【感想】ABC殺人事件

アガサ・クリスティー, 堀内静子 / クリスティー文庫
(222件のレビュー)

総合評価:

平均 3.9
56
79
68
1
1
  • エルキュールがヘラクレスって意味だと知らなかったなぁ

    本作は予告殺人の話で、ABCと名乗る人物が犯人です。いくつかの都市を跨いだ連続殺人事件が起こります。
    アガサクリスティーの代表作の一つであり、シリーズ長編11作目です。ヘイスティングが再登場する作品でもあります。

    興味深いのは、被害者や容疑者の名前の由来やクリスチャンネームが検討材料としてでてきます。
    例えば、エルキュールはフランス語でヘラクレスという意味とか。
    あとは、ポアロシリーズにも多いと思いますが、私はクローズドサークルものをよく読むので、本作のような容疑者さえ最後の方まで定まらない作品には斬新さを感じました。
    ヘイスティングの手記という形で話が進んでいきますが、その中でも他の視点を挟んでいるところも面白いです。
    ポアロの推理の仕方も動機や人間性にこだわったもので、とてもポアロらしさが出ている作品だと思います。

    結末には驚きましたが、私にはアンフェアに感じてしまったので、☆3つにしました。
    大切な伏線を見逃しているのかもしれないですね・・・。
    アクロイド殺しとかの方が、ストーリーの面白さのために多少目をつぶるということがしやすいような・・・という感想です。
    皆さんはどう感じるか、注意深く読んでみてほしいです!
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    投稿日:2017.03.30

  • 驚くような結末

    これは凄い!
    今までにもアガサ・クリスティの作品の本やDVDをいろいろ
    観ていますが、この作品は秀逸です。
    最後の最後まで犯人がわからず、驚くような結末を迎えます。
    推理小説の見本とも言えるような名作ですね。
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    投稿日:2015.10.16

  • 理不尽な感じが全くない素晴らしい作品!

    連続殺人において一見無関係の被害者同士の共通項を探していくものをミッシング・リンク・テーマを総称してこう言います。(あとがき参照)
    そのミッシング・リンク・テーマの名作です。事件の最後の展開にものすごい驚かされ、かつそれに理不尽感が全くなく、非常に論理的ですごいよかったです。
    まだ読んでない人には絶対読んでほしい作品なのでぜひ読んでみて下さい。
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    投稿日:2014.10.26

  • アルファベット順で殺害していく意味は?

    アルファベット順で殺害されていくという異常な犯罪に挑むポワロ。灰色の脳細胞をフルに使い事件を見ていきますが、殺人は止まることなく続いていく。この事件のために、次のアルファベットの地域で、次のターゲットと成りうる人々は、安全や安心などは皆無です。一体犯人は何のためにこのような殺人をするのだろうか?

     殺害方法はもちろんですが、殺害をする動機がこれほど読者の想像を超えるものは無いのではないでしょうか。クリスティが「ミステリの女王」と言われるのも納得です。こんな小説普通の人には書けません。少しでも興味がある方は、読んではいかがでしょうか?ものすごく面白いです。
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    投稿日:2013.11.22

  • 久しぶりに

    高校の頃以来、久しぶりに読みました。
    一見無差別とも思われる連続殺人事件ですが、動機にこだわるポワロ。また被害者周辺の人物の描き方。
    今でも決して色あせない内容だと思います。
    ポワロシリーズをこれからも読みたくなる一作です。続きを読む

    投稿日:2014.02.11

  • ミッシングリンクものの歴史的名作

    30年ぶりの再読。小学生のときに、あかね書房の少年少女推理文学全集の「ABC怪事件」のタイトルで読んで以来。ミッシングリンクもの、という事だけ覚えていたので、今回のは再読というより初読に近いです。クリスティの黄金期に書かれただけあって、●●ネタとの複合もあり、現代日本でも十分通用するレベルの高さ。クイーンの1932年黄金期に匹敵すると思いました。っつうか俺クリスティ初心者じゃね? と猛省した次第です。先日書店で見つけた、霜月蒼『アガサ・クリスティー完全攻略』を読もうかしら。
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    投稿日:2014.06.11

