溝鼠
新堂冬樹(著)
/幻冬舎文庫
作品情報
復讐を請け負う代行屋、鷹場英一。他人の不幸とカネを愛し、対象者に恥辱と絶望を与えることを何よりの生きがいとしている。この日も依頼を受け、女の髪と眉を剃り落とし、頬を切り裂いた。報酬は二百万円。「仕事」は完璧だった。だが、英一の前に九年ぶりに現れた父親に、偽の依頼だったことを明かされる……。人間の欲望を抉り出す、暗黒エンタテインメント超大作!
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商品情報
- シリーズ
- 溝鼠
- 著者
- 新堂冬樹
- ジャンル
- 小説 - ミステリー・サスペンス・ハードボイルド
- 出版社
- 幻冬舎
- 掲載誌・レーベル
- 幻冬舎文庫
- 書籍発売日
- 2011.02.04
- Reader Store発売日
- 2012.06.29
- ファイルサイズ
- 1MB
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この作品のレビュー
平均 3.7 (4件のレビュー)
-
このレビューはネタバレを含みます
ピカレスク小説という分類に属する小説がある。有名なところでは、黒川博行などの作家がいると思っているが、本作も、そして本作を書いた新藤冬樹という作家もまたこの系列に連なるであろう。個人的な意見としては、ピカレスク小説はハードボイルド小説の形式をとるものが多いと思っていた。本作『溝鼠』もまた、そうした形式で書かれている小説だと思い手に取った。
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本作に登場する人物は、悉く悪人である。「本当はいい奴だった」なんてこともない。とにかく極悪の限りを尽くす者ばかりで構成された物語と言っていい。当然暴力シーンは多いし、いや、ほとんどの場面が暴力シーン中心に進むというのが正しいだろう。そして、悪人であると同時に、ほとんどの登場人物が倒錯的でもある。だから描写もエログロナンセンス的だ。血生臭さとエロが同時進行的に描かれる。この部分だけを取り出せば、ある意味で、究極のピカレスク小説となり得たのかもしれない。
問題は「悪人」をどう捉えるかで、本作の評価が変わってくるように思う。「悪人」とは、おのが悪だくみを悪と思わずに、自分が働いた悪事を省みることなく、徹底的に相手を蹂躙できる者のことを指すと思っていた。しかし、違った。登場人物は悪虐の限りをつくし、互いに相手を蹂躙しつつ、一方で内省を繰り返す。自分が悪人になった原因を常に自分の親、生い立ち、過去に受けた些細な恨みに求める。どうせなら絶対的な悪人を読みたかったが、いずれの登場人物も過去の屈託によって悪人になった、という自分語りをしながら悪事を働くので、どうにも悪人がもたらす爽快感がなかった。そもそも、自分が殺すか殺されるかといった場面で、目の前に刃物や銃を突きつけられているような状況で、すなわち絶体絶命といった状況で、果たしておのが過去や生い立ちを振り返ったりするものだろうか。さらに言えば、そうして醜い自意識をさらしながら、それでも生き残るために悪事をためらいなく継続できるものだろうか。『溝鼠』を読みながら、常にそうした違和感と葛藤していた気がする。
悪は悪、内省は内省として、それが同居する物語は否定しない。ただ自分と同じく「悪人」である相手に自身の拳を叩き込もうとするとき、あるいは拳銃を突きつけるとき、いちいち自分の生い立ちの醜さを嘆き、「俺はドブネズミだっ」と心中で叫びながら、常に表情はポーカーフェイスでいられることへの如何ともし難い違和感。心の中で相手に呪詛の言葉を吐きながら、その気持ちを飲み込んで、平静を装うことの繰り返し。自分が悪人になった因をなす過去や親や自分の性格を呪いながら、血塗れになった相手を見て歓喜する者たち。どれもこれも「悪人」の所業には違いないが、もはや悪人というより「狂人」に近い。
もっと徹底的な悪を読みたいと思っていた。黒川博行の『疫病神』を読み、ピカレスク小説に胸が躍ったあの時の気持ちをもう一度味わいたかった。だが、残念ながらこの物語はそのときのカタルシスを再びもたらしてくれることはなかったように思う。悪事を働く者たちの所業は、どれも迫真に満ちていて、文字通り「悪事」、つまり悪いことに違いない。その描写は先にも述べた通り、ある種の爽快感を伴うものだ。だが、本作にはそれを上回る違和感が満ちていた。返す返すも残念である。投稿日:2021.03.17
このレビューはネタバレを含みます
主人公がいちいちせこいところが面白い。北神との殺し合いが下衆極まりないもの同士で壮絶を極めて最高だ。
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随分昔に読んだ『無間地獄』にも車の中から同乗者の目をそらすために「子どもが猫に火をつけている…」とうそをつく描写があったような気がする。
面白かったのだけど、とても長い。お姉ちゃんが出るとトーンが下がる。続きを読む投稿日:2020.01.02
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