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有川浩 / 幻冬舎文庫 (267件のレビュー)
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総合評価:
み完成人
231
考えさせられました
職種や職業で、人を記号として扱うことの醜さ、傲慢さ、無責任さについて考えさせられました。 そこで働いている人たちをひとくくりにして、安易に批判することの愚かさも知りました。 学校教育やマスコミでつくら…れた偏見って、けっこう自分の中にもあると気づかされました。 あとがきを読むと、本当は2011年夏に発行予定だったそうですが、「3.11に触れないまま本を出すことはできない」という著者の意向を汲み、2012年夏に発行されたとのことです。 そんな著者の強い思いが込められ、書き下ろされた『あの日の松島』が、この物語に更なる感動を与えています。続きを読む
投稿日:2013.12.29
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53
空自広報室に勤務する主人公の話、面白かったです。
TVでドラマ化されたのは知っていたのですが観ることはありませんでした。 ですが、本を読むのが好きで、面白い本を探していて、ドラマ化されるような原作ならきっと面白いと思い購入してみました。 お値段が少々…高めだったのですが、十分楽しめたので満足しております。 事故によりブルーインパルスのパイロットになることができなかった主人公とTV局の記者からはずされディレクターとなったもう一人の主人公が新しい仕事に前向きに向き合う姿勢がとても共感できます。また、主人公が勤務する空自広報室の同僚たちが、個性豊かに書き分けられており楽しそうに働いている姿が良いですね。 ストーリーは、読んでいてときどき目頭が熱くなる内容でした。ドラマの再放送があれば見てみたいですね。素敵な本です。続きを読む
投稿日:2013.10.19
ma-mi
25
異なった側面から
よくある小説では自衛隊はヒーローのように描かれていたり、はたまた非難されていたり。 しかしこの小説では”広報室”にスポットライトがあてられ、 有川さんらしいタッチで優しく思いメッセージが届けられてきま…す。 そして笑いを絶やさないのがさすが! 前向きな気持ちと勇気をもらえます。続きを読む
投稿日:2013.12.31
moga
18
スカイよ!泣いてもいいんだぜ。
ドラマ(2013年放映:綾野剛・新垣結衣)を先に見ているのですが、ドラマ・原作共に大変よく出来ていると思います。ドラマは私が見た中で、初めて3.11の震災を扱った内容であったと記憶しています。その扱…いはただリアルな「悲しみ・苦しみ」だけでなく、自衛隊側からみたあの震災を、誇張しすぎずかつ不必要なドラマ仕立てもなく、とてもよいものと感じました。当本の別章「あの日の松島」がそれにあたります。 メインのストーリーは、航空自衛隊広報室のお話。有川様の2大得意分野「自衛隊」+「お仕事」の夢のコラボ?。 元パイロットの広報官、空井君の想いが発露するシーンが泣けますが、お涙頂戴になりすぎず、周辺も丁寧に描いてとてもバランスのよい出来です。その反面、平坦なイメージがするな・・・と思ってしまうのは読者の贅沢なのだろうとちょっと反省。 続きを読む
投稿日:2016.07.23
12
ドラマを見てから読みましたが
なかなか、面白かったですね。 ドラマの内容と多少違いがあるもののやはり、原作の方が良いに決まってますよね。 各パートのクライマックスで安室奈美恵さんの主題歌が頭の中で流れたりして(笑) 良い感じでした…。続きを読む
投稿日:2013.09.25
あっくん
11
有川浩による、自衛隊愛満載の長編!
