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読んでおきたい この100冊リスト
あ行
  • 或阿呆の一生

    芥川 龍之介 (著)

    或阿呆の一生

    「人生は一行のボオドレエルにも若かない」とは、冒頭の有名な文句。51の断章から構成された、芥川龍之介の自伝的な遺稿であり、遺書とも言われている。自らを“阿呆”と蔑みながら、夏目漱石や谷崎潤一郎を偽名で登場させ、自分の人生を振り返るようにこの本を書いた。 ....続きを読む

  • 河童

    芥川 龍之介 (著)

    河童

    男が落ちた穴の先には、河童の世界があった。精神病者が語る河童の世界は、人間界とはいろいろなことが逆。服を着ることが笑われたり、生まれてくる赤ちゃんは生まれるかを自分で選ぶことができたりする。学生から医者、詩人、音楽家、哲学者、漁師に会社社長まで、多彩な河童たちが、人間にとってあべこべに。.....続きを読む

  • 蜘蛛の糸

    芥川 龍之介 (著)

    蜘蛛の糸

    残虐な悪事を繰り返してきた大泥棒カンダタは地獄に落ち、まるで死んだように、血の池でもがき苦しんでいた。生前、蜘蛛を殺さずに助けた善行を知っていたお釈迦様は、一本の蜘蛛の糸を地獄へと垂らし、カンダタへ救済の手を差し伸べた。しかし、糸を独り占めし、自分だけが助かろうとした無慈悲なカンダタは地獄へと再び落とされる。.....続きを読む

  • 地獄変(新字新仮名)

    芥川 龍之介 (著)

    地獄変(新字新仮名)

    似顔絵を描けば魂が抜かれると言われるほど良秀は最高の絵師だったが、傲慢で嫌われた男でもあった。ある殿に「地獄変」の絵を依頼されるも、「実際見たものしか描けない」良秀は、牛車の中で火に焼ける女だけが描けないという。そこで殿が手配し焼き殺されたのは、なんと良秀の娘だった。.....続きを読む

  • トロツコ

    芥川 龍之介 (著)

    トロツコ

    子どもの頃、一人で帰る暗い道がどうしようもなく恐かった記憶はないだろうか。鉄道敷設工事が始まったのは、良平が8歳のとき。運搬に使われるトロッコに憧れていた良平は、ある日押させてもらえることになる。意気揚々と押し始めるが、夜が更けると帰りが不安になってきた。.....続きを読む

  • 芥川 龍之介 (著)

    鼻

    ある寺の僧、禅智内供はなんと18cmにもなろうかという“鼻”の持ち主。周囲からからかわれるため、ある日、鼻を短くすることに成功するが、まわりの人たちは前にも増して笑っている。内供は考えた。みな他人の不幸に同情するが、それが解決されてしまうと物足りなさを感じ始める。.....続きを読む

  • 文芸的な、余りに文芸的な

    芥川 龍之介 (著)

    文芸的な、余りに文芸的な

    谷崎潤一郎との小説をめぐる論争をきっかけに、雑誌「改造」に連載された芥川の文学評論。芥川の理想とする作家や小説観がわかりやすく表明されている。「筋の面白さが作品そのものの芸術的価値を強めるということはない」と谷崎作品を評した芥川に対し、「筋の面白さを除外するのは、小説という形式がもつ特権を捨ててしまふことである」と谷崎は切り返した。.....続きを読む

  • 羅生門(新字新仮名) [ 羅生門 ]

    芥川 龍之介 (著)

    羅生門(新字新仮名) [ 羅生門 ]

    平安時代、主人に解雇された男は、生きる糧もなくぎりぎりまで追い詰められていた。盗賊になる勇気も持てない男は、羅生門の上階で老婆が死んだ女の髪の毛を抜いているのを目撃する。鬘を作り売ろうとしていた老婆は、死んだ女は元々人を騙していた悪人であり、生きるためにもやむを得ないことだという。.....続きを読む

  • 或る女(前編)

    有島 武郎 (著)

    或る女(前編)

    何人もの男を相手に、自分の力と可能性を信じ、奔放に生きた女の激情と悲劇の物語。主人公葉子のモデルは、小説家国木田独歩の妻だった佐々城信子。葉子は、恋愛結婚であった木部(国木田独歩)との生活が破綻し、再婚のため在米中の婚約者木村のもとへと向かう。その船中、船の事務長の倉地に惹かれ関係が始まってしまう。.....続きを読む

  • 或る女(後編)

    有島 武郎 (著)

    或る女(後編)

    葉子は、結局アメリカには上陸せずに帰国し、倉地と同棲を始める。これがスキャンダルとして騒がれ、さらには倉地のスパイ行為も発覚。倉地は追われるように姿を消し、二人の生活は崩壊。葉子は病気で倒れ、ひとりで息を引き取る。自分にふさわしい場所、ふさわしい男を探し求めた旅は、最後はひとりで静かに幕を下ろす事になってしまった。.....続きを読む

  • 生まれいずる悩み

    有島 武郎 (著)

    生まれいずる悩み

    大学教授で作家でもある主人公は、ぶっきらぼうな中学生の少年から、絵を見てほしいとお願いされる。すると、技術はともかくその感性に驚く。10年後に突如送られてきた作品は、本当の芸術家だけが見ることのできる自然が描かれていた。その後、再会した少年は、たくましい漁師へと成長していた。寂れた漁村で家族の生活のため10年間働き続けていたのだ。.....続きを読む

  • カインの末裔

    有島 武郎 (著)

    カインの末裔

    “カインの末裔”とは、キリスト教の人間の宿命についての考え。カインは人類最初の殺人者であり、嘘つき。そのカインの子孫である人類はみな、罪深い心を持っているということ。北海道の小作農、仁右衛門は妻と子と馬を連れ、ある農場へたどり着く。しかし、姦通、暴力、窃盗など傍若無人な振る舞いを続け、農場から去らねばならなくなる。.....続きを読む

  • 江戸か東京か

    淡島 寒月 (著)

    江戸か東京か

    作家であり、画家だった淡島寒月は、江戸文化の研究者としても知られていた。本書は、江戸が東京に変わろうという激動の時代に、子供だった寒月が見聞きした江戸の真ん中、浅草から両国や馬喰町などの文化を紹介している。戊辰戦争後の物騒を好む時期には、今でいうお化け屋敷のような怪談見世物が流行し、蛇使いなどもたくさんいたという。.....続きを読む

