【感想】イランとアメリカ

高橋和夫 / 朝日新書
(4件のレビュー)

総合評価:

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  • 中東の歴史を知ろう

    放送大学という通信教育機関の教授の著作である。この方面では、著名な方で、IS(イスラム国)に日本人が捕らわれた時には、よくテレビでお目にかかった。
    イランとアメリカの確執がなぜおきたのか、今後どうなっていくか、どうすべきか書かれている。しかしながら、その内容はすぐに理解できるというものではない。
    我々は中東の歴史を知らなさすぎるために、理解できない点が多いからだ。
    そこで、お勧めしたいのは、放送大学の講義を見るということ。BSがあれば、無料で放送が視聴できる。
    この方の講義であれば、「国際理解のために('13)」「現代の国際政治('13)」がおすすめ。書店で注文すれば、教科書も手に入る(電子書籍は残念ながらありま
    せん)。通史を知るのであれば、同じ大学の講義で「イスラーム世界の歴史的展開('11)」もおすすめ。(講義は大体4年ごとに更新されるので、講義名の後の開
    講年度の表記から4年後には別の講義名になっているかもしれません)。

    これらを読んだり、見たりすると、中東アジアの国々がそれなりに巧く折り合いながら行ってきた政治が、欧米露の列強によっていかに無残に扱われてきたのか
    ということに愕然とします。また、中東政治の新聞記事を読み、自分で判断することができるようになります。

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    投稿日:2015.02.18

ブクログレビュー

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  • kalitan

    kalitan

    イランに起こった数々の出来事の裏側や繋がりを知るのに良い本だった。それにしてもアメリカという国の手前勝手さを改めて思い知らされ、読んでいて胸が悪くなった。トランプのひどいところは悪びれないという一事であって、それまでの政権は正義ぶって欺瞞にみちていた。ある意味トランプの登場で真実が明らかになったといえるのか。
    ちなみに本書は2013年発行でトランプは出てこない。
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    投稿日:2019.07.01

  • ルー

    ルー

     最近の情勢を扱った前半もいいけれど、第4章から先の、イランの歴史をたどるところが非常におもしろかった。
     イラン人の祖先は、紀元前七世紀に歴史に姿を現し、メディア王国に服属していた。のちに指導者キュロスのもとに立ち上がり、オリエント全域を支配するアケメネス朝ペルシア帝国を建設。紀元前539年、バビロン攻略。紀元前330年、アレキサンダー大王に屈するも、これをきっかけにヘレニズム文明が花開くことになる。再びパルチア、ササン朝ペルシア帝国を立ち上げたが、今度はイスラム教を奉じるアラブに侵略を許す。イスラム教を受け入れたペルシア人たちは言語を手放すことはなかった。ペルシア語はアラビア文字で記述されるが、アラビア語とは別系統……中国語と日本語のような関係だと著者は記している。ついでにいえば、「イラン」という国名は「アーリア人」から来ている……つまり、イラン人はアラブではなく、ヨーロッパ人と根っこは同一というのだ。『千夜一夜物語』は、武力を持つアラブ人(王)と文明を誇るペルシア人(物語をとく女性)の関係を反映しているのだそうだ。
     こうした輝かしい歴史から、イラン人は自分たちを「世界の中心」だと認識しており、もうひとつたびたびの侵略から非常に「被害者意識」が強く、外国に対して猜疑心をもっているのだと著者は説明する。
     近代にいたり、イギリス対ロシアのグレートゲームで、ロシアの防波堤としてイランは使われる。イギリスに搾取されるがままのイランは、第三国としてのアメリカに大いに期待するが、アメリカはイランを冷たくあしらう。モサデク政権下、イギリスの資本による石油資産を国有化したイランだったが、石油がほしいアメリカはモサデクをクーデターによって倒し、親米のシャーによる独裁をイランに押しつけた。アメリカはシャーを傀儡としてイランを支配した。
     腐敗しきったシャーを倒したのが、ホメイニ率いる革命勢力だった。革命勢力はアメリカ大使館を占拠、その非常事態下において憲法改正に成功、宗教指導者による国家統治を正当化する。人質事件により国際的に孤立したイランに、イラク軍が軍事侵攻。イラン・イラク戦争が開戦する。戦局は当初イラクに傾くも、イランが押し返す。しかし、アメリカの武器支援により、イラクも息を吹き返す。ようやくイラン・イラクが停戦したのち、イランというたがが外れ、軍事的な優位を得て調子に乗ったイラクがクエートに侵攻して湾岸戦争が勃発……。
     その後も、イランはアメリカに接近しては手ひどくしっぺがえしを食うという歴史を繰り返す。本書を読むと、イランのアメリカに対する態度も、むべなるかなという気になってしまう。中東情勢は「複雑」と言われるが、それをひっちゃかめっちゃかにしてきたのがアメリカだということも理解できた。
     読みやすくて、頭に入りやすい文章で、たいそうおもしろくイランの歴史、イランとアラブの関係、イランとアメリカの複雑な関係を理解できる。良書です。
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    投稿日:2013.08.04

  • H.Sato

    H.Sato

    イラン人はアメリカが大好きだった。
    かつて日本とイランはビザが不要だったから、たくさんのイラン人が来て、彼らは日本を経由してアメリカのビザが欲しかった。

    投稿日:2013.04.19

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