下流社会~新たな階層集団の出現~
三浦展(著)
/光文社新書
作品情報
「下流」とは、単に所得が低いということではない。コミュニケーション能力、生活能力、働く意欲、学ぶ意欲、消費意欲、つまり総じて人生への意欲が低いのである。その結果として所得が上がらず、未婚のままである確率も高い。そして彼らの中には、だらだら歩き、だらだら生きている者も少なくない。その方が楽だからだ(「はじめに」より)。豊富なデータを元に書き上げた、階層問題における初の消費社会論。【光文社新書】
もっとみる
商品情報
- シリーズ
- 下流社会
- 著者
- 三浦展
- 出版社
- 光文社
- 掲載誌・レーベル
- 光文社新書
- 書籍発売日
- 2005.09.20
- Reader Store発売日
- 2012.02.10
- ファイルサイズ
- 13.7MB
- シリーズ情報
- 既刊3巻
以下の製品には非対応です
この作品のレビュー
平均 2.7 (277件のレビュー)
-
反面教師として読みたい本
「下流」には何が足りないのか。それは意欲である。
…というテーゼはなかなか新しく思った。
また、「下流社会」とはどんな社会かの具体像を描くために、消費や生活のスタイルに焦点を当てるという着眼点は面白…い。
消費論というのは、それまで社会学者がこうした問題を扱うときに見落としてきた点だからだ。
だが、具体的なやり方は・・・もう何と言っていいのやら。
例えば、いろいろデータを挙げて、まとめる文章が
「このように、今回の調査結果に関する限り、団塊ジュニア男性の「下」は政治意識が強く、フジテレビが好きで、スポーツ観戦が好きということになる」
というものである。
この結論にも突っ込みどころは多いのだが、
ある類型を提示するところで「今回の調査結果に関する限り」としてしまうのは
レトリックとしてもおかしい。それでは一般的な結論として持って行けない。
日本語としてきちんとするなら「今回の調査結果に関する限り」は不要だし、
統計としてきちんとするなら、もっとサンプルを多くしなければならない。
また、若い女性を4つの類型にしておきながら
「以上の4類型は、比較的際立ったわかりやすい例であるが、現実にはこの4種類のどれにも属さない、しかし人口の多い女性達がいる」
とある。
ちょっとまて、「現実には」って・・・。
それまでの話は「現実の女性」を類型化していたのではなかったのか?
そして、そこに入らない人がたくさんいる時点でその類型自体がおかしいのでは(苦笑)
リサーチも杜撰ながら、墓穴を掘るようなまとめが多く、
ここまで来ると、ある意味面白い(笑)
が、納得はできない。
そして、今後に向けての提言の中に、東大と京大は授業料を無償にしろ、というものがあった。
私立と変わらない学費を取るから下流の人が入れないという。で、もし無償化したら…次のように述べている。
「合格しさえすれば、あとは本人の努力次第。勉強をしっかりすれば大企業にも中央官庁にも就職できるだろうし、
医者にも税理士にも会計士にもなるチャンスが拡大する。友人関係も広がる。階層上層のチャンスが広がるのだ。
下流の人にこそ、そういうチャンスを優先的に与えるべきだ。」
という。
これにはびっくりだ。
あまりにも古典的な学歴信仰ではないか。
勉強をしっかりすれば…以下の下り、
高度経済成長期の男性ならまだしも、
今どき、東大や京大でも就職に苦労する学生は多いし、就職後どうなるかなんてわからない。
そもそも、著者のいうところの「下流」というのは意欲の低い人、
ということなのだとしたら、授業料がただでも東大や京大に入れるくらいの努力はしないのでは?
多分、アファーマティブアクション的な何かを求めているんだろうけど、
それが東大・京大というのはあまりにも安直で、
現在の学歴差別を助長するだけではないか。
と、本文・結論において自己矛盾や的外れな部分が多すぎるのだ。
それから、もう一つ決定的に問題だと思ったのは、
著者が「下」としてカテゴライズした人に対する侮蔑的な態度だ。
「もちろん「下」の人々はエクセルでグラフを作ったり、パワーポイントでプレゼン資料を作ったりはしないだろう」
って(苦笑)何だその「もちろん」ってのは!?