  • 江戸の玩具

    淡島 寒月 (著)

    江戸の玩具

    江戸文化の研究家であり、古物の収集家としても知られる淡島寒月。福沢諭吉の影響で西洋文化に興味を持ち、なんと一時は髪を染め、アメリカに帰化しようとさえしたという。アメリカに行くなら日本文化を知ってから行こうと考え、研究を始めてみると、古物収集の趣味とあいまって、玩具収集の分野の第一人者になっていた。.....続きを読む

  • 一握の砂

    石川 啄木 (著)

    一握の砂

    「悲しき玩具」と並ぶ、石川啄木の代表作。三行詩と呼ばれる詩のスタイルで、故郷や両親への思い(たはむれに母を背負ひて/そのあまり軽きに泣きて/三歩あゆまず)、青春の記憶、厳しい作家としての現実(はたらけど/はたらけど猶わが生活楽にならざり/ぢっと手を見る)などが切々と歌われている。.....続きを読む

  • 歌集 悲しき玩具

    石川 啄木 (著)

    歌集 悲しき玩具

    肺結核のため26年で短い生涯を終えた啄木。「悲しき玩具」は晩年の句を連ねた歌集である。“呼吸すれば、/胸の中にて鳴る音あり。/凩よりもさびしきその音!”。余命長くない悲しみや病気の苦しみを詠んだものが多いため、決して明るい歌集ではない。時にもっと生きたいと願い、時に早く死んでしまいたいと嘆く啄木。.....続きを読む

  • 外科室

    泉 鏡花 (著)

    外科室

    伯爵夫人が、思いを寄せる青年医師高峰に手術を受ける場面から物語は始まる。夫人は自分の胸のうちの想いが現れることを恐れて、麻酔なしで自分の胸を切り開くことを希望する。そんな二人の出会いは、九年前に一度だけ、小石川植物園ですれ違いざまに目を交わしただけ。.....続きを読む

  • 高野聖

    泉 鏡花 (著)

    高野聖

    ある高野の僧が、飛騨の山越えをしたときの不思議な体験を、寝物語に私に語る。昼なお薄暗い鬱蒼とした森の中、大量の蛇や毛虫、山蛭に襲われ、ようよう辿り着いたのは一軒の山家。そこには摩訶不思議な夫婦が住んでいた。亭主は白痴で話もできず、その風貌は化け物じみているが、歌は大変うまい。.....続きを読む

  • 顔の美について

    伊丹 万作 (著)

    顔の美について

    映画監督として日本映画の基礎を築いた伊丹万作の、“顔”についての名エッセイ。人間の顔は死ぬ前にその完成を見せ、生まれたての赤子はどんなに醜くとも醜いなりの調和を持ち、世の中の美容術は唯一、精神的教養以外にないと説く。翻って自分の顔を眺めたときに、その扁平さに嫌気が差すのだとか。.....続きを読む

  • デンマルク国の話

    内村 鑑三 (著)

    デンマルク国の話

    キリスト教学者、思想家であり、伝道者であった内村鑑三。教育者やジャーナリストなど、様々な顔をもつ人物であったが、活動の根っこにはキリスト教の考えがあった。1911年に行われた講演である本書は、戦争に負けながらも大きな成長を見せたデンマルク(デンマーク)が、どのように心と経済の豊かさを手にしたかを説いている。.....続きを読む

  • 十八時の音楽浴

    海野 十三 (著)

    十八時の音楽浴

    日本のSF小説の始祖のひとりと呼ばれる海野十三。本書は、SF小説のなかでも、ディストピアものと呼ばれる、極端な管理によって人間性を抑圧する社会を描いた作品。独裁者ミルキ国王は、コハク博士が開発した”十八時の音楽浴”装置によって、人間をマインドコントロールし、支配していた。国民全体が生きる意欲を失った国に、突如火星人からの襲撃が始まる。.....続きを読む

  • アッシャー家の崩壊

    エドガー・アラン・ポー (著)

    アッシャー家の崩壊

    ロデリック・アッシャーは、神経症治療のため主人公を屋敷へ招待した。その病の原因は、最愛の妹マデラインの病気であった。妹が死に、棺に納めてから何日か後、彼は妹が生きていたのに棺の中に閉じ込めたと告白。そして現われたマデラインは兄を殺してしまう。私が屋敷から逃げ出すと、アッシャー家は轟音を立てて崩れ落ちていったのだった。.....続きを読む

  • 黄金虫

    エドガー・アラン・ポー (著)

    黄金虫

    隠遁生活を送る友人・ルグランに、「黄金虫が財宝をもたらす」と奇妙な誘い文句で、共に探検することを請われた語り手。ルグランの従者・ジュピターと3人で森の中に出かけてみる。とある場所の樹の上に打ち付けてある髑髏から黄金虫を垂らせとジュピターに指示を出すルグラン。二度目の採掘で、とんでもない財宝が見つかる。 .....続きを読む

  • モルグ街の殺人事件

    エドガー・アラン・ポー (著)

    モルグ街の殺人事件

    ある日、パリのモルグ街で猟奇殺人事件が起きる。犠牲者は人間業とは思えないようなむごい殺され方をされており、しかも事件現場となった部屋は密室だった。複数の人が聞いていた犯人とおぼしき人物の声は、どの証言者の母国語とも違う言葉だったという。この不可思議な事件を探偵C・オーギュスト・デュパンが解明していく。.....続きを読む

  • 金魚撩乱

    岡本 かの子 (著)

    金魚撩乱

    岡本太郎の母親としても知られる岡本かの子の、理想と美を巡る物語。金魚屋の跡取りである主人公復一は、身分違いの真佐子に思いを寄せる。叶わぬ恋は、理想の金魚を配合し誕生させるという夢と重ね合わされる。その夢は、最後「意識して求める方向に求めるものを得ず、思い捨てて放擲した過去や思わぬ岐路から、突兀として与えられる人生の不思議さ」として、ある形に結実する。.....続きを読む

  • 食魔

    岡本 かの子 (著)

