【感想】新・戦争論 僕らのインテリジェンスの磨き方

池上彰, 佐藤優 / 文春新書
(142件のレビュー)

総合評価:

平均 3.9
26
57
33
5
0
  • 2014年刊行の書籍。読むなら今でしょ!

     「はじめに」を池上彰が、「おわりに」を佐藤優が担当する対談集です。対談だと二人の会話にこちらがついていけるかどうかが問題になりますが、その点は心配ありません。二人には共通認識であろう事柄も、我々にわかるように解説しつつ対談が進んでいきます。
     それぞれの漠とした分野ごとに対談というか二人で解説する形式で展開しますが、さすがに希代の論客らしく、その内容は示唆に富んでいます。たとえば、尖閣諸島の問題にしても、色々な本を読みましたけど、ここで佐藤優の示されたような視点は、私にとっては初めてでありましたし、さらに、問題の解決には、流血の規模がキーとなる。その流血の規模というのは、国によって異なるのだ、との指摘には、納得せざるを得ないモノがあります。樺美智子さんの例が象徴的でした。
     そして、お二人が紹介してくれたマルクスの言葉、「ヘーゲルは歴史は繰り返すといったが、そのとき一言付け加えるのを忘れていた。一回目は悲劇として、二回目は喜劇として。」
     ならば、そうならないためにはどうしたらよいのでしょうか?
     各分野とも、突っ込み不足の感はありますが、それは別のモノで自ら学べと言うことでしょう。
     タイトルは戦争論となっていますが、あまりこれにはこだわらなくても良いと思います。また、副題の「僕ら」というのはお二人のことを指していますが、さすがに、我々庶民がお二人の様な真似はできません。でも、大変な時代になってきたことだけは、理解できます。たぶん読んでみれば、現在ベストセラーになっている理由はわかります。
     また、文藝春秋2015年3月号(芥川賞掲載の号)には、イスラム国に特化して、お二人が「新・戦争論」を展開しています。イスラム原理主義者の下降史観や日本の当事者感欠如について対談しているモノですが、あわせてお読みになることをオススメします。
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    投稿日:2015.03.09

ブクログレビュー

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  • こーん

    こーん

    殺し足りないから戦争は終わらない。お互いが嫌になるまで犠牲が出ないと終わらない。

    イスラームの価値観が理解出来ないとイスラームと分り合うことは出来ない。

    毎日の情報収集について。偏らないために。


    2014年クリミア半島併合時の本だが、2022年現在のウクライナ戦争を理解するためにとても役立ちました。
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    投稿日:2022.12.31

  • ttomohiro

    ttomohiro

    当時の国際情勢を語る本だったが、自分の理解は全く及ばなかった。
    ヨーロッパや中東に関する知識が無さすぎるためだ。
    今一度勉強する機会を得ようと思った。

    投稿日:2022.10.30

  • 信三郎

    信三郎

    2014年11月に出版された当時の世界情勢についての池上彰氏と佐藤優氏の対談内容をまとめた新書です。

    2022年9月現在、ロシアによるウクライナへの侵攻が続く中、ロシアによるクリミア半島併合があった2014年当時のことを復習したくて読みました。

    「ウクライナ問題が解決しない理由は、まだ殺し足りないから。これ以上犠牲が出ることは嫌だとお互いが思わなければ、和解は成立しない。」という佐藤氏の発言が印象に残りました。

    先の見えない現在のウクライナ情勢。「犠牲(家族等の死)」が「領土(ナショナリズム)」に勝つには、もう少し時間がかかりそうな気がします。

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    投稿日:2022.09.26

  • なそ

    なそ

    興味のあった国際政治分野に関する新書。背景知識を必要とする箇所や自分の理解があまり深くまで行かなかった部分があったが、それはおそらくこの本は現代の国際問題を広く浅く理解しようという趣旨で書かれたものだからだと思う。言い換えれば現代の世界を取り巻く政治的な問題というのは簡潔に語ることなどできない複雑で深いものなのだ。だから今後は、この一冊を契機にもっと深くより根源的な理解を目指したい。そのために必要なことはテーマが絞られたある程度の専門性の高い本にチャレンジすることなのかなと思った。続きを読む

    投稿日:2021.12.22

  • あああら 1646886番目の読書家

    あああら 1646886番目の読書家

    このレビューはネタバレを含みます

    新・戦争論 僕らのインテリジェンスの磨き方 (文春新書)2014/11/20

    池上彰氏の見解が読めるのが本書の もっとも貴重な点
    2016年4月25日記述

    池上彰氏と佐藤優氏による対談本。

    対談本であるのである程度の基礎知識はないと興味が沸かないかもしれない。
    こういうどこどこの国はああだこうだという話が
    好きな人同士の会話のレベル高いバージョンという感じだ。

    普段わかりやすい解説に終始する池上彰氏の見解が読めるのが本書のもっとも貴重な点だろうか。

    本書内の北朝鮮、尖閣諸島に対する分析、対応策に関しては正直疑問もあったが・・
    ケソン工業団地は閉鎖になったし。
    日本人の大量帰還も起こっていない。
    特に尖閣諸島問題への佐藤優氏のウルトラC策である日本が連邦制を敷けば良いは
    まるで民主党が埋蔵金があると言っていた話に似ている。
    地方分権は進める必要はある。
    しかし我が国、日本は単なる二重行政解消を目的とした大阪都構想レベルでも実現できない程度の国なのだ。
    P191からの提言はもはや妄言、酔っぱらいの戯れ言である。

    気になった点、印象に残った点を列挙してみたい。

    イスラエルの無人機は米国製無人機プレデターやリーパーの10分の1の値段。
    それにアメリカ製よりも小回りがきく。
    イスラエル製は本人の頭を五寸釘で撃ちぬくような事が出来る。
    イスラム世界では爆破されて遺体がバラバラになるとその人間が死んだことを認めない文化がある為。

    2050年問題・・米国で白人人口が有色人種に人口数に抜かれる可能性。
    ⇒共和党が選挙に勝てなくなる。

    何かを分析するときは、信用できそうだと思う人の書いたものを読んで、
    基本的にその上に乗っかること。
    その上で、これは違うと思ったら乗っかる先を変える(佐藤優)

    予測や分析ということで、いろいろな人がいろいろなことを言っている発言を
    スクラップの形などで取っておいて、
    時間が経ってからその人が何を言っていたかを振り返る。
    間違いは誰でもあるけれども、見通しが外れたことを正直に申し訳ないと謝る人はかなり信用できる(池上彰)

    気になった記事のスクラップにスキャナーで記事をデジタル化してEvernoteで整理(佐藤優)

    レビューの続きを読む

    投稿日:2021.12.11

  • 雷竜

    雷竜

     池上彰が書いた新書は殆ど読んでいるのだが、メルカリでまとめて売っていたので買ったら既に持っていた。途中で既読感はあったのだが、最後まで読んだ。佐藤優との対話なのだが、やはりこの二人の話は面白い。
     2014年に書かれた本なので、オバマ大統領の教養が邪魔をして決断が遅い、次の大統領はヒラリー・クリントンだろうが、分断が進んでいるのでどうか…なんて書いてあるのが面白い。続きを読む

    投稿日:2021.02.28

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