著者の中でエクセルやパワーポイントがどういう位置づけなのかもよくわからないが、
何でそんなに断定的に人を見下すのだろう?
そのあと、「ついでに悪のりしていえば」などというフレーズもあり、
他者を「下」と見下したあげく、「悪のり」するというのは、
ものを書く人間として、いや、普通に人間として悪質だろう。
社会の二極化や格差の問題は深刻だ。
悪のりとかではなく、誠実に向き合って欲しい。
正直怒りを覚える。
それでも何故☆3をつけるのかというと、
最初の着眼点のおもしろさ。
著者の論理展開はおかしいが、参考文献は新書にしてはそれなりに挙げてあるので、
そちらを読んで、著者とは違う結論を導き出してみよう、という意欲をかき立てられる。
それから、私が怒りを覚えた部分。
この本はベストセラーになった本である。
つまり、多くの人の心の中に、著者のように人をおもしろおかしく類型化して見下す姿勢に何かしらの共鳴と、ひそかな快感を感じる部分があるのではないか、と思った。
実を言うと、私もそういうところがあったようで、途中「楽しく」読んでしまったことに何か深い罪悪感を感じた。
そういう意味で、少し自分のものの見方を反省するきっかけになった本であるとも言える。
続きを読む投稿日:2014.12.10
-
今、日本で何が起こっているのか
若者の雇用問題が頻繁に報道される時代ですね・・と言いつつ、自分も無関係ではない(-_-;)
ミリオネーゼ系、お嫁系、かまやつ女系・・などカテゴリー分けし、
それぞれに属する人の価値観や生活スタイルを分…析。
ついつい自分はどこに分類されるのか考えて、そうそう!あるある!と頷きながら読みました。
生のインタビュー内容も、非常に興味深いです。
人生の分かれ道は、上昇志向があるかないかで決まるのですね。
もちろん、どういう生き方が幸せとか優れているとかは言えませんが。続きを読む投稿日:2013.11.21
新刊自動購入は、今後配信となるシリーズの最新刊を毎号自動的にお届けするサービスです。
- ・発売と同時にすぐにお手元のデバイスに追加!
- ・買い逃すことがありません!
- ・いつでも解約ができるから安心!
※新刊自動購入の対象となるコンテンツは、次回配信分からとなります。現在発売中の最新号を含め、既刊の号は含まれません。ご契約はページ右の「新刊自動購入を始める」からお手続きください。
※ご契約をいただくと、このシリーズのコンテンツを配信する都度、毎回決済となります。配信されるコンテンツによって発売日・金額が異なる場合があります。ご契約中は自動的に販売を継続します。
不定期に刊行される「増刊号」「特別号」等も、自動購入の対象に含まれますのでご了承ください。(シリーズ名が異なるものは対象となりません)
※再開の見込みの立たない休刊、廃刊、出版社やReader Store側の事由で契約を終了させていただくことがあります。
※My Sony IDを削除すると新刊自動購入は解約となります。
お支払方法:クレジットカードのみ
解約方法:マイページの「予約・新刊自動購入設定」より、随時解約可能です
続巻自動購入は、今後配信となるシリーズの最新刊を毎号自動的にお届けするサービスです。
- ・発売と同時にすぐにお手元のデバイスに追加!
- ・買い逃すことがありません!
- ・いつでも解約ができるから安心!
- ・優待ポイントが2倍になるおトクなキャンペーン実施中!
※続巻自動購入の対象となるコンテンツは、次回配信分からとなります。現在発売中の最新巻を含め、既刊の巻は含まれません。ご契約はページ右の「続巻自動購入を始める」からお手続きください。
※ご契約をいただくと、このシリーズのコンテンツを配信する都度、毎回決済となります。配信されるコンテンツによって発売日・金額が異なる場合があります。ご契約中は自動的に販売を継続します。
不定期に刊行される特別号等も自動購入の対象に含まれる場合がありますのでご了承ください。(シリーズ名が異なるものは対象となりません)
※再開の見込みの立たない休刊、廃刊、出版社やReader Store側の事由で契約を終了させていただくことがあります。
※My Sony IDを削除すると続巻自動購入は解約となります。
お支払方法:クレジットカードのみ
解約方法:マイページの「予約自動購入設定」より、随時解約可能です