【感想】翁長知事と沖縄メディア 「反日・親中」タッグの暴走

仲新城誠 / 産経新聞出版
(5件のレビュー)

総合評価:

平均 4.4
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  • 日本の報道は、戦争の危機に対して意図して無視をしている

     本著を読むと如何に正しい情報を入手するのが、大切であるのか。そして、自分の思い通りに事にするためには悪意をもって人を陥れようとする人間が正義の味方面をしている。そういう恐ろしさを垣間見ることができました。

     現在、尖閣諸島の領海は中国の海警による領海侵犯を受けていますが、尖閣諸島の目と鼻の先にある石垣島の住民にとっては既に生活が脅かされている現状があります。例えば、日本の領海内であるにも係わらず、漁船がまともに航海することができない。そして、漁船を海上保安庁が護衛すると、「過剰防衛」だと非難する勢力が日本にいるという事実があります。
     また、中国脅威論はいたずらに沖縄周辺の緊張を高める行為であり即刻やめるべきだと、元外交官の孫﨑享氏が筆頭に声を張り上げています。しかし、この考えは全くもっておかしな考えで、「中国脅威論」とは無縁におとなしく漁業を営んでいたのに、「領海侵犯」を繰り返して「緊張」を高めたのは、他ならぬ中華人民共和国側であることを完全に無視しています。
    米軍が沖縄県民に負担を強いるのは許さないが、中華人民共和国が沖縄県民に負担を強いるのは我慢しろ。これが、沖縄で反米・反日運動を行っている人間の本音であります。
     そして、中国脅威論の話で外してはいけないのが、尖閣諸島関連の話となります。中華人民共和国が尖閣を執拗に狙いだしたのは、尖閣を日本の国有化が原因であると思い込んでいませんか? そう思い込んでいたら、それは尖閣諸島のいざこざの原因を作ったのは、日本側だというプロパガンダにしてやられている証拠です。

     さて、本のタイトルにある沖縄メディアですが、主に「琉球新報」と「沖縄タイムス」を差しています。作家の百田尚樹氏がこの2紙を潰さなきゃいかん。と、発言し、百田氏を批判する2社とその2社を擁護する言論の戦いがおきました。
    著者の仲新城氏は、この言論の戦いにおいては公平なスタンスで見ていましたが、あることがきっかけで「言論を封殺」されかねない事態に陥ります。

     それは、米軍基地反対デモの取材にデモ側の陣営に恫喝を受けます。反基地派がキャンプ・シュウワブ周辺で違法駐車や交通妨害で住民が迷惑しているという記事を書いたことだけで、恨まれるとは著者も思ってもみなかったそうです。
    八重山日報が自衛隊や米軍に賛成とみるや「自衛隊や米軍基地を八重山へ持って行け、八重山日報が先頭に立ってキャンペーンを張れ」と言われたそうです。彼らのスローガンと明らかに矛盾した発言をする。結局のところ、反基地派が好んで使う「沖縄差別反対」とか「反戦平和」というフレーズは建前に過ぎず、本音は米軍や自衛隊を標的にした単なる反米、反日運動ではあり、日米両政府がやることに何でも反対するのが、彼らのメンタリティであります。

     上記では米軍基地反対の問題点を指摘した。では、基地賛成派の保守側ではどうなのか? 実は保守側にも問題点があると指摘する。
    その問題点とは、米軍基地を経済復興の道具と考えてしまっていることです。
    本来、基地が必要か必要かないかは、国防を絡めて考えなくてはならないはずが、それが保守側の政治家の頭から抜け落ちている。だから、選挙における争点が、国防からそれてしまっているのが実情です。

    最後に、石垣島出身の特攻隊員である、伊舎堂用久中佐の話をします。彼は沖縄戦の特攻第1号として戦死し「軍神」と呼ばれたそうです。そんな彼の顕彰碑が、2013年の終戦記念日である8月15日に地元の石垣島に建てられました。
    この顕彰碑の建立の意義は2つなんだそうです。
    「戦後教育の中で価値観が変わったからといって、今の価値観で特攻隊を断罪してはいけない」
    「新しい空港が開港し、空前の観光ブームに浮かれて、尖閣の危機に対して何処吹く風に対しての警鐘」

    特に、今の沖縄の子供に対しての平和の教育は、「戦争は絶対にしてはダメ」で終わっていて、「戦争については聞きたくもないし、考えたくもないという思考停止に陥った」子供の大量に生み出している状態になっています。これを憂いた石垣市の玉井教育長が、平和教育を見直しに関する発言をしたら、琉球新報と沖縄タイムスが社説で攻撃。教育の現場でも言論の自由が踏みにじられている現状があります。
    沖縄の教職員組合から脱退した仲村氏は沖縄の平和教育は「反日教育」だと断言しています。中国共産党が国内向けに行っている反日プロパガンダと質的に同一、国民に「思考停止」させるのは独裁国家の常套手段であると。
    「反日教育をやること自体が共産主義革命思想につながる。組合は教え子を革命の闘士に育成するようなことをやってきた。沖縄独立論も一緒」と仲村氏は危惧しています。
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    投稿日:2016.09.22

