【感想】ファウンデーション

アイザック・アシモフ, 岡部宏之 / ハヤカワ文庫SF
(56件のレビュー)

総合評価:

平均 4.1
14
22
6
1
1
  • アシモフが描く未来叙事詩の傑作

    アシモフは、自分が規定した枠の中で如何にその枠を破って話を展開させるかを考えるのがうまい作家だ。例えば「ロボット三原則」。彼はロボットの行動規範を人間を傷つけない3つの基本原則にまとめたが「鋼鉄都市」ではこの三原則を回避して如何にロボットに殺人を行わせるのかに腐心している。本作もハリ・セルダンという稀代の人物を創造し「心理歴史学」という学問を登場させ帝国の未来を計算させるのだが、計算結果は帝国の崩壊とその後訪れる暗黒時代の到来を予測する。セルダンはその暗黒時代を短縮するために2つの「ファウンデーション」を設立するのだが・・・。物語はセルダンが予測していなかった不確定要素の出現と謎に包まれた「第二ファウンデーション」の暗躍により彼が予測した未来とは違った方向へと進み出す・・・・。

    この物語は2つの楽しみ方ができる。1つは心理歴史学の予測が当たっているのか、間違っているのかというある種セルダン頑張れ的な楽しみ方。もう1つは「第二ファウンデーション」とは何者でどこにあるのか?という犯人探しのような楽しみ方だ。この2つが両輪となって話を牽引するので歴史書のような静的なストーリーなのに面白くてどんどん読めてしまう。キャラ小説ではありませんが、世界史好き、銀英伝好きならオススメです。

    前三部作で一旦は完結していたのですが、セルダンの半生やファウンデーション誕生などの前日譚が後に追加され、アシモフのもう1つの代表シリーズである「ロボット」物とも繋がるエピソードが描かれているので本作が気に入ったなら当分楽しめます。
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    投稿日:2014.09.05

  • 海外SF最重要作品の一つ

    クラーク、ハインラインとあわせて三大SF作家の一人アシモフの代表作。
    心理歴史学者ハリ・セルダンは銀河帝国の崩壊とそれにつづく3万年の暗黒時代を予言。第2帝国ができるまでの期間を1000年に短縮するため、2つのファウンデーションを設立した。
    第一部は第一ファウンデーションの話。科学者の集まりで、何の軍事力を持たないファウンデーションが周辺の星々を支配していく過程を描く。
    ファウンデーションに数十年ごとに訪れる危機。決して容易に対応できるようには思えない故に危機なのだが、それぞれの危機に対する唯一正しい選択をすることにより見事に危機を回避していく。英雄の登場を期待するのではなく、歴史的、必然的にそのような経過をたどっていくのである。

    ファウンデーションシリーズは1950年代に三部作としてまとめられたが、その後1982年以降に続編が書かれることになった。
    初期の三部作は、第二部、第三部と巻を追うごとに確実におもしろくなるので、是非まとめて読んでほしい。
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    投稿日:2015.04.15

  • 科学者は現場に行く

    まずこの小説は古い発想の科学小説である、ということだ。これは古典SFなのだが、歴史がもつ重層性を取り込んでいる。しかし、一般に科学はそこまでは大局的には物事を説明をしようとは試みない。つまりマンホールの修理や橋の修理に悩むのが科学者や工学者であり、たとえば現場作業者並みしか権限はない。したがって、ハリ=セルダンのような科学者はすでに皆無に近い。科学知識できちんと基礎から説明できる現象は現象や法則のうちおそらく1%程度なのだ。 また科学者や心理学者などがときに自身の科学知識(イノベーション)を過信し、政策などに関与し、決定的に間違える場合も多々あるのだ。続きを読む

    投稿日:2020.11.25

ブクログレビュー

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  • itachi23号

    itachi23号

    人類史に重ね合わさるストーリーのスケールとSF要素としての技術描写の興味深さが合わさり、子供から大人まで幅広く色々な観点から楽しめる作品。
    「心理歴史学」2020年代の技術を持ってしても、まだまだ実現は難しいかもしれないが、近しい理論や方法論が見つかるのではとワクワクしつつも、もし本当に実現されれば、それはそれで気味が悪いだろう。続きを読む

    投稿日:2024.01.06

  • 司書KODOMOブックリスト(注:「司書になるため勉強中」のアカウントです)

    司書KODOMOブックリスト(注:「司書になるため勉強中」のアカウントです)

    「第一銀河帝国は崩壊しつつあった。だが、その事実を完全に理解している人間は、帝国の生んだ最後の天才科学者のハリ・セルダンただ一人であった! 彼は来たるべき暗黒時代にそなえ、第二帝国樹立のためのファウンデーションを設立したのだが……巨匠が壮大なスケールで描く宇宙叙事詩!」続きを読む

    投稿日:2023.12.01

  • TaHi

    TaHi

    アイザック・アシモフ「ファウンデーション」読了。壮大で緻密に設計されたSFに心底引き込まれた。1940年代の作品で宇宙をここまで表現できた事に驚いた。ギボンのローマ帝国衰亡史をモチーフにした群像劇でハーディン等登場人物達の生々しい駆け引きが素晴らしかった。続きを読みたいので創元社版かな続きを読む

    投稿日:2023.10.12

  • :*:♪・゜’☆…((φ(‘ー’*)

    :*:♪・゜’☆…((φ(‘ー’*)

    何人かのSF作家が絶賛していたので気になっていたファウンデーションシリーズ、案の定入院中読書でガッツリはまる。1942年の著作なのに三体的世界観バリバリ。ミクロの決死隊の著者でもあったのね。先に結論を予感させる記述がちらっとあり、その後詳細に展開される書き方が論文っぽくて好き。今後重要になるだろう「数学者ハリ・セルダン」の部分はずいぶんとあっけなく展開したが、おそらく何度かここを読み返すことになるんだろうなあという予感が残った。続きを読む

    投稿日:2023.04.19

  • kentarou

    kentarou

    中学生のころはまり、数学・心理学・統計学の専門家になりたいと進路をまじめに考えたことを思い出す。
    全編読んだあとに再読すると隠された謎など考えながら読めて改めて面白い。

    投稿日:2022.07.21

  • まるまるまるこ

    まるまるまるこ

    昔のSF
    心理歴史学者が銀河帝国の滅亡を予言することから始まる。
    ハリ・セルダンの先見の明がすごい。
    人と時がどんどん変わっていく、昔の翻訳だからかなー、少し読みづらかった。
    心理歴史学の内容がおもしろかった。実際にこんな学問があったらおもしろいのに!続きを読む

    投稿日:2022.06.12

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