    食魔

    北大路魯山人をモデルに描かれたといわれる小説「食魔」。緊張を強いるようなキリキリとした文体で、描かれるのは若い料理教師の鼈四朗の人生。教室でチコリーの和え物を作り、家庭での芋の煮転がしに「ほう」と機嫌を直し、大根の鍋でビールを飲む。食を通して人生を見据えるという作業は、暮らしのディテールを見つめること。そして人生の機微を感じるということ。.....続きを読む

  • 大阪発見

    織田 作之助 (著)

    大阪発見

    オダサクの愛称で知られる織田作之助のエッセイ。大阪の最も大阪的なところとして、「ややこしい」法然寺を挙げるオダサク。そこはもう神仏のデパート、信仰の流行地帯、迷信の温床であり、どこにどれがあるのか、何を拝んだら何に効くのか、われわれにはわからないとまで言う。果ては「ややこしい」という大阪言葉を説明するのもこれまた非常ににややこしいのだと重ねる。.....続きを読む

  • 夫婦善哉

    織田 作之助 (著)

    夫婦善哉

    売れっ妓芸者の蝶子と化粧品問屋の若旦那柳吉。どちらからともなく惚れたふたりは所帯を構える。しかし甲斐性のない柳吉は親から勘当され、次々に商売を変えるがどれも長続きしない。そんな柳吉はうまいものに目がなく、お蝶を伴っては「どや、うまいやろが、こんなうまいもんどこ行ったかて食べられへんぜ」と嬉しそうに言う。.....続きを読む

  • 身毒丸

    折口 信夫 (著)

    身毒丸

    皮膚に「蝦蟇の肌のような」業病を身体に宿す、身毒丸。旅の田楽法師であった父も、同じ病を患っていた。この病気を抑えるためには「浄い生活」を送るしかないと、かつて父は言った。長者の娘に心を惹かれる身毒を、芸のためにと折檻する田楽法師の師匠。「ある女の為に落ちてしまった」父親と同じ運命を辿ることになるのだろうか。.....続きを読む

か行
  • 桜の樹の下には

    梶井 基次郎 (著)

    桜の樹の下には

    桜の花があんなにも見事に咲くなんて信じられない。人の心を打たずにはおかない、不思議な、生き生きとした、美しさ。俺は反対に不安になり、憂鬱になり、空虚な気持になった。しかしいま、やっとわかるときが来た。桜の樹の下には屍体が埋まっている。これは信じていいことだ。俺には惨劇が必要なんだ。その平衡があって、はじめて俺の心象は明確になって来る。 ....続きを読む

  • 檸檬

    梶井 基次郎 (著)

    檸檬

    大正時代のこと。肺を病み借金を抱えた私は、得体の知れない不安に始終苛まれ、それまで関心を持っていた音楽や詩、「丸善」への興味を失ってしまった。そうして町をふらつき歩く日々のなか、私はいつになくひいきの果物屋で買物をした。というのはその店には珍しい檸檬(れもん)が出ていたのだ。私を不安にさせた様々な物事が、檸檬ひとつで払拭されていく。 ....続きを読む

  • 方丈記

    鴨 長明 (著)

    鴨 長明

    「行く川の流れは絶えずして、しかも本の水にあらず」という、あまりに有名な出だしの日本三大随筆のひとつ。冒頭から移り行く世界の無常を描き、「山くづれて川を埋み、海かたぶきて陸をひたせり」と同時代の災厄について述べる。その後、「心をさめて道を行はむがためなり」と自身が暮らす草庵での生活を語った鴨長明。....続きを読む

  • 芥川の事ども

    菊池 寛 (著)

    芥川の事ども

    小説家で文藝春秋社を創設した編集者でもある菊池寛は、芥川龍之介と第一高等学校からの知己であった。現世的な生活力を持った菊池とは真逆の、潔癖性をもった芥川。その自殺に、あまりに、都会人らしい品のよい辛抱をつづけすぎたのだと、なかば憤慨して書き綴る菊池寛。....続きを読む

  • 恩讐の彼方に

    菊池 寛 (著)

    恩讐の彼方に

    市九郎は旗本の愛妾との恋をとがめられ、とっさに旗本を殺して女と逃げる。しかし女の強欲と己の罪深さを知った市九郎は、出家し、滅罪のために全国行脚の旅に出た。その道中、何人もが命を落としたという断崖の道をみて、絶壁をくりぬくことを思い付く。約三十年間掘り進め、成就したその傍らには、仇討ちに来た旗本の長男もあった。....続きを読む

  • 父帰る

    菊池 寛 (著)

    父帰る

    家を出て行った父親が、二十年後のある日、年老いて帰ってくる。飄々としたその様子に、長兄はかつての父親の仕打ちを思い出し、激しく憤って追い出そうとする。しかし父親を記憶していない弟妹と弱った母は、父親に同情する。その家族を見てますます長兄は苛立ちを隠さず父をののしる。お前らは父親のない苦労を忘れたのか。....続きを読む

  • 邪宗門

    北原 白秋 (著)

    邪宗門

    南蛮趣味と西方憧憬に彩られた北原白秋最初の詩集である本書は、親交のあった石川啄木から、「今後の新しい詩の、基礎となるべきものだ」と絶賛された。そこには童謡風なものから浪漫派風に及ぶとても多彩な詩が収められているが、感覚の解放や官能への陶酔といった象徴詩が、北原がもっとも目指したものだった。....続きを読む

  • まざあ・ぐうす

    北原 白秋 (訳)

    まざあ・ぐうす(翻訳)

    まざあ・ぐうす=マザー・グースは、子守唄や物語唄、早口言葉、数え唄、なぞなぞ、言葉遊びなどを始めとした伝承歌や童謡のこと。大事なのは作者が誰かということではなく、それを歌う人々のものであるということ。何度も落ちるロンドン橋を歌った「ロンドン橋落ちた」や、アガサ・クリスティの『そして誰もいなくなった』で使われた「十人のくろんぼの子供」はよく知られている。....続きを読む

  • 土佐日記

    紀 貫之 (著)

    土佐日記

    男が書く日記を、女も書いてみようと思って。と、男の紀貫之が記した日記文学。934年12月の国府出発から、935年2月の京着まで、旅をしながら毎日何をしていたのか記す模様は、紀行文としても読むことができる。文頭からも読み取ることができる、ところどころに散りばめられたユーモアもひとつの特徴。だが、内容は亡くなった愛娘への思いや、帰京をはやる気持ちなどが中心。....続きを読む