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  • quazism

    quazism

    石垣島の新聞記者が沖縄県民として中立な立場で執筆。沖縄タイムスと琉球新報は分が悪いようだ。中国寄りと思われてもしかたない。いずれにせよ単純に答えがでる問題ではないことは間違いないが、この新聞社2社がもう少し変わる必要があるだろう。続きを読む

    投稿日:2019.01.20

  • bqdqp016

    bqdqp016

    右翼新聞と呼ばれている八重山日報編集長が書いた、沖縄の話。翁長知事のこと、沖縄メディアのこと、沖縄における教育のことなど、客観的によく調査・分析し、論理的にわかりやすく述べていると思う。知らないことが多かった。本土では、過激派や左翼による活動が低調になってきているが、沖縄ではかなりの影響力をもっていることがわかる。著者のように、将来の沖縄や日本のことを真剣に考え、厳しい環境下でも積極的に行動している人を応援したい。
    「(辺野古移転賛成派に対し)「尖閣を守るためには、現時点では米軍の抑止力が必要だ。尖閣に近い沖縄本島に米軍がいることが、最大の抑止力になる」そう明言すれば、県内移設が必要な理由として、危険性の除去より、よっぽど説得力があったはずだ。少なくとも建前としては、それこそ米軍基地が県内でなくてはならない唯一最大の理由なのだから」p46
    「(中国公船の活動と反対派の抗議活動)両者に通底しているのは「口で分からないならこぶしで分からせる」というテロリストの論理である」p75
    「「沖縄が日本を守っている」という認識は、尖閣を抱える八重山に住む私達にとっては当然のことのように思える」p87
    「歴史的には、沖縄の人たちは沖縄戦を通じ、むしろ国や郷土を愛する心や勇猛果敢さを発揮した」p100
    「私が教員時代、小学5年生を担当した時に「国歌を書いて」と言ったら、書けた子は一人もいなかった。好きな国を聞いたら、日本を挙げた児童は約50人のうち3人しかいない。教育の影響力は大変だ、とつくづく思った」p275
    「(国土面積の0.6%にすぎない沖縄に、国内の米軍専用施設の73.8%が集中し、依然として過重な基地負担が県民生活や県の振興開発にさまざまな影響を与え続けている(翁長知事))何よりも願うのは、平和で、豊かで、自由な日本を50年後、100年後の次世代に引き継ぐことである。国土面積のわずか0.6%にすぎない沖縄であっても、その理想を実現するため、どの都道府県にも負けない大きな役割を果たすことができる。それは県民の誇りだ」p277
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    投稿日:2018.10.23

  • cronista

    cronista

     百田尚樹が琉球新報と沖縄タイムスを名指しで「つぶさなあかん!」と発言したことは、あきらかな暴言だと思うが、事実として県民のほとんどがこの2紙しか購読していない状況は問題だと思う。
     2紙とも安全保障問題、基地問題に関しては同じ立場だ。親中反米。この主張に反論しようとするメディアが沖縄にはほぼない。この2紙しかないから沖縄県民が親中反米なのか、親中反米の沖縄県民がこの2紙を支持しているから、この2紙の寡占状態のなのか、よくわからないが、異論が出てこようものなら封じ込める、叩きのめす土壌というのは健全じゃない。


     やっぱり朝日があって、読売があって、毎日や産経があって、社説を競っているような状態のほうが健全じゃないか。朝日しかない地域ってのも嫌だし、読売しかない地域も嫌だ。


     メディアの責任として、異なる意見を同列併記して、判断は県民に委ねるというのが正しい姿勢だと思う。2紙にはそれがない。県民を一方向へ誘導している。
     赤旗新聞なら、それでいい。党員が読むんだから偏っていて当たり前。新聞という名の広報紙だから。でも琉球新報と沖縄タイムスが赤旗と同じ編集方針ではいけないだろう。


     自分は「オール沖縄」と言って、県民の意見をひとくくりにするような知事の発言が、前々から気味悪く思っていた。あんなに大きな県で、県民の総意なんてものがそう簡単に醸成されるのはおかしい。もっといろんな意見が県民の中にもあるはずだと思う。


     この本の著者は八重山日報という、発行部数わずか6千部ほどの小さな新聞の編集長だ。
     八重山諸島は中国の軍事的な海洋進出の最前線にある。沖縄本島とはその危機意識がまるで違う。自衛隊もアメリカ軍も必要不可欠だと思っている。そして、ここも沖縄県の一部だ。離島は沖縄県じゃないと知事がいうなら筋は通るが、少なくとも「オール沖縄」に与しない県民がいることは確かだ。


     この本の発行元は産経新聞社なので、立ち位置は偏っているが、こういう主張が沖縄本島の中でも上がってこないと、県政はポピュリズムへとどんどん暴走してしまうと思う。

     
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    投稿日:2016.08.02

  • H

    改めて、「沖縄タイムス」と「琉球新報」はぶっ潰さないといけないことを確信した。間違いない。早く翁長知事を引摺り下ろさないと沖縄が、八重山諸島が、尖閣諸島が危ない。

    投稿日:2016.01.07

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