<対話>のない社会 思いやりと優しさが圧殺するもの
中島義道(著)
/PHP新書
作品情報
「何か質問は?」―教師が語りかけても沈黙を続ける学生たち。街中に溢れる「アアしましょう、コウしてはいけません」という放送・看板etc.なぜ、この国の人々は、個人同士が正面から向き合う「対話」を避けるのか?そしてかくも無意味で暴力的な言葉の氾濫に耐えているのか?著者は、日本的思いやり・優しさこそが、「対話」を妨げていると指摘。誰からも言葉を奪うことのない、風通しよい社会の実現を願って、現代日本の精神風土の「根」に迫った一冊である。
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商品情報
- シリーズ
- <対話>のない社会
- 著者
- 中島義道
- 出版社
- PHP研究所
- 掲載誌・レーベル
- PHP新書
- 書籍発売日
- 1997.11.04
- Reader Store発売日
- 2013.01.25
- ファイルサイズ
- 2.3MB
- ページ数
- 216ページ
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この作品のレビュー
平均 4.1 (55件のレビュー)
-
中島義道氏は対話を必要としているが、日本社会では対話が成り立たない構造になっている。
そのことについて半ば立腹しながら対話について考察している。中島氏のこの愚直さは良い。
たが、結局のところこの国の対…話が成り立たない構造は変わることはないだろう。無理に相手に対話を望むことは残酷なことである、とつくづく思うばかりである。
むしろ私は、対話がない故に発展した部分を考えることも重要かな、と思うのだが。続きを読む投稿日:2006.05.20
社会的弱者は言葉を否定され続け、言葉を語ることを諦めてしまう。日本の和の精神が言葉の足かせになっている。日本はルール違反に対しても寛大だが、他人の苦境も見て見ぬふりをする。要するに個人と個人のコミュニ…ケーションをほぼゼロに留めておく国だ。日本人は客観的な立場から論理を使って語るのはそれほど苦手ではない、しかし、主観的に語る対話、(ここで言う「対話」とは各個人が自分固有の実感・体験・信条・価値観に基づいて何事かを語ること)はにがてである。日本人は(一般的に)言葉を額面通りに受け取る関係よりも、発話者の意図と言葉の字面が微妙にずれることを了承するのに独特の美学をもっている。しかし、その美学にかまけて言葉や態度を軽視してはならない。対話を遂行するものは、「客観的態度」「主観的態度」の間を行く。自分の固有の状況・体験・感受性をまるごと引きずりながら、しかも客観的心理を求めて語りだすのだ。限りないわからないわかったりの揺れがあり、果てしない「ここまではわかった、だが、ここからはわからない」という限定が続く。この営みこそ対話である。生み出された対立をどう統合するのかというヨーロッパ的思考に対して、そもそも対立を避けようという日本的考え。それを認知しない考え。それを殺す考え。続きを読む
投稿日:2023.10.21
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