  • 「いき」の構造

    九鬼 周造 (著)

    「いき」の構造

    例えば、「いき/粋」という言葉を外国人に説明するとき、いくら言葉で尽くしても、どうも説明できない気がする。それは、哲学者九鬼周造は考えたように、「いき」という言葉が、外国語に相当するものがなく、日本独自の概念だからだろう。それは、「異性への媚態」であり、「江戸文化の意気地」であり、「諦めと恬淡」であると九鬼は定義する。....続きを読む

  • 牛肉と馬鈴薯

    国木田 独歩 (著)

    牛肉と馬鈴薯

    明治倶楽部の食堂に集まり、自らの人生観を語る7人の紳士たち。岡本が倶楽部を訪れたのは、彼らの話が盛り上がった頃だった。そのうちの1人は、理想は馬鈴薯だと言う。新天地である北海道に渡った彼は、理想と現実の大きなギャップを痛感し、現実主義に転身した。ステーキに馬鈴薯が付いてくるように、理想は現実の付属物である、と彼は主張し、理想に燃える人を「馬鈴薯党」、現実主義者を「牛肉党」と呼んだ。....続きを読む

  • 酒中日記

    国木田 独歩 (著)

    酒中日記

    国木田独歩が、上京するまでに過ごした山口県を舞台に描いた作品。これはタイトルからイメージされる酔いどれの話ではない。真摯に生きようとすれども、取り巻く悪たれどもによって、意図しない辛い人生を歩まざるを得なかった主人公の悲哀が日記として描かれている。何も悪いことをしたわけではないのに、まるで追われる悪人のような心境に陥り、ついには大事な人まで失ってしまう男。....続きを読む

  • 武蔵野

    国木田 独歩 (著)

    武蔵野

    いくつもの筆名をもつ独歩が国木田独歩になったとき、彼は渋谷区渋谷村に住んだ。「枯野のなかの此ひとつ家/家のうしろのひとつ松/わが友とては此松のみ/枯野のなかの一もと松/をとづるものは風ばかり/友とし言へば此われのみ」。ここには風流も数寄もない。社会から廃絶された男が厳しい自然と向き合っているだけであり、理想とした武蔵野とはかけ離れている。....続きを読む

  • 赤ずきんちゃん

    グリム兄弟 (著)

    赤ずきんちゃん

    おばあさんの病気のお見舞いに、森の中を歩いていると、狼に話しかけられる赤ずきんちゃん。疑うこともせずにおばあさんの家の場所を教えてしまうと、悪い狼はひと足先におばあさんの家へ。入るなり、おばあさんをひと飲みしてしまう。遅れてきた赤ずきんちゃんも、ひと飲みにされてしまう。....続きを読む

  • ブレーメンの町楽隊

    グリム兄弟 (著)

    ブレーメンの町楽隊

    年老いたロバが、用済みとなる前に主人の下から逃げ出して、楽隊をやろうと考える。道中、同じく年老いた猟犬、年老いた猫、明日には食べられてしまう雄鶏を仲間に加え、ブレーメンを目指して森の中へと歩いていく。夜になって、灯りの差す一軒の家を見つけて中を覗いてみると、泥棒たちが宴会の最中。....続きを読む

  • ヘンゼルとグレーテル

    グリム兄弟 (著)

    ヘンゼルとグレーテル

    森の外れに住む夫婦は、貧乏のために、大切な子どもふたりを森の中に捨ててしまう。兄のヘンゼルの機転で一度は、家に帰ることができたふたりも、二度目に捨てられたときには森の中をさ迷うことに。森の中を歩いていると、おかしの家を見つけて、思わずかぶりつく兄妹。魔女に招き入れられ、ふたりは捕まってしまう。....続きを読む

  • 女の顔 ――私の好きな――

    黒田 清輝 (著)

    女の顔 ――私の好きな――

    日本で最も有名な洋画家のひとり、黒田清輝の女の好みについて。「一口に云ふと、薄ぼんやりした顔が好きです」とは、いかなることか。表情を削ぎ落とし、顔そのものについて語り続ける短いエッセイには、画家ならではのこだわりが凝縮されている。好きな顔について、これだけ語れる男でなけれれば、画なんて描けない。....続きを読む

  • 耳無芳一の話

    小泉 八雲 (著)

    耳無芳一の話

    昔、阿弥陀寺という寺に、盲目の琵琶法師、芳一がいた。壇ノ浦の戦いで破れた平家物語の語りで特に評判を呼んでいたが、ある晩、芳一を呼ぶ声がして、高貴な方の前で琵琶を披露することになる。大変歓迎されて、毎晩呼ばれるようになるのだが、実は招待しているのは、平家と平家が信奉していた安徳天皇の亡霊であった。....続きを読む

さ行
  • 旗本退屈男

    佐々木 味津三 (著)

    旗本退屈男

    直参旗本・早乙女主水之介、人呼んで旗本退屈男。額にある三日月型の「天下御免の向こう傷」がトレードマークの剣術の達人だが、天下太平元禄の世にあっては腕を振るう機会がない。口癖のように退屈だと言い、事件が起これば「これは退屈でなくなりそうだ」と嬉々として活躍する。失踪事件、人さらいなど、飄々と解決していく。....続きを読む

  • 死者の書

    釋 迢空 (著)

    死者の書

    本来の“死者の書”は古代エジプトにおいて、死者の魂が冥府に到るまで過程を書いたもの。本書はそれと同じ話しではなく、モチーフとして翻案している。非業の死を遂げ、埋葬されていた大津皇子が復活するところから物語は始まる、藤原郎女との交感を描いた物語。柳田国男の弟子であり、民俗学者である折口信夫が、釈迢空の名で書いた小説だ。....続きを読む

  • ガリバー旅行記

    ジョナサン・スイフト (著)

    ガリバー旅行記

    『船医から始まり後に複数の船の船長となったレミュエル・ガリヴァーによる、世界の諸僻地への旅行記四篇』と題された本作は、児童文学として第一篇のリリパット国渡航記(小人の国)が有名だが、その後も旅は続き、巨人の国、「空飛ぶ島」ラピュータ、そしてなんと日本を経由して、高貴な馬の種族の国で終わる。....続きを読む

