西洋音楽論~クラシックに狂気を聴け~
森本恭正(著)
/光文社新書
作品情報
日本では、週末のゴールデンタイムに、かなり専門的なクラシック音楽番組がたっぷり全国放映されている。また、大都市は勿論、地方都市においても、毎晩何処かでクラシック音楽のコンサートが開かれている。しかし、私たちはクラシック音楽の本質を本当に理解しているだろうか? 作曲家・指揮者としてヨーロッパで活躍してきた著者が、その体験を軸にゼロベースで問い直す、西洋音楽の本質。【光文社新書】
もっとみる
商品情報
- シリーズ
- 西洋音楽論~クラシックに狂気を聴け~
- 著者
- 森本恭正
- 出版社
- 光文社
- 掲載誌・レーベル
- 光文社新書
- 書籍発売日
- 2011.12.20
- Reader Store発売日
- 2012.02.10
- ファイルサイズ
- 3.1MB
以下の製品には非対応です
この作品のレビュー
平均 4.1 (21件のレビュー)
-
「クラシックに狂気を聴け」というタイトルは『狂気の西洋音楽史』を思い起こさせる。またかという気持ちとともに、森本恭正なる作曲家、しらんなあと呟きつつ手に取る。この著者、Yuki Morimotoなる…名前でヨーロッパで活躍しているという。それなら、CDを見たことはある。森本氏、日本の音大を出てプロの指揮者となっても、ある「もどかしさ」につきまとわれていた。それは単純化すれば、日本で西洋音楽をやるということの違和感であろう。彼はそのもどかしさに駆られてアメリカに渡り、そしてヨーロッパに移り、以来、ウィーンを活動の場としてしまったのだ。
その森本氏が西洋音楽とは何かと考えてきたことを綴ったのが本書であり、2007年、ポーランドでの作曲コンクールの席上、審査委員の一人であるK氏との対話を狂言回しのようにして議論は進む。このK氏とは、作曲家のジグムント・クラウゼであろうか。もっとも匿名にしているのは、脚色を施しているからだろう。
狂気という言葉は本書においてK氏から発せられているが、ロマン派の音楽に重ねられているのは『狂気の西洋音楽史』とほぼ同じである。ほぼというのは『狂気の西洋音楽史』では「ロマン派」には古典派も含まれているが、本書においてはフランス革命以降、ベートーヴェン以降のことを言っているからである。主音で始まり主音で終わる音楽から、転調を繰り返す音楽へ、凡人の想像を絶する感情、行動、現象を体現する音楽へ。それを狂気と呼んでいるのである。
この部分が本全体の副題にされているのは耳目を引くからにすぎないようだが、「狂気」の使い方はバナールだと思う。所詮「正常」とされているようなことは視点を変えればすべて「狂気」に陥っているのだから。人間的な感情を解放したのが「狂気」なら、規則でがんじがらめにして,個性の発露を最小限に抑えているバロック音楽は別の形の「狂気」だろう。
とはいえ西洋音楽狂気論は本書の指摘のひとつ。最初の指摘は小節の頭を強調しろと教えるが、実はヨーロッパ音楽はアフタービート(アップビート)の音楽だという指摘。ヨーロッパ人は無意識にアフタービートになっているが、そういう文化のない日本人は、オン・ザ・ビートを強調してしまう。
「撓む音楽」の章では、常に音の動きは準備され、投球のときに腕を後ろに撓ませるような準備動作があるということ。東洋の古武術のように、バックスイングなしにいきなり動くということなはい。
「音楽の左右」の章で依拠する、右脳と左脳の分業は今日ではかなり怪しいものといわれている。楽音として音を分節する西洋音楽が、強力な資本主義の社会の中で力を持ち、広がったこと、民族音楽はそういう分節を持たず、自然音に近いノイズとして認識されるという指摘は脳の左右に局在化しないかぎりは首肯されるところがある。そして現代音楽で音楽はまたノイズに戻るのだ。
そしてクラシック音楽はすでに衰退しつつあるものだといい、だから伝統を守るのか伝統を壊すのかという問いが投げかけられる。
「音楽論」として興味深いとともに、実践家の本らしく、本書で挙げられた議論は日本人が西洋音楽をやる上での示唆に富んでおり、私のような好事家だけではなく、プロの音楽家に読まれるべきものと思う。続きを読む投稿日:2016.02.11
おもしろかった。
なぜ利き手がミリ単位でスライドさせ弦を押さえるという複雑な操作ではなく、弓を引くような比較的、大振りな動作をになっているのかとは、たしかに疑問に思ってたが、なるほど。
第九が大晦日の…定番なのと、ウィーンのニューイヤーコンサートのワルツ漬けの違いも、そう言うことかと。巻末、この第九の話で書かれてるヴェートーヴェンの意図について解釈が凄い。
ヨーロッパは車の信号が赤い→黄色→青なんやね。
続きを読む投稿日:2021.03.13
新刊自動購入は、今後配信となるシリーズの最新刊を毎号自動的にお届けするサービスです。
- ・発売と同時にすぐにお手元のデバイスに追加!
