2012年、最初のゲストは、『銀座小悪魔日記』で衝撃のデビュー以来、悩める女性やおじさまたちを数多く救ってきた、作家・エッセイストの蝶々さん。老若男女問わず、圧倒的な支持を受ける蝶々さんから、新年にふさわしい元気が出るエールをいただきました。
ヘトヘトな男性たちへ贈る、蝶々からのメッセージ
今、世の中全体が疲れ切っていますよね。特に、男性のヘトヘト具合は見ていて気の毒になるほど。かつて、私が銀座のクラブで働いていたころも、男性はやっぱり大変そうでした。会社のために、家族のために、日本のために。毎日、頑張り過ぎて疲れているのに、ヨレヨレになりながらもまだ頑張る。それでも当時はまだ、そんな男性を後押しできるほど、時代の空気に余裕があったと思います。
けれど今は、とても窮屈でしんどい時代。実際、俺が全部!と抱え込むのは現実的に無理なんです。だから、“ちょっと気楽に”くらいがちょうどいい。限界ギリギリ、血管が切れそうになるまで頑張って、ついにポキっと折れてしまうくらいなら、その一歩手前で息抜きをしたらいい。身近にいる女性に頼ったり支え合ったりしながら、ほんの少し肩の力を抜いて欲しい。そもそも、人間はかっこ悪い部分もかっこいい部分も、どっちもあって当然です。だから愛おしい、と思える。みんな、きっと真面目過ぎるんです。
こんな時代の新しい男らしさとは?
私はよくタクシーの運転手さんに話しかけられるのですが、こんな話を聞きました。そのおじさんは、経営していた会社が倒産して「もうダメだ。保険金で自殺したら1億5千万円入るから、いっそ死のう」と考えたそう。でも、実際に負債額を計算したら3億円。「死んでも足りない。借金が返せない。どうしよう・・・」と奥様に話したら「バカッ!自己破産してもいいから、一緒にやっていこうよ。生きているだけでありがたいじゃない。死んで1億5千万なんて、そんなはした金、いらないわよっ!」と一喝されたそうです。
「そのとき初めて、男としてひと皮向けた気がするんだよね。長く連れ添った妻を初めてリスペクトしたし、初めてちゃんとした夫婦になれた気がする」とおじさんはハンドルを握りながら涙声。もう、それを聞いた私も号泣・・・。そうですよね。どんなにかっこ悪い状況だって、生きてそばにいるほうがずっと男らしい。だって、死んでしまったら何も残らないじゃないですか。
これは極端な話だけれども、頑張ってもどうしようもない状況になったとき、そばにいる人に少し頼って寄り掛かっても、一緒に生きながらえるほうが、よっぽど勇気ある選択だってこと。それって、新しい男らしさじゃないか、とも思うのです。そして、そんな男性を受け入れ、理解できる女性は確実に増えているのです。
銀座で学んだ、タフな女の処世術
いつの時代だって、女性は元気。おいしいものを食べておしゃべりしながら、上手に発散し、代謝できる。抜き方が上手なんです。2009年に上梓した本『銀座クラブは女の大学』の中でも書きましたが、銀座ではそんなタフな女性をたくさん見てきました。日中バリバリ働いて、夜は体裁というスーツを脱いだ男性たちの、本音や素顔、弱さや強さ。すべてを丸ごと受け止める“女性力”を身につけるためには、それだけの器が必要です。外見の美しさを磨くことはもちろん、抜くところは上手に抜く。そういうしなやかでタフな処世術を、私は銀座という場所で学びました。
だからこそ、言えるんです。頑張り過ぎてエネルギーが切れかけだったり、抱え込み過ぎてアップアップしていたり、孤軍奮闘、闘い疲れてヘトヘトになっていたりする男性たちは、女性たちの、カラリと笑いとばす明るさや大らかさ、ちゃっかりした部分なんかを見習って、まずは力を抜いて軽く息抜きをしてみてください。重い鎧(よろい)を脱いで、少し甘えてみることで、すごくラクになれるはずだから。
いきものとしての健全さが、地球を救う
そうやって相手を思いやりながらお互いを請け負い合う覚悟ができれば、男性は内蔵されているエネルギーが再び湧き上がってくるし、女性は男性を支えることで、内から湧いてくる何かがある。それがまた女性を強く、美しくする。それこそが、今の時代の、いきものとしての“健全な”在り方なんじゃないでしょうか。男性と女性が手と手を取り合って協力し、優しくたくましく支え合いながら命をつないでいくことで、日本も地球も、もっと元気になっていくのでは、と思います。
最後に。私個人の野望をちょっとご紹介。いつも旅をしていたくて、気がつけば日本だけでなく世界中あちこちを訪れている私ですが、昨年“呼ばれた”場所は奄美大島でした。何度か訪れるうちすっかり気に入って、大人から子供まで友人たちをたくさん招待したのです。昨日まで会社や学校で重い荷物を背負って闘っていた男性たちが、砂浴したりアイスクリームを食べたりして大はしゃぎ!むき出しの大自然の中、どこまでも続く大きな空を眺めたり、何もかも流してくれそうな海と戯れることで、みんな「毒が抜けたぁ」と、すっかり蘇生して都会に帰っていきました。そんな様子を見ながら、疲れた人々がフラリと訪れ、蘇生できるような桃源郷があるといいな、と思ったんです。上手に息を抜ける場所、何かに気付く場所、蘇生できる場所。ディズニーランドならぬ、「蝶々ランド」のような場所をつくりたい(笑)。それが2012年、私の密かな野望です。
