カラマーゾフの兄弟〈2〉
ドストエフスキー(著)
,亀山郁夫(訳)
/光文社古典新訳文庫
この作品のレビュー
平均 4.0 (126件のレビュー)
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※作品の感想は最終巻(5巻)でまとめてアップします。
【コラム】
◇ドストエフスキーとは、具体的にどんな人?
1821年、ドストエフスキーは、モスクワの貧民療養病院の医師ミハイル・ドストエフスキー…の二男として生まれる。父は怒りっぽく気難しい人であったが、母のマリアは穏和で、篤い信仰心の持ち主だった。父は後年、地主貴族となり、農奴を100人持つほどの身分となる。16歳の時、7人の子どもを育てた母が、結核で病死。また、18歳の時には、領地に引きこもっていた父が農奴たちに殺害されるという事件が起こる。百姓やその娘に虐待と暴行を繰り返し、殺されるほどの恨みを買った父の悪行に、若い彼は大きなショックを受けた。彼の持病となる癲癇(てんかん)の最初の発作もこの時に起きたと言われている。
その後、ドストエフスキーは中央工兵学校を卒業し、工兵局製図室に勤務するが、なじめず翌年辞職。彼の関心と熱意は文学に集中していった。1845年、25歳の時、書き上げた処女作『貧しき人びと』は絶賛を受け、文学史上の一事件にさえなった。原稿を徹夜で読んだ詩人ネクラーソフと友人グリゴローヴィチが、感動のあまり夜の明けるのも待ちきれずに彼のアパートを訪ね、この青年の前途を祝したエピソードが有名。
1846年、25歳の時、農奴制度の廃止や裁判・出版制度の改革を掲げる革命的(キリスト教的)秘密結社を主催する空想的社会主義者ペトラシェフスキーに出会い、彼らの勉強会・社会革命活動に参加し始める。この行動が元ととなり、28歳の時、会員と共に逮捕され、ドストエフスキーを含む21名が死刑を宣告される。銃殺刑の直前、処刑場に皇帝の特赦の勅命が到着しなんとか死を免れた。絶対的な死と直面したこの体験は、その後の彼の人生観と作品に大きな影響を与えることとなる。
4年間のシベリア流刑の身となった彼は、劣悪な環境のもと、過酷な囚役と監獄での共同生活を送った。その後、セミパラチンスクのシベリア守備大隊に約5年服役、その地で知り合った人妻マリアと恋愛関係に陥り、36歳の時、紆余曲折を経て未亡人となったマリアと結婚した。1859年、38歳の時、ペテルブルク居住を許され、10年ぶりに作家活動に復帰した。
1861年、40歳の時、兄のミハイルと雑誌『時代』を発刊する。『虐げられた人びと』によって、再び文壇に返り咲いたが、その数年後に、結核で療養中の妻、続いて兄のミハイルが他界した。1866年、45歳の時、速記者アンナに出会い、再婚。彼女はかしこい良妻として、彼の生涯の終わりまで良きパートナーとなった。結婚の2ヶ月後から、4年と2ヶ月余りにわたってヨーロッパに滞在、放浪生活を送る。この間に、長編『白痴』を執筆、完成、次の長編『悪霊』も構想、連載された。アンナとの間には4人の子どもをもうけたが、そのうちの二人を幼少期に失っている。
1876年、55歳の時、月刊個人雑誌『作家の日記』を刊行。晩年の彼は政治問題、社会問題についても積極的に発言した。1881年、59歳の時、最後の大作『カラマーゾフの兄弟』の完成からわずか80日後に、肺気腫が悪化、自宅の書斎で妻子や知人に看取られながら息をひきとった。葬儀には、学生や乞食たちも含めた約三万人の人々が沿道に押し寄せ、棺の後に従ったという。
というのが、ドストエフスキーの白歴史であるが、実は黒歴史もある。黒歴史は以下となる。
ドストエフスキーは異常なまでのギャンブル依存症で、ギャンブルで作った借金返済のため、妻の結婚指輪を外させて、質屋に持参したというエピソードも。またギャルブル依存症にまつわるエピソードには、事欠かない。愛人との旅行でドイツを訪れたドストエフスキーは、ギャンブルで連戦連敗。借金返済のため、自分が持っていた時計も売り払う。最終的には、親族や出版社の援助で負債をなんとか清算。その後、執筆した「賭博者」という作品は、この時のドイツでの実体験が基になったんだとか。