ブクログレビュー

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  • chiakihirano

    chiakihirano

    ポアロシリーズ11作目。1936年の作品。
    原題はThe ABC Murders。

    中高生くらいのころに、アガサ・クリスティーの小説をとりあえず有名なのから読んでみようと『オリエント急行』、『アクロイド』、『ABC』と読んだので、どの出版社のどの訳かはおぼえてませんが読んだことはあります。
    でもそのころは構成がおもしろいと思ったもののストーリーにはとくにひかれなかった印象があります。今、読んでみると、なんだよ、やっぱりおもしろいじゃないかと思うんですが、まあ、中学生だったから。

    マシュー・プリチャードのまえがきにもあるように、屋敷の中など小さなコミュニティー内で起こる殺人事件が多いアガサ・クリスティー作品の中で、アルファベット順の連続殺人という『ABC殺人事件』はかなり特異な作品です。

    法月綸太郎の解説によるとこれは「ミッシング・リンク・テーマ」と呼ばれるパターンで、『ABC殺人事件』から「ABCパターン」とも呼ばれるそうです。

    「1990年代にブームになったシリアル・キラー小説にも影響を与えている」という解説を読んで、ああ、なるほど、構成だけみると現代的な推理小説っぽいという印象はそこからきているのかと思いました。ただ、これが狂気の殺人者による無差別殺人といったサイコ・スリラーでないところがアガサ・クリスティーのおもしろさ。

    224
    「死のまっただなかで、わたしたちは生きているんですよ、ヘイスティングズ……殺人はね、わたしがたびたび気づいたところによれば、縁結びには最適なんです」

    アンドーヴァー、ベクスヒル、チャーストン、ドンカスター、ABC順に出てくる地名をGoogleマップで検索しながら読みましたが、だいたいロンドンから2時間くらいの場所です。

    「デヴォンシャー・クリーム」というのが出てきて、なんだろう、このおいしそうな名前はと思ったら、クロテッドクリームをそえたスコーンのようです。クロテッドクリームの産地であるデボン州ではデヴォンシャー・クリーム、コーンウォール州ではコーニッシュクリームと呼ぶとか。

    今回はヘイスティングズ登場なのでふたりのかけあいがあるのも楽しかったです。

    229
    「つまらないことによく気がつく人ですね、あなたは、ポアロ。ほかの人の着ているものなんか、わたしはぜったいに気がつきませんよ」
    「あなたはヌーディスト・クラブにでも入ればいいんです」


    以下、引用。

    10
    アガサ・クリスティーの作品ではよくあることだが、巧みにおおい隠されているものの、プロットはテーマのヴァリエーションであり、似たような社会的出来事や、娘二人と青年一人からなる三角関係のようなよくある状況や、殺しのアリバイづくりに必要な相棒との関係といったものがその中心となる。

    18
    以前、エルキュール・ポアロがきわめて芝居がかった態度でおしえてくれたことがあるが、犯罪の副産物としてロマンスが生まれることがあるのだ。

    19
    ポアロはロンドンで、食事や清掃などのサービスがついた最新式のフラットにおさまっていた。とくにこのフラットを選んだのは、あくまでも幾何学的な外観と均整のためだろう、とわたしは避難がましくポアロに言った(彼はその事実を認めた)。
    「でも、この建物には左右対称のすばらしい心地よさがありますよ。そう思いませんか」

    25
    「その言葉を聞いたら誰だって、あなたがリッツ・ホテルでディナーを注文しているところだと思うでしょうね」
    「ところが犯罪は注文することができない? たしかに」

    33
    「この時代のありとあらゆる有名な事件にかかわっておられる。列車の殺人、航空機内の殺人、上流社会の殺人──」

    38
    「あるいは、もちろん」わたしは言った。「毒薬もある──だが、それには専門知識が必要だ。さもなければ、闇にこだまするリヴォルヴァーの銃声。それに、美人がひとりかふたり──」
    「栗色の髪のね」わが友人はつぶやいた。

    93
    「匿名の手紙というものは、男性よりも女性によって書かれることが多いのです。」

    104
    ポアロにたいする態度はやや慇懃無礼だった。若い者が年長者にたいするように一応は敬意を払っていたが──それがかなりわざとらしく、「パブリックスクール風」だった。

    106
    「そういうことではなく。そのう──きれいでしたか?」
    「それについては何も聞いていません」
    「あなたには重要に思えないのですね? でも、女性にとっては、いちばん重要なことなんですよ。そのことで、えてして女性の運命が決まるんです!」