た行
  • 斜陽

    太宰 治 (著)

    斜陽

    戦後、没落貴族となったかず子と母は生活苦から、家を売り、田舎で暮らし始める。弟の直治は家のお金を持ちだし、東京で上原と荒廃した生活を送っていた。その後、最後の貴族たる母が死に、かず子は上原と結婚。直治は、「僕は、貴族です」と残し自殺してしまう。かず子は上原の子を宿すも、「古い道徳とどこまでも争い、太陽のように生きるつもりです」と書き、一人で生きていくことを決意する。....続きを読む

  • 二十世紀旗手

    太宰 治 (著)

    二十世紀旗手

    エッセイとも日記ともつかない、不思議な小説。神話のような世界が語られるかと思えば、太宰治本人が登場し、視点も一人称や三人称が混在する。薬物中毒に心中と、太宰が心身ともにひどい時期の作品であり、如実にその状態が反映した作品と言えるだろう。とはいえ、さすが太宰。中毒性の高いリズムや文体、口に出したくなるようなセリフが多く登場する。....続きを読む

  • 人間失格

    太宰 治 (著)

    人間失格

    太宰治の自伝的な小説。まわりに馴染めず道化を装うことで、どうにか周囲との関係を保っていた。その後、恐怖心を紛らわすため酒や煙草、女へと走り、不倫や自殺未遂の果て、モルヒネ中毒をきっかけに脳病院へ入院させられてしまう。道化や狂人を装ってきた男が、狂人として社会から隔離されるに至る。「(道化は)自分の、人間に対する最後の求愛でした。....続きを読む

  • 走れメロス

    太宰 治 (著)

    走れメロス

    太宰治のなかでも、もはや説明不要なほどよく知られた信頼と友情の物語。王は人のことが信じられなくなり、次々と人を殺していた。人一倍正義感の強いメロスは、王に行いを正すよう直訴。人を信じる気持ちを取り戻させるため、親友セリヌンティウスを人質に、三日の間に村に戻り妹の結婚式をし、また戻ってくると約束をする。....続きを読む

  • パンドラの匣

    太宰 治 (著)

    パンドラの匣

    「人間は不幸のどん底につき落され、ころげ廻りながらも、いつかしら一縷の希望の糸を手さぐりで捜し当てているものだ」と語られるように、太宰作品には、珍しいほど明るさが滲む本作。第二次大戦後、肺を患った“僕”は、健康道場という施設で、年齢も職業も違う個性的な人たちに囲まれ、“新しい男”として療養生活を送っていた。....続きを読む

  • ヴィヨンの妻

    太宰 治 (著)

    パンドラの匣

    酔いどれの詩人である夫が、飲み屋からお金を盗み追われて帰ってきた。夫が日本一の詩人で元貴族の家に生まれた由緒正しい人間だと、妻はその時に初めて知る。妻は返済のため、その飲み屋で働き始める。お店の客と不倫してしまったその日、批評家から人非人と批判された夫に、「人非人でもいいじゃないの。....続きを読む

  • 富嶽百景

    太宰 治 (著)

    富嶽百景

    富士五湖の一つ、河口湖周辺の御坂峠。1938年の秋、小説家井伏鱒二がこもっていた宿に太宰が訪れた際の、富士山をめぐる紀行エッセイ。太宰中期にあたり、穏やかな作品が見られた時期でもある。本書でも、新たな結婚相手に会ったり、地元の若者から先生と呼ばれて喜んだりと明るい太宰が垣間見える。....続きを読む

  • 踊る地平線

    谷 譲次 (著)

    踊る地平線

    長谷川海太郎は、わずか35年の生涯で三つのペンネームそれぞれの名で名を馳せた珍しい作家だ。林不忘名義では、「丹下左膳」を書き、牧逸馬では犯罪、怪奇小説を、そして谷譲次では、モダニズム文学を牽引する”めりけんじゃっぷ”シリーズと紀行本の名作である本書を書いた。....続きを読む

  • 作男・ゴーの名誉

    チェスタートン (著)

    作男・ゴーの名誉

    作男とは、雇われて耕作する男のこと。伯爵の城で起きた謎の多い死。師父ブラウンは、調査に乗り出している友人でもある素人探偵フランボーに会いにやってくる。城の唯一下男である、耳の遠い作男ゴーは、淡々と馬鈴薯を掘り返している。蝋燭はあっても燭台がなく、ダイヤモンドはあっても金属の台がない。不可思議な遺品に、謎は深まっていく。....続きを読む

  • 自分だけの世界

    辻 潤 (著)

    自分だけの世界

    読者のため、というよりもむしろ自分の覚書の為にという冒頭から始まる、マックス・シュティルナーというドイツの哲学者を紹介するエッセイ。個人主義を基調とし自己の存在だけを肯定するというその言説に、極端なものを感じながらも、もっとも実用的な哲学ではないかと著者の辻潤は言う。「自分の生きてゆく標準を他に求めないこと」。....続きを読む

  • クリスマス・カロル

    ディッケンス (著)

    クリスマス・カロル

    冷酷な守銭奴である主人公、スクルネージの前に現れた三人のクリスマスの精霊。過去の精霊は、スクルネージの暖かい少年時代を見せ、現在の精霊は、スクルネージが雇っているクラチット家の絆を映す。そして未来の精霊は、嫌われ者の男がシーツに包まれて死んでいる姿を見せる。荒れ果てた墓場で、刻まれた自分の名前を見つけたスクルネージは、悪夢が覚めると、 ....続きを読む

  • 科学者と芸術家

    寺田 寅彦 (著)

    科学者と芸術家

    今でこそ芸術と呼ばれるものの範囲は広くなってきたが、寺田寅彦が活躍した時代は、寺田の専門分野であった物理学を含む科学全般と芸術は、まったく関係のないものと思われていた。夏目漱石の門下生で俳人でもあった寺田が、そうしたジャンルの壁を超えるべく書いたのが「科学者と芸術家」。....続きを読む

  • 時の観念とエントロピーならびにプロバビリティ

    寺田 寅彦 (著)