借金に追われ、経済的に困窮していたドストエフスキーは、悪徳出版業者との間に次のような内容の契約を結ぶ。
1. 金を貸してもらうのと引き換えに、一定の期日までに新作の長編小説を完成させる。
2.もし期日までに完成できなければ、違約金を支払う。
3.さらに納期を守れない場合は、自身の作品の著作権を、業者に半永久的に譲渡する。
圧倒的に不利益な契約だが、金に困ったドストエフスキーには、背に腹はかえられぬため、断るという選択肢は無かった。そのプライドを捨ててまで得た大事な借金も、ギャンブルでほぼ使い果たしてしまうという、典型的なダメダメっぷり。
この上ない逆境に追い込まれたドストエフスキーは、ようやく一念発起。新作長編の執筆に取り掛かる。タイトルは「罪と罰」。言わずと知れたドストエフスキーの代表作だ。だが、生きていくために一人でこなせない程の仕事をすでに抱えていたため、執筆時間が正直言って確保できない。そこで最終手段として、口述筆記によって完成させたんだそう。
ちなみに、前述の「賭博者」も口述筆記で完成させており、その際に筆記者を担当したアンナという25歳年下の女性と二度目の結婚をする。このアンナもドストエフスキーのために相当な苦労を強いられ、借金返済のために嫁入り道具を全て質入れに出されてしまう。
それにしても、世界の文学史に燦然と残る傑作が、借金のプレッシャーから生み出された作品とは意外だし、驚愕する。
「罪と罰」執筆以降も、ドストエフスキーのギャンブル好きは治るわけもなく、困窮生活は続く。生活と借金返済のために、必死で小説を書き続けるという、まさに自転車操業生活を強いられる。
そうして生きるために必死で書き続けた作品の数々が、現在でもロシアを代表する傑作として、世界中で読み継がれている。
やはり一つの才能に特化した天才は、通常出来て当たり前のことが、ことごとく何も出来ないという、一種の“天才あるある“は、古今東西を問わずなんだと、妙に実感。
今の段階で2/5を読んだが、一冊目読了時と変わらず僕が過去読んだ中で、最高傑作になる可能性を秘めている。最後のエンディングがどういう結末を迎えるのか、この上なく楽しみであるし、是非こちらの想定を上回るラストであって欲しいと、心の底から願って3巻目に移る。続きを読む投稿日:2023.04.24
このレビューはネタバレを含みます
ゾシマ長老がいよいよ最後の懺悔をし、聖体を受けたいと言う朝から始まる。
レビューの続きを読む
アリョーシャはゾシマ長老から修道院を出るように言われているけれど、何故なのかというのがこの朝のパーイーシー神父からの言葉に現れ…ていた。
神父がアリョーシャにかけた言葉「さあ、お行きなさい、みなし児よ」って今思うと含みあるなぁ。
小学生たちの喧嘩騒ぎに巻き込まれるアリョーシャは、カラマーゾフ家に恨みのある少年に指を噛まれる。こういう少年たちとアリョーシャのやりとりがYA文学っぽさがあって好き。
リーズちゃんとアリョーシャの恋もしかり。リーズのめんどくさい女心がとぉっても可愛く?いやエキセントリックに描かれててたまりません。
それに比べてその後のカテリーナの執着心といったら…ドストエフスキー様の女性の描写力にただただおののきます。
2巻はこの後のイワンによる叙情詩、『大審問官』に悩まされる。。これは、教養あるイワンによる、無神論思想の言い訳的物語ですかね、それとも天使アリョーシャへのあてつけ?
正直読んだだけで、まったく理解出来てませんのでいつか解説書的なものと共にもう一度読みたい。
あとは、我が推しスメルジャコフちゃんのあのセリフ「つまり、賢い人とはちょっと話すだけでも面白い…最高❤︎
そして、ゾシマ長老は大地に口づけて、神に魂をあずけました。。続きを読む投稿日:2024.03.29
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