ドラマ化もされたと思うが、そちらは未見である。 自衛隊の広報とは、そもそも自衛隊とは、という、知っていそうで一般の人があまりにも無頓着に知らなすぎることを軽妙なタッチで、かつ本質を鋭く突くセリフを織り…交ぜながら物語の進行に合わせて描いていく。そこには、悪意を持った人が読めば自衛隊礼賛だとか軍隊の美化だとかいいたくなるほど清廉で、こんなにも覚悟を持ち、それを誇示せず、しかし理解を深めてもらうために様々な努力をしている人たちが生き生きと描かれている。おそらく、実際にそうしたモデルとなった人がいるのだろうと思えるほどに。 物語はもらい事故によるけがで戦闘機に乗れなくなった空井を中心に、帝都テレビの稲葉リカ、広報室長鷺坂、あえて下士官として自衛隊広報に携わろうとする比嘉、比嘉に育てられ、同じ階級で競い合うことを夢見ていた片山、残念な美人・柚木とそれを見守る槙など、多彩な顔ぶれがそれぞれにそれぞれのキズを持ち、それを乗り越えていく姿を描いている。図書館戦争シリーズほど甘くないが、どこかに少女マンガチックな展開も忍ばせ、一方で自衛隊愛全開なところもしっかりと描いている。 ラストの「あの日の松島」はもはや涙なしには読めない。その当時、被災者である彼らが、自らを省みることなく被災地にて献身的にはたらく姿は、多くの美談として語られたが、実は彼らの本当に伝えて欲しかったことはそんなことではないのだ、という無私の姿勢に、つくづく自分たちの了見の狭さが情けなく思えてくる。 物語とはいえ、そこに描かれているのはヒーローでもなんでもなく、自分たちと同じ泣いたり笑ったり悩んだりしながらもがいている人間なのだという当たり前のことに、改めて気づかされた。続きを読む
投稿日:2014.01.09
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ちゃんさな
有川さんの自衛隊シリーズ。作者にしては珍しく恋愛要素は薄めで、お仕事小説より。 同タイトルでドラマ化されており、恋愛要素が好みの方はそちらの方がおすすめかもです。
投稿日:2024.04.07
papalonia
このレビューはネタバレを含みます
入院で暇だったので病院の売店でテキトーに選んだ(が、ホラーとかドロドロとかサスペンスではなさそうなやつを選んだ)ら、大変良かった。 あらすじの「不慮の事故で夢を絶たれた元・戦闘機パイロット」だけだと不穏要素あるけど、そのあとが「異動した先、航空幕僚監部広報室で待ち受けていたのは…」だから大丈夫だろうと判断した。 多少頭痛が残ってて読むのが大変だったが、爽やかな読後感。 自衛隊の広報課という、自分含む一般人は全く縁がなさそうな内容についてかなりリアルに書いたらしい小説。広報だけでも実際に何をやってるかよくわからんのに、更に自衛隊! ポスターがあったりイベントがあるんだから考えれば当たり前ではあるが、自衛隊に広報という概念があることにすら初めて気づいた。なんかこう、日々訓練とかしてる隊員の人々が頑張ってやってるのかと。 そういえば本では描かれていなかったが、後方支援であろう広報チームは訓練とかするものなのだろうか。主人公みたいに元パイロットとかであれば体は鍛えられているだろうが、少なくとも広報官としての仕事には訓練はなさそうだった。 本編では、自衛隊に対して悪意を持つテレビディレクターという、読者に向けても自衛隊とは、自衛隊広報室とは何かを説明するのにうってつけな人物への説明でも触れられているが、自衛隊は陸自海自空自という分類であり、陸軍海軍空軍ではないというのも、言われたら確かにそうだなとなる。軍隊ではないからなぁ。 更に、戦闘機を所有しているものの、自衛隊は専守防衛であるため、「戦闘機を実際に戦闘機として使いたい」がためにパイロットを目指している奴なんていない、というのも。 自分は別に自衛隊アンチでは全くなく、むしろ災害の時の救助の獅子奮迅っぷりとか、なのに雑に扱われているのとか見て応援している側ではあるが、かといって知識があるわけでは全然ないので、色々と勉強になった。 ただ、これが自衛隊への無理解を正すだけの小説だったらテレビドラマ化してなかっただろうし自分も楽しく読めていたかは怪しい。 タイトルの通り広報なので、話は広報の仕事がメイン。テレビ番組への営業について 「こっち側の思惑なんて、先方には何の意味も持ちません。意味があるのはテレビの企画として面白いかどうかだけです」 という、後方だけでなく意見を語ることについての当たり前だが大事なポイントが説明されたり。 テレビ局の時間のルーズさvs自衛隊の時間の守り方という、相性最悪のエピソードが多く紹介されたり。 主人公の空井がすごい勢いで成長していく素直な爽やかイケメンであり、たまに失敗したりもするがすぐ立ち直るので、500ページオーバーとなかなか分厚い小説ではあるがスルッと読めてしまう。空井以外も味のあるキャラクターが多くて良い。 特に鷺坂室長が、のらりくらりしている有能という、パトレイバーの後藤隊長感があり、脳内では完全にパトレイバーのメンツが広報している感じになってた。 また、小説の発売予定時期に311が起きたことで、リリースを延期してまで本編に関わる舞台となる松島のあの日について描いた番外編を追記したとのこと。 本編は割とあっさり終わっているので、後日談としても楽しめるが、でも本編と違って当然茶化す内容は皆無なため、温度差が激しくてひえーっとなった。
投稿日:2024.03.18
