イノベーションとは何か
池田信夫(著)
/東洋経済新報社
作品情報
日本経済の未来も、日本企業の活路も、イノベーションにしかない。
しかし、いったいどうすれば、イノベーションは起こせるのか――?
・なぜ日本企業から、グーグルやアップルが生まれないのか?
・イノベーションが起こりやすい環境、起きにくい環境とは何か?
・政府、企業、個人はそれぞれ何ができるのか?とぞ
イノベーションを真正面から論じた本格的分析の書。任天堂、ソフトバンク、ソニーなど、各企業のケースも満載。
<本書で検証するイノベーション、10の仮説>
1) 技術革新はイノベーションの必要条件ではない
2) イノベーションは新しいフレーミングである
3) どうすればイノベーションに成功するかはわからないが、失敗には法則性がある
4) プラットフォーム競争で勝つのは安くてよい商品とは限らない
5) 「ものづくり」にこだわる限り、イノベーションは生まれない
6) イノベーションにはオーナー企業が有利である
7) 知的財産権の強化はイノベーションを阻害する
8) 銀行の融資によってイノベーションは生まれない
9) 政府がイノベーションを生み出すことはできないが、阻害する効果は大きい
10) 過剰なコンセンサスを断ち切ることが重要だ
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この作品のレビュー
平均 3.6 (32件のレビュー)
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この本はイノベーションについて書かれた本ですが、巷で見られる成功本とは異なって、10個の仮説を解説しているところに特徴があります。
その中でも、1)技術革新よりもビジネスモデルが重要、2)失敗には法…則性がある、3)知的財産権の強化はむしろ阻害する方向である等、という内容は私が常日頃より感じていた事でですが、あまり本では見かけるものではありませんでした。
イノベーションにより改良ではなく、新しいモノ・サービスを作り出す重要性はよく聞きますが、それに至るにはどうすれば良いのかが見えてないのが現状だと思います。池田氏の考え方を理解して私の担当している業務にも生かしていきたいと思いました。
以下は気になったポイントです。
・顧客の要望を聞くマーケティングで成功した商品は殆どない、それは顧客は既存の商品を前提にして生活していて、その枠を超えるものを開発するインセンティブがないから(p14)
・新しい事業を起こそうとする場合、まず何を売ればもうかるかというアイディアがあり、その上で収益を上げる方法を考え、技術はそれに適したものを選ぶ、という「ビジネスモデル」がポイント(p15)
・期待値が全く同じ「くじ」であっても、新たに得る場合は確実な利益を好み、失うときは不確実な損失を好む(p24)
・脳が基礎代謝の20%を消費するのは、脳内の膨大な毛細血管に血液を送るためだが、人間の脳の重さはチンパンジーの4倍なのに血流量は2倍程度でエネルギー供給はぎりぎり、なので脳は新しい行動をおこさずに習慣に従って認知コストを節約しようとする(p32)
・天動説のひとつの欠陥は、恒星との距離が正確に測定できるようになり、それば数十万光年の遠いところにあると判明したこと、恒星が天球を回転しているとすると、それは光速よりはるかに速い(それも各々異なる)スピードで運動していることになる(p39)
・ローマカトリック教会が地動説を公式に認めたのは1992年(p39)
・優れた経営と技術をもった企業ほど、生き残ることが難しい、原因は、新たに登場する破壊的イノベーションの単価が安く、技術的にも劣ったものだから(p44)
・イノベーションに成功する法則はないが、失敗する法則はかなり明らか、1)最新のハードウェア開発により不可能だった機能を実現、2)大企業が参入し大規模な実証実験、3)コンソーシアムによって標準化がすすむ、4)政府が補助金が出す、5)新聞が特集を組み、野村総研が予測記事を書く(p52)
・第三世代で国際標準化したにも拘らず、いったんガラパゴス化した日本の携帯は、二度と海外市場に出られなかった、この原因の一つは、キャリアが端末をメーカからすべて買い上げて販売店に奨励金をだす流通機構にあった(p76)
・16ビットになって、OSによってハードウェアとソフトウェアが分離されて、特定のハードウェアに依存しないプログラムが開発されるようになった(p79)
・日本では、PCや携帯電話以外にもガラパゴス化したものが多い、医療サービス・デジタル放送、カーナビ、デビットカード、電子マネー等(p81)
・すべてオープンにしてもビジネスとしては成立せず、どこをクローズにするかの戦略がビジネスの成否を決める(p86)
・ビルゲイツの優れた着想は、OS/2を共同開発することを下請けから独立するチャンスとして利用し、IBM用と互換機用の2種類のOSを作り続けたこと(p93)
・長期記憶は連想で成り立っているので、人々はランダムな出来事を記憶するのは苦手だが、ひとつながりの物語は覚えやすく広がりやすい(p106)
・ベンチャーと自営業一般とは異なる、アメリカでの自営業比率は7.2%で、下から2番目で、日本(10.8%)より低く、それは90年代よりも低下(p130)
・ベンチャーキャピタルが資金を提供するのは創業企業の 0.1%以下、多くの企業は商業銀行から融資を受けている(p130)
・日本の高度経済成長の原因は、1)人口急増(低賃金、高生産性、若い)、2)技術移転により生産性が急速に上がったこと(p153、161)
・ソフトバンクは、2000年にダークファイバーの開放により、それを借りてギガビット・イーサネットでつなぐ、世界でも例をみないコア・ネットワークを構成して「ヤフーBB」が成功した(p170)
・1998年にアメリカで金融技術に初めて特許が認められて、ビジネスモデル特許が成立しはじめた、これによりイノベーションが進展した形跡はなく、むしろ停滞期に入った(p184)
・著作権の延長で利益を得るのは著作者ではなく、著作物を出している企業(p187)
・日本の書籍の印税は10%、原稿料は400字で5000円程度で、30年程度変わっていない(p189)
・日本発の国際標準になるとされた「TRON」という神話はウソ、実際にやっていたのはパソコンで遅れた松下のみ、USTRが要求したのは、「学校のパソコンに特定規格を強制するのはおかしい」と文部省の主張と同じもの、これは他のメーカが手を引く絶好の口実(p203)
2012年3月24日作成続きを読む投稿日:2012.03.24
151003 中央図書館
池田信夫は、伝統的アカデミズムの学究ではないが、理論知らずのアホなコンサル崩れの「経営評論家」では提示しえない、経営理論の経済学的フレームワークを、普通のビジネスパーソンにも…理解できるレベルにしっかり要約してくれる、他に例のない存在である。
この本は、経営学の専門書というほどでもないが、経済評論家やコンサル崩れの一山幾らのヨタ本よりは、はるかに難しい内容にフォーカスしており、単体のビジネス書としては、多くは売れそうにないだろう。経営学系列の大学の教科書(副教材?)としては、いいセンなのかもしれない。
80年代以降の、ITやPCやSONY、SHARPに関する経緯も、ざっくり・ばっさりと書いてある。それだけに、池田の記述だけが真実かどうか、という厳密な考証の対象にはならない。だが、腑におちる内容ばかりであり、真実から遠いものではないと感じ続きを読む投稿日:2018.10.19
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