キノコの教え
小川眞(著)
/岩波新書
作品情報
木の根と共生し、落ち葉を分解して、菌類はひっそりと森を支えている。キノコは菌類の繁殖装置。まわりの栄養を吸いあつめておいしくなるが、放射性物質まで濃縮してしまう。植物とも動物とも異なる宿命のもと、共生へと進化したキノコの教えをいま人類は学ぶべきではないか。食と環境と生命をめぐる興味深い話題を満載。(カラー口絵一丁)
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商品情報
- シリーズ
- キノコの教え
- 著者
- 小川眞
- ジャンル
- サイエンス・テクノロジー - 生物・バイオテクノロジー
- 出版社
- 岩波書店
- 掲載誌・レーベル
- 岩波新書
- 書籍発売日
- 2012.04.20
- Reader Store発売日
- 2012.06.22
- ファイルサイズ
- 6.3MB
- ページ数
- 340ページ
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この作品のレビュー
平均 3.5 (11件のレビュー)
-
第X次キノコブーム中。キノコ図鑑を図書館で借りるついでに、隣にあったキノコタイトルの本を適当に借りてきた。新書だし、特に期待していなかったのだが、これが大当たり。一読後、購入して手元に置いておくことに…した。
以前から「菌根」というものに興味を持っていた。キノコ本を読んでいると時々出てくる言葉で、「植物の根にキノコがついて共生しているもの、または状態をいう」そうだ。キノコの中には「菌根菌」と呼ばれるタイプのものがいて、彼らは植物と共生しているらしい。え、それってどういうこと? キノコ何してんの? と思うのだが、キノコの説明文中に「菌根を作る」としれっと書いてあるか、せいぜい数行の補足説明があるだけで、素人のこっちはなんのことやらわからないのだ。なんかすごく大事なことのように思えるので、「菌根」で参考になりそうな本を検索までしたが見つからない。それが思いがけず本書に詳しい説明があったのだ。
本書はキノコの進化やら、生態やら、キノコ研究の歴史やら、新書によくあるよもやま話のように見えるし、最初はそのつもりで読んでいたのだが、実はキノコを含む菌類と森の共生がメインテーマだ。その重要な要素として菌根が登場する。正直びっくり。森がこんな精妙なしくみになっているとは初めて知った。これは人間が生半可な知識で介入してもうまくはいかないだろう。マツタケの人工栽培が未だに成功しないのも無理はない。植物学者、菌類学者によっては常識なのかもしれないけれど、もっと早く教えてよもー、という気分になった。
著者も言うように、菌類と木々の関係に見られるような絶妙なバランス(それは共生に限らない)は、海で、陸地で、菌類と植物だけでなく、昆虫や細菌や動物といったすべての生き物の間で成り立っているのだろう。ぼくらはまだその一端しか知らないのだ。
本書ではさらっと書いているけれど、著者は世界中を飛び回って森の再生に尽力している人らしい。どんな人なんだろうといろいろ検索していたら、つい最近亡くなったことを知った。ショックだが、遺志を継ぐ人たちはいるようだし、書いた本も残っている。他の本も読んでみようと思う。続きを読む投稿日:2021.10.10
農学部図書館の学生アルバイトの方に、おススメの電子ブックを推薦いただきました。
☆推薦コメント☆
本書は森林総合研究所土壌微生物研究室長、同きのこ科長を務められた小川眞先生によって2012年に書かれ…たものです。本書ではキノコとは何者なのか、キノコは私たちの生活とどのようなかかわりがあるのか、キノコは環境に対してどのような役割を果たしているのか、キノコを取り巻く環境は今どうなっているのか、キノコから私たちが学べることは何か、というようにキノコの話題を中心として、それを取り巻く環境や我々の生活についても考えています。
キノコについてとてもわかりやすく、そして詳しく書いてあるため、キノコにあまり馴染みのない方でも読みやすい本となっており、キノコについての雑学的な部分にも多く触れているので、親しみやすいと思います。
ところで、日頃我々の食卓によく上がる割にはキノコについてあまりご存じない方が多いのではないかと思います。じつは、学術的にも近年までキノコはあまり相手にされていなかったことにも本書は触れています。ついつい見過ごされがちなキノコの強かな生態を、この機会に覗いてみてはいかがでしょうか。
☆信州大学附属図書館の所蔵はこちらです(電子ブックで利用できます)☆
https://www-lib.shinshu-u.ac.jp/opc/recordID/catalog.bib/NB00164803
※学外から利用する際は、こちら↓のリモートアクセスをご利用ください
https://www.shinshu-u.ac.jp/institution/library/find/r-access.html続きを読む投稿日:2020.12.08
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