大東亜会議の真実 アジアの解放と独立を目指して
深田祐介(著)
/PHP新書
作品情報
昭和18年11月、戦時下の東京にタイ、ビルマ、インド、フィリピン、中国、満州国の六首脳が集まり、大東亜会議が開催された。史上初めて一同に会したアジア諸国の代表が「白人支配からの解放」を高らかに謳いあげた時、日本の戦争は、欧米帝国主義を模倣して権益を追求する侵略戦争から、アジア民族解放の大義ある戦争へと大きく性質を変えたのであった――。本書は、戦況が思わしくない時期に突然開催された大東亜会議の真相について、当事者の証言をもとに丹念に検証した画期的労作である。戦後の呪縛ともいうべき“東京裁判史観”の虚偽を正し、日本にとって、アジア諸国にとっての戦争の意義を明らかにする。大東亜会議は「アジアの傀儡を集めた茶番劇」ではけっしてなかったのだ。本書は91年文藝春秋刊『黎明の世紀』に大幅な加筆と修正を加えたもの。文芸評論家である福田和也氏との特別対談も収録。
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商品情報
- 著者
- 深田祐介
- 出版社
- PHP研究所
- 掲載誌・レーベル
- PHP新書
- 書籍発売日
- 2004.03.30
- Reader Store発売日
- 2011.08.26
- ファイルサイズ
- 1.7MB
- ページ数
- 336ページ
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この作品のレビュー
平均 5.0 (3件のレビュー)
-
大東亜会議とは、敗戦色が濃くなった1943年11月に開催された日本への協力国である、ビルマ、満州、中華民国、タイ、フィリピン、自由インドの首脳を集めた国際会議である。
大東亜共栄圏とは、その提唱を唱え…た東条英機からみると、アジアの満州化であった。だが、日本以外の当時国から見ると、旧宗主国である、英米仏蘭の勢力を駆逐し、独立を成し遂げるためになった一つのきっかけである。
大東亜共栄圏の確立とは、松岡洋右が日本の戦争を正当化し、方向づけるためのスローガンであり、西欧の植民勢力をアジアから駆逐、アジアを解放するというものであった。
・日本を大東亜戦争に追いやった原因は、ハルノートであり、ABCD包囲網であった。
・首相・陸軍の登場に対して、外相であった重光葵が「日本の戦争目的は東亜の解放、アジアの復興であって、東亜民族が植民地的地位を脱して各国平等の地位に立つことが、世界平和の基礎であり、その実現が即ち、戦争目的であり、この目的を達することをもって日本は完全に満足する」という主張を行っている。
・石原莞爾が唱えた、満州の五族協和とは、満州にアメリカのような合衆国を作りたかったから。
・大東亜共栄圏の確立なしには、戦後アジアの復興はなく、親日の素地はうまれなかった。
・日露戦争の直前南下してきたロシア軍が、旧満州地区で虐殺を繰り返し、満州人は日本軍を歓迎しロシアの後方部隊を襲撃してくれた。
・いまでも、旧満州国の中国人は、親日度が高いといわれる。それは台湾と同様、日本のインフラによる恩恵によるものである。
・フィリピンでは、日本軍は、占領政策に失敗し、不作法の限りを尽くしたと伝えられる。それが、米国時代の統治を思い起こし、反攻につながった。
・インパール戦は日印連合軍による、イギリス軍への戦闘であった。当時陸軍は、東南アジアに軍勢力をとどめておきたかったにもかかわらず、大東亜共栄圏という理想を掲げた外務省により、同盟国へ兵を進めることとなった。
・大東亜会議に、首脳を派遣した国は、その独立を勝ちえることができ、その意味でも、アジアへの貢献という意義を見出すことができる。
目次は以下です。
第1章 昭和18年11月、大東亜会議開催さる
第2章 東条英機首相の代表演説
第3章 英国、オランダのアジア統治
第4章 裏切られ続けた一中国人の悲劇
第5章 全アジアの満州国化
第6章 策士の内なる理想主義
第7章 大東亜行動宣言
第8章 ジョヨボヨ伝説と日本軍
第9章 チャンドラ・ボースの進軍
第10章 東条内閣総辞職
第11章 ラウレル亡命
第12章 日本降伏
第13章 民族独立の夢
第14章 東亜解放のための戦争
特別対談 大東亜共栄圏は日本の財産だ 福田和也との対話
あとがき続きを読む投稿日:2022.05.30
[演出か、道標か]1943年11月、アジアから6名の首脳の参加を得て執り行われた大東亜会議。「自存自衛」が前面に出ていた日本の戦争目的を「大東亜共栄圏の創設」へと急激に転換することにつながったその会議…の内幕を記した作品です。著者は、直木賞受賞作家にして外交問題についての言及も多くなされている深田祐介。
先の大戦についての作品は多くあれど、大東亜会議に焦点を集中させながら、戦争下のアジア諸国と日本の関係を見つめ直した一冊ということで非常に興味深く読み進めました。一方,著者は大東亜会議とそれに伴う大義を、戦後構想を含み得るものとして高く評価しているのですが、個人的には、そこまで高く評価し得るようなものが対米戦争の勃発から約2年を経て、いわば「ジリ貧」に追い込まれる中で生み出されたものであったことに(便宜的にこの表現を使うのですが)「違和感」を拭い去ることができませんでした。
〜大東亜戦争後半に至って、日本が国家および民族存亡の瀬戸際に直面しているという不安が底流し始め、どうやって戦後世界に生き残れるのか、世界に向けての日本の戦争目的を普遍的な言葉で語っておく必要がありはしないか、そういう疑問が中枢の人間たちの胸に宿って初めて、重光構想が真面目に検討され始めたのである。〜
90年代初頭にこれを書いたという著者の視点がまた新鮮☆5つ続きを読む投稿日:2017.04.17
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