満、そのようなことばかりをやっています。
そして、信仰を失った結果奈落の底におちます。その人自身の人生観がすでに悪魔的なものとなっています。」
「信仰を犯す罪が最大の罪なのです。」
という箇所。
信じる人間からしてみれば、それに対して―たとえ良心からでも―批判をする人間を許さない。都合の悪いものはみんな「悪魔」にしてしまう。排除してしまう。都合がいいんです。そのほうが。
そして、「信仰心:教祖への服従」が絶対という図式になっていく。
組織が犯す、ひとりひとりの人権を踏みにじることになっても、それに対して批判を言うことは、「組織への揺さぶり」「嫉妬心」「愚痴」とされてしまうんですね。
失望してはいけない、と。
そこに悪魔が入って地獄へとまっさかさまだ。
だから、「信じる」ことで戦え、と。
本書では「疑いの心」を抱くことを様々な箇所で徹底的に禁じ、「和合僧破壊は最大の罪」「疑いから悪魔が入る」というようなことを言っています。
「カルト」というのは決して「怪しい集団」ではなく、
むしろ優しく、どこまでも純粋で、思いやりがあり、明るく、勇気があり、理想を語り、世界を見つめることのできる人々の集まりなんです。
私たちが、それを批判できないのは、彼らが私たちの何倍も「善人」であるからなんです。
「宗教なんていいとこどりでいいんです」なんて語る人がいるが、
「いいとこ」を取っているうちに、いつの間にか疑えなくなるまで取り込まれてしまっているから、難しいんです。
あと、本書は1995年の本ですが、
「共産主義体制は北朝鮮でも中国でもあと10年以上生き延びることはできない。
放置しておいても崩れるものを戦争によって解決してはならない。」というこの予言・・・。
ところが今は、政党で「北朝鮮から核が飛んでくる。憲法改正!日本も武力を持たなければいけない。」
自分の頭で何も考えずホイホイついていく、彼らのいく末が本当に心配です・・・。
「再誕の仏陀が地球規模での仏法真理を説くとき、人類にとって最も崇高な宗教的選択とは、唯一無二の仏陀への帰依であります。」
(「まえがき」より)
良心や言論の自由がない―というか、周りの雰囲気がそれを許さない―内部の実態を見ていて分かりますが、
こういう集団が日本を引っ張って行ったとき、たしかに一部の人の「幸福」は実現できるかもしれませんが、それ以外の人々の人権が無視され、踏みにじられることになってしまうのではないかと危惧しています。
ぜひ、これが杞憂であることを祈ります。続きを読む投稿日:2013.04.23
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