【感想】ファスト&スロー (下)

ダニエル・カーネマン, 村井章子 / ハヤカワ・ノンフィクション
(47件のレビュー)

総合評価:

平均 4.3
22
12
8
0
0
  • 後半もやはり紹介しきれない

    プロスペクト理論
    問題1 あなたはどちらを選びますか? 
    確実に九〇〇ドルもらえる。  
    または九〇%の確率で一〇〇〇ドルもらえる。
    問題2 あなたはどちらを選びますか?  
    確実に九〇〇ドル失う。  
    または九〇%の確率で一〇〇〇ドル失う。
    問題3 あなたは現在の富に上乗せして一〇〇〇ドルもらったうえで、次のどちらかを選ぶように言われました。     
    五〇%の確率で一〇〇〇ドルもらう、または確実に五〇〇ドルもらう。
    問題4 あなたは現在の富に上乗せして二〇〇〇ドルもらったうえで、次のどちらかを選ぶように言われました。     
    五〇%の確率で一〇〇〇ドル失う、または確実に五〇〇ドル失う。
    問題3と4は選択の前後の状態は同じだが、最初にもらえる額が参照点として折り込まれるので損得に関わる感情が選択に影響する。

    損失回避は、二つの動機の相対的な強さを表すと言うこともできる。すなわち、利得を手に入れようという動機よりも、損失を避けようとする動機のほうが強いのである。このとき損得の参照点は現状であることが多いが、ときには将来の目標が参照点になることもある。

    A 六一%の確率で五二万ドルもらえる、または、六三%の確率で五〇万ドルもらえる。 
    B 九八%の確率で五二万ドルもらえる、または、一〇〇%の確率で五〇万ドルもらえる。
    期待値はどちらも先の選択が高いが、問題Bは確実にもらえる事から多くの人が100%を選ぶ。ノーベル賞経済学者も同じだった。ー
    また、多くの人が得をする場面ではリスク回避的に、損をする場面ではリスク追求的になることが知られている。

    サンクコストの呪縛(元の題は錯誤だが、呪縛の方が感じが出る)
    ある会社があるプロジェクトにすでに五〇〇〇万ドル注ぎ込んでいるとしよう。このプロジェクトは計画通りに進んでおらず、最終的なリターンも当初予想されたほどには大きくないことがわかってきた。このプロジェクトを進行させるには、あと六〇〇〇万ドルの追加投資が必要である。しかしその一方で、その六〇〇〇万ドルを新規プロジェクトに投じるという案もある。こちらのほうが予想リターンははるかに大きい。さあ、この会社はどうするべきか。
    続きを読む

    投稿日:2014.01.01

ブクログレビュー

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  • モニ

    モニ

    読みやすいけど、腑に落ちる感覚があまりない。

    人間の思考について書かれているが、応用先が思いつかなかった。

    上下巻共に読むのに時間をかけすぎた。
    一気に読破すると見えてくるものがあるかもしれない。

    とりあえず寝かせて、数年後にでも戻ってきたい。
    続きを読む

    投稿日:2023.04.11

  • arasanta

    arasanta

    人間の認知選択の特性はこの本を読んでおけば事足りるのではないかと思えるくらい網羅的に書かれている。
    プロスペクト理論により選択を間違えることはかなり多そうなので、計算に基づいた選択をするように心がけていこう。続きを読む

    投稿日:2022.09.05

  • pillo515

    pillo515

    このレビューはネタバレを含みます

    直感的に働くシステム1と、熟考するシステム2という人間の意思決定について書かれた本。直感であっても、プロが下すものや長年の経験があれば正しく判断できたりするなど、システム1も侮れない。
    より広いフレームで考えること、なるべく多くの選択肢を比較して決定することが大事。そうでないと「見たものがすべて」になり、狭い選択肢で判断してしまうことになる。
    本書でプロスペクト理論と確率決定加重の、行動経済学にこける2つの重要な考えが出てくるので、是非読んでいただきたい。

    レビューの続きを読む

    投稿日:2020.07.24

  • velikiy99

    velikiy99

    下巻は本丸であるプロスペクト理論の解説に入る.人間の脳の統計や確率に対する取扱いとして,利益と損失では損失がより大きく評価される,また「ない」と「ほとんどない」・「ある」と「ほとんどある」の違いに敏感な一方,確率そのものの値の差には鈍感であるなど,本質的に偏った重み付けをするようになっている.つまり脳は統計的処理に弱く,そこに上巻で説いたシステム1の働きとも相まって,これらが人間をエコンではなくヒューマンたらしめているとしている.そもそもエコンの合理性というのは,その後に何が起こるのかをすべて知っていることが前提である一方,実際に起こる事象は様々な理由から予測不可能である以上,常にエコンとして振る舞うことはできないという点からも,エコンの現実性は薄められると思うが,本書の内容はそういったものとは違うよう.合理的というのは即ち利益につながるということのはずなので,上下巻で挙げられたバイアスを把握し,とりわけ組織において互いの誤りを適切に修正できるようになれば,成功を収められる可能性が高まるということかと思われるが,特に統計的な話で,何を根拠としてよい情報だと判断するか,みたいな部分はあまり言及がなかったので,その辺りはまた別なものを学ぶ必要がありそう.本筋の話題とは若干ずれるが,「利他的な報復」が快感をもたらすという話が興味深かった.続きを読む

    投稿日:2018.12.27

  • dekadanna

    dekadanna

    上巻ではあまり感じなかったが、これは行動経済学の本であるとしっかり感じられる。システム1とシステム2をうまく使って従来の経済学の理論を行動、経済学が打ち破っていく様子を順々に解き明かしている。

    投稿日:2018.11.12

  • ichiro.mariners

    ichiro.mariners

    人間の直感とは、いかにいい加減かが良くわかる本。これを数理モデルにして、行動経済学という分野を切り開いて、ノーベル賞を受賞した人の著作だけあって、すごく説得力がある。これを理解しなければ、マーケッティングもできないだろうし、チームビルドもできないだろう。という意味で、すべてのビジネス・パーソンにお勧めしたい。続きを読む

    投稿日:2018.10.23

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