Text / Miho Tanaka(staffon)
蝶々(ちょうちょう)
作家・エッセイスト
コピーライター兼銀座ホステス時代に綴ったブログ『銀座小悪魔日記』が話題になり、2002年出版デビュー。2004年に出版された『小悪魔な女になる方法』(大和出版)は50万部を超える大ベストセラーになり、一躍女性のカリスマ的存在に。現在、女性誌を中心にエッセイや小説の連載、講演やセミナー、企業とのコラボレーション商品開発など、マルチに活躍中。著書に『女子アゲ↑』(徳間書店)、『小悪魔流。~小悪魔の手のうち、教えます~』『原色3人女』『アタラシイ女子の光!』『大丈夫。心のお守りメッセージ』(小学館)など多数。
CHOCHO生しぼり![]()

銀座クラブは女の大学
蝶々(著)小学館
会社員と銀座のホステス。蝶々さんが、そんな二足のわらじをはいていたというのは有名な話。オジサマだけでなく、世の女性たちをも虜にする小悪魔フェロモンや、強くてしなやかな蝶々さんの原点は、「銀座クラブ」時代にありました。クラブで学んだ処世術から生き方哲学まで、これまで語られなかった秘話満載の書き下ろしの一冊。男性にも女性にも楽しく読んで頂ける作品です。
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女のエピソード
澁澤 龍彦(著) / 河出書房新社
澁澤龍彦の選ぶ女性は、どこか悲劇がとても似合います。悲劇が似合いながらも、その生涯の濃度は異様に濃い。フリーセックスの実践家としての「ヴィーナス」、マゾヒズムの語源、小説家マゾッホと不思議な契約結婚をした「ワンダ・リューメリン」、自由恋愛のチャンピオンとしての「和泉式部」などなど、女の濃い生きかたを知りたい人へ。
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世界悪女大全 淫乱で残虐で強欲な美人たち
桐生 操(著)/ 文藝春秋
過去歴史上で女を狂わせてきたものはたくさんあるけれど、多くはこんなことではないでしょうか。権力、愛欲、金、男、嫉妬、スキャンダル…。権力者に寄り添うことで、自分のわがままを突き通した女性から、あるがままの自分を貫き通し自滅していった女性まで。世には悪女と罵られながら生きた、世界の女たち。
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「大人の女」になれる29のルール
吉元 由美(著)/ PHP研究所
女性が今後を考えるいちばん大きなタイミングかもしれない、30歳。結婚かキャリアか、今の仕事か転職か。著者は、そんな「20代後半から30代は女にとっていちばん楽しくて輝かしい時代」だと言います。そして、「大人になるということは、ありのままの自分を愛すると同時に、美しく変化していくこと」なのだそう。
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午前3時の無法地帯 1巻
ねむようこ(著)/ 祥伝社
デザイン専門学校を出て、パチンコ屋専門のデザイン事務所に就職したももこ。どこを見ても変わった人ばかりで、憧れのデザイナー業とは違ったその職場に不満を募らせながら、仕事を続けています。仕事へのプライドを失ったり、恋をしたり、ケンカもしたり。どうしようもない毎日を楽しそうにしながら、必死に生きている人間たちの姿。
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働きマン(1)
安野 モヨコ(著)/ 講談社
寝ることも、食事も忘れ完全仕事モードに入り没頭する、それが働く女が"働きマン"になる瞬間。仕事に生きがいを見い出す女性を中心に、雑誌編集部で働く人間たちを通して、記者の仕事とは何か、働くとは何かを問いかけます。女だから男だからという領分を超えて、働くことの喜び、辛さ、意義、役割を考えてしまいます。
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ホタルノヒカリ(1)
ひうらさとる(著)/ 講談社
寝ることも、食事も忘れ完全仕事モードに入り没頭する、それが働く女が"働きマン"になる瞬間。仕事に生きがいを見い出す女性を中心に、雑誌編集部で働く人間たちを通して、記者の仕事とは何か、働くとは何かを問いかけます。女だから男だからという領分を超えて、働くことの喜び、辛さ、意義、役割を考えてしまいます。