    111
    もっぱらモーニング・コーヒーと五種類のティー(デヴォンシャー、ファームハウス、フルーツ、カールトン、プレーン)、それに婦人客用にスクランブル・エッグや小エビやマカロニ・グラタンなど、わずかばかりの軽い昼食を提供しているような店だった。

    125
    「死というものは、マドモワゼル、あいにく偏見をつくりだします。亡くなった人にたいして好意的な偏見です。」
    「若い娘が死ぬと、そういうふうに言われることになります。彼女は明るかった。彼女はしあわせだった。彼女は気だてがよかった。悩みなど何もなかった。好ましくない交友関係はなかった。死者にたいしては、つねにとても寛大な態度がとられるものなのです。」

    162
    「あなたには平衡感覚ってものがないんです、ヘイスティングズ。きまった時間よりも早く列車がでるわけじゃないんですよ。それに服をだめにしたって、殺人を防ぐ役には立ちません」

    187
    「おれは戦争が好きじゃない」青年は言った。
    カスト氏は青年のほうを向いた。
    「わたしだって疫病や眠り病や飢餓や癌が好きじゃありません……それでもそういうことはやっぱり起こるんです!」
    「戦争は防げるぜ」青年はきっぱりと言った。

    189
    彼は小さなテーブルにつき、ティーとデヴォンシャー・クリームを注文した……。

    199
    「干し草の山に針をさがすようなものであることは認めます──しかし干し草の山には針があるんです」

    224
    「わたしがイギリスではじめて手がけた事件を覚えていますか。わたしは愛しあっている二人を一緒にした──一人を殺人の咎で逮捕させるという単純な方法によって! それ以外の方法では成就しなかったでしょう! 死のまっただなかで、わたしたちは生きているんですよ、ヘイスティングズ……殺人はね、わたしがたびたび気づいたところによれば、縁結びには最適なんです」

    229
    「つまらないことによく気がつく人ですね、あなたは、ポアロ。ほかの人の着ているものなんか、わたしはぜったいに気がつきませんよ」
    「あなたはヌーディスト・クラブにでも入ればいいんです」

    349
    「あのカールトン・ティーは、ひどいしろものでしたな!」

    379
    「犯人は拘置所にいて、いずれブロードムーアに送られることは間違いありません。」
    続きを読む

    投稿日:2024.04.10

  • sapica0824

    sapica0824

    このレビューはネタバレを含みます

    昔アニメで観た記憶があったので今になって読んでみたら内容全然覚えていなかった、、、

    事件の接点がないように見えて最後にある意味全部繋がっていくのは面白かった。途中からカストが犯人である描写が描かれていたが、見事に裏切られました。

    レビューの続きを読む

    投稿日:2024.03.05

  • 菌類

    菌類

    色んな作品にオマージュされている言わずと知れた古典なので、トリックなどは知っていたけれどそれを踏まえてもとても面白く、続きが一気に読み込んでしまった。現代作品のようなリアリティはないけれど、この作品が出た時は衝撃的だったんだろうなと推察続きを読む

    投稿日:2024.02.25

  • またに

    またに

    最後の謎解きでやっぱり驚かされる。登場人物が多く横文字なので覚えられずスイスイ読み進められなかった。

    投稿日:2024.02.21

  • ユウキ

    ユウキ

    ある日ポアロに犯行予告の手紙が送られてくる。差出人は「ABC」。そして予告通りに怒った老女の殺人事件を始まりに、海辺で殺された若い女性、散歩中に撲殺された元医師の老人。3度も殺人を阻止できなかったポアロと警察だが、事件は想像を超える終結を迎える。
    個人的にはアガサ・クリスティ、ポアロシリーズの中で一番に驚かされた作品である。これから人に何か本を聞かれたら、まず間違いなく一番に紹介する作品となるだろう。
    続きを読む

    投稿日:2024.02.11

  • 肋骨臀部

    肋骨臀部

    このレビューはネタバレを含みます

    犯人っぽい人は犯人じゃないんだろうなと思っていたらやっぱり犯人じゃなかった。本命以外の数合わせで殺された被害者が不憫。連続殺人アイテムを作る合理性は流石で、コナン映画にもこんなんあったな、となった。動機が金とシンプルに酷い。

    レビューの続きを読む

    投稿日:2024.02.04

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