- ・買い逃すことがありません!
- ・いつでも解約ができるから安心!
※新刊自動購入の対象となるコンテンツは、次回配信分からとなります。現在発売中の最新号を含め、既刊の号は含まれません。ご契約はページ右の「新刊自動購入を始める」からお手続きください。
※ご契約をいただくと、このシリーズのコンテンツを配信する都度、毎回決済となります。配信されるコンテンツによって発売日・金額が異なる場合があります。ご契約中は自動的に販売を継続します。
不定期に刊行される「増刊号」「特別号」等も、自動購入の対象に含まれますのでご了承ください。(シリーズ名が異なるものは対象となりません)
※再開の見込みの立たない休刊、廃刊、出版社やReader Store側の事由で契約を終了させていただくことがあります。
※My Sony IDを削除すると新刊自動購入は解約となります。
お支払方法:クレジットカードのみ
解約方法:マイページの「予約・新刊自動購入設定」より、随時解約可能です続巻自動購入は、今後配信となるシリーズの最新刊を毎号自動的にお届けするサービスです。
- ・発売と同時にすぐにお手元のデバイスに追加!
- ・買い逃すことがありません!
- ・いつでも解約ができるから安心!
- ・優待ポイントが2倍になるおトクなキャンペーン実施中!
※続巻自動購入の対象となるコンテンツは、次回配信分からとなります。現在発売中の最新巻を含め、既刊の巻は含まれません。ご契約はページ右の「続巻自動購入を始める」からお手続きください。
※ご契約をいただくと、このシリーズのコンテンツを配信する都度、毎回決済となります。配信されるコンテンツによって発売日・金額が異なる場合があります。ご契約中は自動的に販売を継続します。
不定期に刊行される特別号等も自動購入の対象に含まれる場合がありますのでご了承ください。(シリーズ名が異なるものは対象となりません)
※再開の見込みの立たない休刊、廃刊、出版社やReader Store側の事由で契約を終了させていただくことがあります。
※My Sony IDを削除すると続巻自動購入は解約となります。
お支払方法:クレジットカードのみ
解約方法:マイページの「予約自動購入設定」より、随時解約可能ですReader Store BOOK GIFT とは
ご家族、ご友人などに電子書籍をギフトとしてプレゼントすることができる機能です。
贈りたい本を「プレゼントする」のボタンからご購入頂き、お受け取り用のリンクをメールなどでお知らせするだけでOK!
ぜひお誕生日のお祝いや、おすすめしたい本をプレゼントしてみてください。※ギフトのお受け取り期限はご購入後6ヶ月となります。お受け取りされないまま期限を過ぎた場合、お受け取りや払い戻しはできませんのでご注意ください。
※お受け取りになる方がすでに同じ本をお持ちの場合でも払い戻しはできません。
※ギフトのお受け取りにはサインアップ(無料)が必要です。
※ご自身の本棚の本を贈ることはできません。
※ポイント、クーポンの利用はできません。クーポンコード登録
Reader Storeをご利用のお客様へ
ご利用ありがとうございます!
エラー(エラーコード: )
ご協力ありがとうございました
参考にさせていただきます。