    時の観念とエントロピーならびにプロバビリティ

    時間とは何かということを、時の概念以外の言葉でわかりやすく言い換えることは、まだ誰も出来ていないと寺田寅彦は考えた。自分でもどうにか説明しようと寺田は、時間の”不可逆性”に注目し、同じく不可逆的な物理学上の概念である”エントロピー”を”時”と併置することを考え、さらにもう一つ不可逆的な公算=プロパビリティの概念も加えて、これらの関係性の中に何らかの答えを見出そうとする。....続きを読む

  • ドストエフスキー (著)

    鰐

    これが『罪と罰』や『カラマーゾフの兄弟』を書いたドストエフスキーの作品かと疑ってしまうような、ユーモアと不条理に満ちた作品。ある日、ショッピングセンターに鰐を見物に訪れた男は、そのまま鰐に飲み込まれてしまう。すると男は、自分はこの鰐の中から世界を変えようとし始めるのだが、彼がいなくても少しも困らないと考えている周囲の人々とのズレが笑えてしまう。....続きを読む

  • イワンの馬鹿

    トルストイ (著)

    イワンの馬鹿

    19世紀ロシア文学の巨匠が描く寓話は、教訓に満ちている。欲深いふたりの兄と愚鈍な弟イワン。家族をバラバラにしてしまおうと悪魔が忍び寄って、それぞれの欲を刺激するが、ばかのイワンだけが悪魔の誘いに屈せずに、逆に悪魔を捕まえてしまう。イワンは悪魔からもらった病気を治す木の根っこで王女の病気を治してやると、王様に迎えられることに。....続きを読む

な行
  • 巌流島

    直木 三十五 (著)

    巌流島

    宮本武蔵と佐々木小次郎、ふたりの剣豪の巌流島伝説を小説化したもの。時間にわざと遅れて小次郎を苛立たせたり、鞘を捨ててしまった小次郎に「勝つつもりなら鞘は捨てぬものぞ」と言い放ったり。どこかで聞いたことのあるエピソードは、この小説の中で語られたもの。実は武蔵の自著には巌流島について語られた物はなく、周囲の証言を元に伝説のように作り上げられた。....続きを読む

  • 山月記

    中島 敦 (著)

    山月記

    唐の時代、役人であった李徴は自分の才能を過信し、詩人としての成功を夢見るも挫折。小役人に落ち着いてしまった彼は、突如発狂し姿を消してしまう。旧友が山を通りかかると、李徴の声が聞こえる。彼は、センシティブゆえの“臆病な自尊心”と“尊大な羞恥心”が自分を虎にしてしまったという。才能がないことに気づくことを恐れ、言い訳していただけだったのだと。....続きを読む

  • 李陵

    中島 敦 (著)

    李陵

    舞台は前漢、武帝の時代。匈奴討伐に出た李陵は、奇襲に遭い捕虜となってしまう。漢ではそれを敵に寝返ったと誤解し、李陵一族は皆殺しの目にあい、唯一李陵を擁護した司馬遷は、宮刑(=去勢の刑)に処せられてしまう。帰国の意味を失った李陵は祖国を憎み、匈奴にとけ込んでいく。あるとき李陵は、同じ囚われの身ではあるが、匈奴に屈せず生きていた友人蘇武に再会する。....続きを読む

  • 草枕

    夏目 漱石 (著)

    草枕

    冒頭の「智に働けば角が立つ。情に棹させば流される。意地を通せば窮屈だ。とかくに人の世は住みにくい。」で知られるこの物語。日露戦争の頃。洋画家である主人公が、山中の温泉宿に宿泊する。やがて「非人情」な美しさを持つ宿の若女将那美は、洋画家に自分の画を描いてほしいと頼むが、彼は「足りないところがある」と断った。....続きを読む

  • 虞美人草

    夏目 漱石 (著)

    虞美人草

    藤尾は許嫁の宗近との結婚を躊躇していた。宗近の学友で芸術家肌の小野にも惹かれていたからだ。しかし小野には婚約者小夜子がいる。一時は小野も古風な小夜子を捨て、美しく教養もある藤尾を選ぼうとするのだが、宗近に諭されて「真面目に」なり思い直す。そして藤尾は我執の末、自らの身を滅ぼすこととなる。....続きを読む

  • 行人

    夏目 漱石 (著)

    行人

    『彼岸過迄』、『こころ』と合わせて、漱石の後期三部作と呼ばれている本作。学者である兄の一郎は、妻の自分への気持ちを信じきることができない。そこで弟の二郎に二人きりで旅行をし、貞節を試してみてほしいと依頼する。嫌がりながらも結果一泊した次郎は、兄に始終を話すことはしなかった。....続きを読む

  • こころ

    夏目 漱石 (著)

    こころ

    鎌倉の海岸で「先生」と出会った学生の「私」。「先生」は世の中とあまり関わらず、奥さんとひっそり生きていた。「先生」と「私」の交流は続き、大学卒業後「私」は実家に帰省していた。以前より病の重かった父親を看取ろうとしていた折、「先生」から手紙が届く。「此手紙があなたの手に落ちる頃には、私はもう此世には居ないでせう。....続きを読む

  • 三四郎

    夏目 漱石 (著)

    三四郎

    熊本の高等学校を卒業し、大学に入学するために上京した小川三四郎。だが東京は、自分が知っている世界とは全く違っていた。東京で出会う同郷の先輩・野々宮や友人の佐々木、“偉大なる暗闇”と呼ばれる広田先生、憧れる里見美禰子など、新しい人々や経験を通じ、新しい世間を知り始める。....続きを読む

  • 彼岸過迄

    夏目 漱石 (著)

    彼岸過迄

    須永は労働をせず、日々思想に耽って過ごす高等遊民。叔父や母の勧めで、従妹・千代子との結婚を迫られているが、どうも煮え切らない。その実は、学がありすぎるがために女の未知に恐怖を感じていたからだった。しかしそんな「恐れる男」須永も、ライバルが現れると嫉妬心に駆られる。それを見た「恐れない女」千代子は、優柔不断な須永に「貴方は卑怯だ」と言う。....続きを読む

  • 坊っちゃん

    夏目 漱石 (著)

    坊っちゃん

    「親譲りの無鉄砲で子供の頃から損ばかりしている」坊っちゃんは、四国に数学教師として赴任する。べらんめい口調で講釈をしたり、好物の天麩羅蕎麦を4杯平らげたりと、豪傑ぶりを見せつけながら、我が道をいく。やがて坊っちゃんは、教頭の赤シャツが、英語教師うらなりを左遷したことを知る。....続きを読む