まる
有川浩の長編が面白くないわけないと思いつつ、今まで読んでいなかったのだけれど、とてもとても面白くて、そして恋愛の結末だけに終わらなくてとても良かった…。わたしが読み終わったのが昨日、3月11日の夜で。…少し運命的なものを感じて、全ての被災地に向けて黙祷しました。続きを読む
投稿日:2024.03.12
へびのルーカス
この小説がTBSでドラマ化されていなかったら、読もうと思っただろうか?航空自衛隊が舞台だと知ってためらうか、手に取らなかっただろう。それが偏見であること、自分の中に自衛隊への職業差別意識があるという…事実にぶん殴られる。 ドラマでは稲葉リカが主人公だったが、原作では基本的に空井大祐はじめ空幕広報室のメンバーの視点を中心に描かれている。作者の綿密な取材による、フィクションの形をとった実質ドキュメンタリーに近いリアルな物語だ。自衛隊の人たちだって私たちと変わらない、普通の人間なんだと強く訴えかけてくる。 それでいて”相互理解”などという堅苦しさはなく室長や部下たちの軽快な会話に引き込まれ、いつの間にかリカと一緒に広報室の魅力的な面々に親しみを覚えてゆく。 リカや空井のように、やりたい仕事を何らかの事情であきらめ、くじけることは誰にでもありうる。でも「なりたいものになれなくなっても、別の何かになれる」。「意思あるところに道は開ける」。前向きなエールに何度も励まされた。 皮肉なことに、この小説は東日本大震災による被害を受けた松島基地のエピソードを加えたことで完成をみた。加筆前の一旦物語が終わったところまでの読後感は「それなりに面白かった」だった。あんな災害、起きなければ良かったのにといつも思うけれど、松島基地で空井がリカに託した願いが自衛隊の人々の本心なのだ。 「ずっと見てます。稲葉さんの仕事を、ずっと見ています」。ドラマと違ってあくまで”お仕事小説”を貫く、でもリカと強い絆で結ばれた空井の最後のセリフに、自分も頑張ろうと思えた。続きを読む
投稿日:2024.03.11
くにちん
少し前にどなたかの評価が高かった阪急電車を読んで、有川さんのファンになり、次にこの作品を選びました。 自衛隊という環境以外は普通にあり得る職場の物語。 よくある話しなのに、こんなにおもしろおかしく書け…るのは天才ですね。 終始ほっこりなんですけど、本筋じゃないCM作成の所で涙が出て、最後まで心が和む系かと思っていたら、最終章で展開があるんです。 普段、あと書きは飛ばしがちですが、たまたま読んだら、納得でした。読めばわかります。 今までミステリー系が多く、時々感動ものを読む感じでしたが、癒し系、ありですね。 余談ですが、この本が良すぎて、完読したら喪失感が大きそうなので、次の有川作品をググったら、ありかわ ひろさん(女性)なんですね。 ひろしさんかと思ってました。失礼しました。続きを読む
投稿日:2024.03.01
きなこもち
不慮の事故でパイロット資格を失い、ブルーインパルスに乗る夢を断たれた空井が、航空幕僚監部広報室に配属され、広報官として成長していくお話。 著者が丁寧な取材を重ね、尚且つ実在の人物や実際のエピソードに…着想を得て書かれている部分も多くあるとのことで、小説というフィクション作品ではあるが非常にリアリティに溢れ、ノンフィクションに近い感覚で楽しめた。また、自衛隊/自衛官たちを「身近な人たち」に感じることができた。彼らへの感謝と尊敬の念を改めて強く感じる。 全体を通した主人公は空井と新人ディレクターのリサだが、クセの強い広報室の面々をメインとしたチャプターもあり、それぞれが様々な苦悩や葛藤、信念、想いをもって務められているということが理解できる。嬉しさ、楽しさ、悲しさ、悔しさ。何度も喉の奥が詰まり、まさに心揺さぶられる作品だった。特に「あの日の松島」は涙なしには読めない。 また、交渉術や根回し、謝罪対応など、仕事を円滑に行う上でも役に立つ内容が書かれているので、その部分でも非常に勉強になった。特に室長の鷺坂やベテラン比嘉は視野が広く、対応も柔軟でお手本にしたいと感じた。民間の感覚に最も近い部署というのもあるかもしれないが、民間での仕事とも何も変わらない。この部分でもやはり「自衛官も同じ人間である」ということを気づかせてくれるし、むしろこちらが学ぶ部分も多いと思う。そして、どんな仕事にも必ずその先には同じ「人間」がいることを忘れてはいけないと強く感じた。 近年は災害派遣が増え、バラエティー番組でも自衛隊が頻繁に特集されるなど、好意的な世論も高まりつつあるが、それでもやはり無理解で心無い言葉を投げかける人/団体がおり、「職業に貴賎なし」と言いながら自衛官だけは例外的に差別対象となっているのもまた事実である。この作品が、現場の隊員たちの理解につながり、リサのように無関心から変わる一助となることを願う。 それにしても、広報室に着目した著者もすごいが、この作品の執筆を持ち込んだ広報室は本当にやり手だなと思う。想定していた映像化も大成功し、空自の宣伝効果としては一体いくらになったんだろう。 自衛官の方々は「ヒーローにしてほしくない」とのことだが、少なくとも私にとってはやはりヒーローである。私たちが安心して日常を過ごすことができるのは、陰で支えてくれる隊員の方々がいてくださるから。今後も微力ながら応援させて頂きたい。続きを読む
投稿日:2024.02.20
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