【感想】非言語表現の威力 パフォーマンス学実践講義

佐藤綾子 / 講談社現代新書
(12件のレビュー)

総合評価:

平均 3.8
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  • コミュニケーションの効果を狙って、あえて間違った文法を使うのもあり!

    コミュニケーションにおいて、言葉だけでなく表情や仕草といった非言語の情報を受け取り判断するといった話はいろいろな書籍が出ており、根幹の部分では本著には目新しいものはありません。
    とはいっても、欧米で確立した学問が、言語も仕草や文化が異なる日本人にそのまま当てはめていいのか?
    そういう疑問をもった方には一読する価値はあります。なぜなら日本人を相手にした追試を行われた上で、執筆されているからです。

    また、オバマ大統領や安倍首相の演説やSTAP細胞で一躍有名になった小保方氏の謝罪記者会見の分析を行っています。特に、阿部首相は第1次と第2次の比較もしており科学的に分析しています
    1次とくらべて2次では格段に身振り手振りや表情の生かし方に磨きがかかており、また言語のほうも「より分かりやすい」言葉と文の構成となっています。なぜなら、コミュニケーションとは、相手に理解してもらうことが大前提なのですから。
    この辺は、「同じ内容」の話をする上で「相手」によって「単語」や箇条書きのように話す必要が出てくるということです。
    特に最近は「カタカナ」の一言で片付ける風潮がありますので、気をつける必要がありますね。

    さて、相手に納得させるには「分かりやすい言葉を使って」理解されることが大事なのですが、もう一つ大事なのが「相手の感情を逆なでない」ことも大切だと説いてます。
    相手の感情を損ねないなんて当たり前の話ではないか! と、怪訝に思う人もいるでしょうが、これは謝罪をする場面で多くの人がやってしまっている過ちではないでしょうか。

    それは、謝罪の言葉を発したあと申し開き(又は弁明)を行ってしまうことです。

    これは、かなりの方は身に覚えがあるのではないでしょうか。少なくとも私は、自分のミスの報告でこの手の失敗をやった覚えがあります。
    本著では小保方氏の謝罪を題材にして説明していますが、「謝罪の言葉のあと、直ぐに申し開きを行う」ことは、単純に「言い訳」にしか聞こえないということです。
    「申し開き」は、あくまで先方が「謝罪」を受け入れてから行うべきであると、著者は語っています。
    ここで、重要なのは「申し開き」を行うことが問題ではなく、「自分は悪くない」という態度だと思われ、「謝罪をしていない」と判断されてしまいます。

    また、「怒りの地雷」を避けるために、あえて間違った文法を使うことも推奨されています。

    例えば緊急の仕事を依頼された場合。

    「分かりました。しかし、この仕事の後に取りかかります。」
    「分かりました。そういうわけで、この仕事の後に取りかかります。」

    どちらも、緊急の仕事を直ぐに取りかからないのは同じですが、「しかし」を使った正しい文章の方が反感を持たれるそうです。
    なぜなら、「しかし」「だけど」「ただ」といった言葉は否定されたと、判断されるからだそうです。

    これは本当に有効なのか、変な日本語と突っ込まれないか、試すチャンスが訪れないのが、目下の悩みではあります。
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    投稿日:2016.06.04

ブクログレビュー

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  • masaki

    masaki

    相手を操作しない話し方、聴き方を調べて
    見た目から、声のトーンやテンポ、非言語が伝える相手のほとんどの情報だ。

    やっぱり、私が自分自身でサイトに文章を書いてみるものの、つまらなさを感じていました。

    やっぱりビジュアルから入る、そこに面白いかどうか、興味があるかどうかが最初に決まる。
    次に、言ってる事の正しさや内容の解釈が決まってくる。

    表現のフロントとしての入門、目次としてこの本は読んでいて逆引きリファレンス、レシピブックに近い感じがしました。

    演劇は知識がないけれど、例えや引用が丁寧で読みやすかったです。

    ありがとうございました。
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    投稿日:2020.02.20

  • gaaco

    gaaco

    「パフォーマンス学」の、日本における第一人者による本。
    ビジネス場面でのスピーチ、プレゼンなどにその知見を応用する、実用的な本のようだ。
    以前、同じレーベルから出ている『自分をどう表現するか』も読んだことがある(が、内容はいまいち覚えていない。)

    表現は言語表現と非言語表現に二分される。
    非言語的表現から環境や時間にかかわる要素を省くと、音声的要素(パラランゲージ)、動作的要素(キネシクス)、外見的要素に三分されるとのこと。
    この部分を自覚的にコントロールせよ、とのこと。
    第一印象はわずか2秒で決まり、それはその後も変更されないというデータもあるらしい。

    ただ、読んでいて、モヤモヤする本でもある。
    これがグローバルスタンダードだ、と言われると、そうかもしれないけれど、文化によるコミュニケーション様式の違いを悪く評価することになってしまう。
    一つの様式に塗り固めていくことが豊かな世界なのか、と、いささか感情的に反発したくなる。

    それから、すばらしいパフォーマンスの例としてよく言及される人の選び方も、気になる。
    オバマ前大統領は、誰しもスピーチの名手と認めるところ。
    が、安倍首相は、日々のニュースで、いろんなコンディションの談話を聞く機会が多いせいか、それほど演説上手とは思えない。
    本書でメインで取り上げたのはオリンピック招致のスピーチ。
    でも、それ以外のものも取り上げている。
    作りこまれたスピーチではあったけれど、それ以外はどうなの?というところ。
    だから、もしかすると、筆者は首相のスピーチのコーチをしているとか、何か個人的な関わりがあるんじゃないかと勘ぐってしまった。
    おかげで、内容があまり入ってこない(笑)。
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    投稿日:2019.06.29

  • 高松康平@スキルベース

    高松康平@スキルベース

    その場でのふるまいの良しあしは、キャラの話ではない。
    その場その場での役割認識に応じて、適切なパフォーマンスができるかが大切。

    自分自身を見る目。
    相手からどう見えるかという目。
    相手からどう見えるか、自分自身で第3者に見る目。

    キャラを変えるのではなく、パフォーマンス力をあげるということが大切。
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    投稿日:2018.09.16

  • m0913

    m0913

    高コンテキスト文化の日本人を指導する良い教科書

    アリストテレス 弁論術が引用
    安倍総理の演説、オバマの演説、ジョブズの演説を用いて解説してあるので分かりやすい。久々に聞いた南カルフォルニア大のメラビアンの法則を聞いた。
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    投稿日:2018.01.07

  • totssan

    totssan

     表現され得ない能力は、ないも同然、というきついフレーズに触発。注意しつつ通読。何というか難しい、と感じる。少しずつ試したい。

    投稿日:2017.10.25

  • 奇数屋タバエフ

    奇数屋タバエフ

    専門書の知見を本当に入門者向けにわかりやく書いた本であり、内容も非常に興味を感じた。いかなる機会もパフォーマンスの場として捉え直し、自らに関わる様々な活動や業務に置き直してみたい。

    投稿日:2016.01.13

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