  • 夏目 漱石 (著)

    門

    宗助は、かつての親友安井の内縁の妻、御米を奪った。罪の意識から、崖下の借家でひっそりと暮らしている。そのため父の遺産に積極的に関わることもできず、学費の問題で弟・小六を引きとることになる。そこへ安井の消息が届き、落ち着かない宗助は救いを求め鎌倉へ参禅したが、何も解決できないまま帰宅する。....続きを読む

  • 夢十夜

    夏目 漱石 (著)

    夢十夜

    「こんな夢を見た。」ではじまる十夜の掌編集。真珠貝で穴を掘って埋めて、といって死んだ女の第一夜。背負った自分の子供を捨ててしまおう、と思いながら行く道程を描いた第三夜。行き先の知れない大きな船に乗ってから、死を決して海に飛び込む第七夜。夢=無意識の世界を通して、誰もが抱える得体の知れない不安や、期待が裏切られることの恐怖を描いている。....続きを読む

  • ごん狐

    新美 南吉 (著)

    ごん狐

    村におりてきては悪さばかりしている子狐ごん。兵十が捕ったウナギを取り上げたのもいつものいたずらのつもりだった。10日後、兵十の母親の葬列を見たごんは、あのとき逃がしたウナギは病気の母親のために用意していたものだと気づき、後悔する。せめてもの償いにと兵十の家に栗やまつたけをこっそり置いていくようになる。....続きを読む

  • 手袋を買いに

    新美 南吉 (著)

    手袋を買いに

    わずか29歳で亡くなった児童文学作家、新美南吉は、南の宮沢賢治と言われるほど豊かな自然描写が特徴的な作家。もっとも知れられているのは、「ごんぎつね」と本作「手袋を買いに」の二つだろう。冒頭の、真っ白に輝く雪と遊ぶ子狐の描写は、とてもさわやかな美しさで、暖かな気持ちにさせてくれるはず。....続きを読む

  • よくぞ能の家に

    二十四世 観世左近 (著)

    よくぞ能の家に

    二十四世観世左近は、観世流の能楽師として、当時混乱していた観世流の統一と発展を支えた人物。タイトルは、能において神聖で重要な演目といわれる「翁」を、正月の初会能で演じることのうれしさからきた言葉。天下泰平、五穀豊穣を祈って行われる「翁」は、能であって能でないような、一種の式典として扱われるほど別格のものなのだという。....続きを読む

は行
  • 散文詩・詩的散文

    萩原 朔太郎 (著)

    散文詩・詩的散文

    萩原朔太郎は、現代語を使った口語自由詩の先駆者であり、現代まで引き続き愛され、読まれ続けている数少ない詩人だ。本書は、まとまった作品群ではなく、いろいろな小詩を集めたもの。いくつかは、朔太郎の詩的哲学を表明するかのような、強烈な意志と方向性を感じさせる。 “詩は、光である、リズムである、感傷である。生命そのものである。....続きを読む

  • たけくらべ

    樋口 一葉 (著)

    たけくらべ

    いずれは遊女になる14歳の美登利は、幼なじみの正太郎と憎まれ口をたたくお転婆娘。けれど唯一素の姿を見せられない存在、それは同じ学校に通う僧侶の息子、信如だった。あるお祭りの日、髪の毛を大島田に結って着飾った美登利は、つきまとう正太郎を遠ざけてしまう。いよいよ女として扱われ始めた自分に、気恥ずかしさと嫌悪を感じる美登利。....続きを読む

  • にごりえ

    樋口 一葉 (著)

    にごりえ

    銘酒屋「菊の井」で働く遊女のお力。お客である結城朝之助に知らず知らず心を許し、ぽつりぽつりと自分の過去を話す中で、お力に入れ込んでいる源七の存在が浮かび上がる。あまりののぼせように稼業の蒲団屋も落ちぶれ、あたたかい家庭すらも壊してしまう源七。一方、不幸な生まれと今の境遇に諦念とも煩悶ともいえない思いを結城にぶちまけるお力。....続きを読む

  • 余が言文一致の由來

    二葉亭 四迷 (著)

    余が言文一致の由來

    1887年に発表された『浮雲』は、日本の言文一致小説のはじまりとされている。その作者二葉亭四迷が、そのはじまりに至る経緯を書いたのが本書。多少の自虐とユーモアを込めているのだろうけれど、言文一致は自分が文章を書けなかったことに由来するという。そして、師匠坪内逍遥から言文一致表現の先駆者、三遊亭圓朝のように書けと言われたからだとも。....続きを読む

ま行
  • フランダースの犬

    マリー・ルイーズ・ド・ラ・ラメー (著)

    フランダースの犬

    ベルギー、アントワープ郊外を舞台にした、画家に憧れる少年ネロの物語。ネロは、牛乳配達をしながら画家を目指していたが、クリスマスまで数日と迫った頃に、立て続けの不幸に見舞われる。愛する祖父の死、放火犯の濡れ衣、小屋からも追い出され、路頭に迷ってしまうネロ。最後の希望として絵画コンクールの結果を待つが、落選してしまう。....続きを読む

  • オツベルと象

    宮沢 賢治 (著)

    オツベルと象

    ある日、お金持ちのオツベルのところに白い象がやってくる。オツベルは象をうまく騙して、奴隷として過酷な労働を課す。そうとは露知らず、初めは労働を楽しんでいた白象だが、徐々に体が弱っていってしまう。毎晩藁をたべながら話しかけていた月に別れを告げると、月は助けの手をさしのべる。....続きを読む

  • 風の又三郎

    宮沢 賢治 (著)

    風の又三郎

    九月一日、谷川の岸の分校に北海道から転校して来た少年がいた。高田三郎という。その朝、三郎がみんなを見回すと強い風が吹いた。ちょうど二百十日に現れ、名前も三郎であるところから、嘉助たちは、少年を「風の又三郎」だと言った。三郎と過ごす日々の中、嘉助は、「あいつは風の神」だと気付く。....続きを読む

  • 銀河鉄道の夜

    宮沢 賢治 (著)

