脱原発を決めたドイツの挑戦 再生可能エネルギー大国への道
熊谷徹(著)
/角川SSC新書
作品情報
2011年6月30日、ドイツは原子力発電所の完全廃炉を決めた。いまドイツでは、2050年までに発電量の80%を再生可能エネルギーでまかなう、という大プロジェクトが進んでいる。まさに「エネルギー革命」である。目指すのは、脱原発だけでなく、脱化石燃料の社会。こうした取り組みが、なぜドイツにできて、日本にできないのだろうか。この本は、国を挙げて再生可能エネルギー大国へと突き進むドイツのエネルギー政策の現状をレポートしたものである。ドイツ人は、地球環境を守るためならば、どんなに費用がかかってもかまわないと考える国民だ。だから、脱原発・地球温暖化対策のためならば、電力料金が高くなることも許容できるという。こうした考え方は、日本人とは大きく異なる点だ。ヨーロッパ各国から電力を輸入できるドイツと日本を、単純に比べることはできないが、ドイツの挑戦は、これからの日本のエネルギー政策を考える上で、たいへん参考になるだろう。
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平均 4.3 (5件のレビュー)
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(2016.04.07読了)(2015.07.10購入)
副題「再生可能エネルギー大国への道」
東日本大震災関連で3月に読むつもりだったのですが、4月にずれ込んでしまいました。
東日本大震災に伴う福島…の原発事故に衝撃を受けて、ドイツは老朽化した七つの原子炉の即時停止と2022年12月末までに稼働中のすべての原発の廃止することを決めました。
ドイツには、17基の原子炉があるようです。
脱原発に向けて、今後のエネルギーの安定供給をどうするのか。
電力供給の現状はどうなっているのか。
核エネルギーを使わないだけでなく、地球温暖化対策のためにCO₂の排出量削減にも熱心なドイツは、どうしようとしているのでしょう。
ドイツでは、電力の自由化が始まっているようで、発電と送電の分離も行われているようです。送電が別会社でないと新規参入の発電会社が不利になるためということです。
自国内で、電力が足りなくなる場合は、ヨーロッパの他の国からの輸入も可能ということです。
自然エネルギーの利用では、太陽光発電が注目されますが、あまり効率のいいものではなさそうです。
太陽光にしても、風力にしても、自然相手ですので、安定した電力の供給は難しいようです。そうなると、火力発電などの安定した電力供給手段をバックアップに取っておく必要はありそうです。
【目次】
まえがき
第一章 なぜドイツは原発を捨てたのか
イザー一号機停止!
福島事故の衝撃波
原発の素人の意見の方を重視
ほか
第二章 日本と大きく異なるドイツの電力市場
誰でも電力会社を変更できる
精算書に見るドイツの情報開示
電力価格を検索してみた
ほか
第三章 エネルギー革命の全貌
脱原子力は氷山の一角
ドイツでも気候変動の兆候
急拡大するエコ電力
ほか
第四章 ヨーロッパ電力市場の行方
福島事故後も純輸出国だったドイツ
単一化を加速するEU電力市場
サハラ砂漠からエコ電力を輸入せよ!
あとがき
参考文献
●メルケル首相の演説(15頁)
福島原発で、事態がさらに悪化するのを防ぐために、人々が海水を使って原子炉を冷却しようとしていると聞いて、日本ほど技術水準が高い国でも、原子力のリスクを完全に制御することはできないということを理解しました。福島事故は、私の原子力に対する態度を変えたのです。
●チェルノブイリ事故(24頁)
ドイツ人が強い不安を抱いたのは、1986年のチェルノブイリ事故によって南部のバイエルン州を中心に、土壌や野菜、粉ミルクなどが放射性物質によって汚染されるという経験を持っていたからである。特に事故後の九日間は、政府から放射能についての正式な警告が出されなかったため、ドイツ人の間には「政府は、原発事故の直後には正確な情報を公表しない」という不信感が根強いのだ。
●電力会社の精算書(44頁)
イエローの精算書には、電力がどのエネルギー源によって作られているかの内訳や、一キロワット時の発電を行うためにどれだけのCO₂が排出され、核廃棄物が出るかも表示されている。ドイツの電力会社は法律によって、こうした情報を表示することを義務づけられているからだ。
●自然(68頁)
典型的なドイツ人は、自然を、人間が勝手に支配してよい対象とは考えない。むしろ自分を自然の一部と見なし、自然との触れあいを大切にする。自然の破壊や汚染には猛烈に反発する。
●倹約(70頁)
彼らのメンタリティーの一つに、倹約好きということがある。お金に困っていない人でも、「ある商品をこれだけ安く買えた」ということを、うれしそうに自慢する人が多い。
●風力(126頁)
日本では、将来の再生可能エネルギーの柱として太陽光発電に大きな期待がかけられている。これに対してドイツの再生可能エネルギー拡大計画の主役は、風力発電である。2010年の再生可能エネルギーの設置容量のうち、48%が風力だ。
●洋上風力(129頁)
2022年までの12年間に設置容量が最も急激に伸びると予想されているのが、洋上風力である。
●太陽光発電は効率が悪い(146頁)
2011年にドイツの電力消費者は、再生可能エネルギー助成のために、約1兆3500億円のコストを払ったが、そのうち、ほぼ50%が太陽光発電の助成に使われている。それにもかかわらず、太陽光発電が発電量全体に占める比率は、2011年の時点で3%にすぎなかった。
●炭素分離貯留(197頁)
ドイツ政府と電力業界は、火力発電所で石炭や褐炭を燃やした後、CO₂を排気から分離して地中に永久貯蔵することによって、環境への排出を防ぐCCS(炭素分離貯留)という技術を開発している。
☆関連図書(既読)
「私のエネルギー論」池内了著、文春新書、2000.11.20
「激変する核エネルギー環境」池田清彦著、ベスト新書、2011.05.05
「原発社会からの離脱」宮台真司・飯田哲也著、講談社現代新書、2011.06.20
「内部被曝の真実」児玉龍彦著、幻冬舎新書、2011.09.10
「原発・放射能子どもが危ない」小出裕章・黒部信一著、文春新書、2011.09.20
「ドイツの憂鬱」熊谷徹著、丸善ライブラリー、1992.03.20
「新生ドイツの挑戦」熊谷徹著、丸善ライブラリー、1993.07.20
「住まなきゃわからないドイツ」熊谷徹著、新潮文庫、2001.03.01
(2016年4月20日・記)
(「BOOK」データベースより)amazon
福島第一原発事故から4カ月足らずの2011年6月30日、ドイツは原子力発電所の完全廃炉を決めた。同国は、2050年までに再生可能エネルギーの発電比率を80%にするため、国を挙げて動き出した。脱原発だけでなく、脱化石燃料への挑戦である。なぜドイツはそれが可能なのか。日本の電力事情と比較しながら、脱原発に至る40年の歴史、電力完全自由化までの障壁、産業界の反応、国民の覚悟など、再生可能エネルギー大国へ突き進むドイツ・エネルギー政策の現状をレポートする。続きを読む投稿日:2016.04.20
ドイツの電力事情を理解するには十分。
さらに3年経って状況はまた変化しているので、続報を欲す。
ただ、日本の電力への提言は、周波数統一、というだけなのはさみしい。投稿日:2016.02.06
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