    銀河鉄道の夜

    少年ジョバンニは、漁に出たまま帰らない父と、病に伏せている母をかかえていた。学校の授業をおえると、活版所で活字を拾う仕事をして銀貨を1枚もらい、パンと角砂糖を買って帰る。ある夜、星祭へ出かけるジョバンニ。しかし同級生にからかわれ、一人寂しく町はずれの天気輪の柱の下で銀河を仰いでいるうち、疲れから眠ってしまう。....続きを読む

  • セロ弾きのゴーシュ

    宮沢 賢治 (著)

    セロ弾きのゴーシュ

    賢治の物語といえば、ファンタジックで無垢なものばかりと思われがちだが、ここに登場するゴーシュは違う。ゴーシュは粗野で小心者でだらしない若者であり、楽長に「音が遅れた」「糸が合っていない」「感情が出ない」と叱られた鬱憤を晴らしに、生意気な三毛猫をさんざんに虐めたりもする。....続きを読む

  • 農民芸術概論綱要

    宮沢 賢治 (著)

    農民芸術概論綱要

    宮沢賢治は岩手を愛し、農村を愛していた。新しい農村を作るべく、農民たちに農業技術や科学、エスペラントなどを教える「羅須地人協会」を設立。そこで「農民芸術」の講義は行われた。「農民芸術概論綱要」は、十章に分かれた農民芸術の宣言文であり、宮沢賢治の芸術観がつまった哲学書でもある。....続きを読む

  • 春と修羅

    宮沢 賢治 (著)

    春と修羅

    宮沢賢治が生前、唯一出版した詩集「春と修羅」。同名の詩の中にある一文、「おれはひとりの修羅なのだ」という言葉に、賢治の険しい生き様が見て取れる。心象スケッチと自ら名付けた、自身の心のうねりをそのまま映し出したかのような詩は、時に難解に、時に単純に紡がれ、その文字列さえもうねる様にレイアウトされている。....続きを読む

  • ポラーノの広場

    宮沢 賢治 (著)

    ポラーノの広場

    昔、モリーオ市郊外の野原には、市民達が集って祭りを楽しんだというポラーノの広場があった。そこでは、どんな人でも上手に歌うことができるという。博物局員のキューストは、少年のファゼーロから、最近ポラーノの広場が復活したという話を聞く。その場所へ行ってみると…。....続きを読む

  • モスクワ印象記

    宮本 百合子 (著)

    モスクワ印象記

    プロレタリア文学作家として知られる宮本百合子が書いた、1928年ごろのモスクワ滞在についてのエッセイ。満員のサナトリウム、足りないバター、そしてロシアの深さ。過去を知らない外国人と自らを規定して、変革に揺れる当時の様子を克明に記している。政治的な主張を大きな声で叫ぶより、綴られるディテールに説得力を持つ。....続きを読む

  • 探偵小説アルセーヌ・ルパン

    モーリス・ルブラン (著)

    探偵小説アルセーヌ・ルパン

    怪盗アルセーヌ・ルパンと、ガニマール刑事との知恵比べ。スパルミエント大佐と称する人物の、高級な綴れ綿の壁布12枚セットのうち1枚だけが盗まれた。ルパンの手紙と共にその1枚が帰ってくる。「今度はきっと十二枚全部頂戴します」と。邸宅には頑丈な警備が引かれ、まったくスキが無いかに思われたが、翌朝にはすべての壁布がなくなっている。....続きを読む

  • 阿部一族

    森 鴎外 (著)

    阿部一族

    肥後の藩主・細川忠利の病死に際し、恩を受けた18人の藩士が殉死する。しかし、当然殉死するはずの阿部弥一右衛門だけは殉死の許可を得ることができず、生き残って新しい藩主に奉公していた。しかし、生命を惜しんでいるように見る家中の露骨な視線に堪えきれず、自分の死後、自分の行動や残されたものへの非難を覚悟の上で弥一右衛門は腹を切る。....続きを読む

  • ヰタ・セクスアリス

    森 鴎外 (著)

    ヰタ・セクスアリス

    哲学者・金井湛は自身の性欲の目ざめからその発展を小説にしてみようと思い立つ。恋愛と性欲は密接な関係こそあれど同一のものではない。性欲は自分からは遠いものだという金井が、自身を淡々と観察しながら性欲の自分史を書き綴った。しかし、書き終えた小説を読み返した金井は、表紙に「ヰタ・セクスアリス」=性欲的生活と記すと、誰にも読ませることなく本棚に投げ込んでしまうのだった。....続きを読む

  • 高瀬舟

    森 鴎外 (著)

    高瀬舟

    京都の罪人を遠島に送るために、京都町奉行所の同心が船を漕いで高瀬川を下る。そこへ弟を殺した喜助という男が乗せられた。同心は、喜助の遊山船にでも乗っているかのような晴れやかな顔を不審に思う。男は弟を殺したのだそうだが、世にも稀な悪人であろうか。どうもそうは思われない。ひょっとして気でも狂っているのでは? ....続きを読む

や行
  • 瓶詰地獄

    夢野 久作 (著)

    瓶詰地獄

    これまで数限りなくいた日本の小説家の中でも、特異な位置を占める夢野久作。代表作『ドグラマグラ』は、日本三大奇書のひとつとまで言われている。本書も、夢野久作作品の中でも人気の高い一冊。ある兄妹が海で遭難した末にたどり着いた島から送られてきた、三本の瓶詰め手紙による書簡形式で構成されている。....続きを読む

  • 少女地獄

    夢野 久作 (著)

    少女地獄

    『少女地獄』は三編のオムニバス小説。「何でもない」は、嘘で嘘を塗り固めるようにして、最後に自らの身を滅ぼしてしまうお話。恋人が殺人鬼だと気づいたバスガイドは、事故にみせかけて恋人を殺してしまう「殺人リレー」。 偽善者である校長への復讐劇を、丸焦げの死体を送ることで完遂しようとした少女の物語「火星の女」。....続きを読む

  • 春は馬車に乗って

    横光 利一 (著)

    春は馬車に乗って

    大正後期から昭和にかけて流行した、新感覚派の代表的作家、横光利一。彼の実体験から書かれた本作は、肺病の妻とその世話をする作家の男の物語。病気から自暴自棄でわがままになった妻は、世話をする夫へあたってしまう。説得する夫だが、心のどこかでは、病気の彼女に安心もしてしまっている。....続きを読む

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