ジハーディ・ジョンの生涯
ロバート・バーカイク(著)
,国谷裕子(解説)
,野中香方子(訳)
/文藝春秋
作品情報
著者はかつて、当局にイスラム過激派と疑われたために職も婚約者も失ったと訴える、ムスリムの青年を取材したことがあった。クウェート難民としてロンドンで育ち、大学でITを学んだ礼儀正しい青年、ムハメド・エムワジは数年後、イスラム国の黒覆面の処刑人「ジハーディ・ジョン」となり、湯川遥菜さんや後藤健二さんらを斬首することになる。エムワジはなぜ、凶悪なテロリストになったのか。「ジョン」と会った唯一のジャーナリストによる決定的評伝。
彼の足跡を辿ると、欧米社会で育ったムスリムの若者たちが偏見や差別にさらされ、将来に絶望する日々のなかで過激思想に染まっていく状況が見えてくる。テロ対策の名のともにイスラム社会に行っている、抑圧や監視が若者たちの先鋭化につながり、ジハード戦士を生み出す土壌になっている、と著者は指摘する。ジハーディ・ジョンの替えは、いくらでもいるのだ。「クローズアップ現代」でキャスターを務めた、国谷裕子氏の渾身の解説も必読!
【目次】
序章 わたしは「ジョン」と会っていた
第一章 クウェートから来た少年
第二章 イスラム過激派のネットワーク
第三章 MI5とアフリカの角
第四章 素顔のエムワジ
第五章 監視対象
第六章 シリアへの道
第七章 世界を震撼させた斬首
第八章 テロリストの逆流
最終章 「ゼロ・トレランス」の罠
解説 『ジハーディ・ジョンの生涯』を読み、後藤健二さんを想う (国谷裕子)
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商品情報
- シリーズ
- ジハーディ・ジョンの生涯
- 著者
- ロバート・バーカイク, 国谷裕子, 野中香方子
- 出版社
- 文藝春秋
- 書籍発売日
- 2016.07.15
- Reader Store発売日
- 2016.07.15
- ファイルサイズ
- 1.3MB
- ページ数
- 352ページ
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この作品のレビュー
平均 4.4 (10件のレビュー)
-
中盤はだるくなって飛ばし読みしちゃったけど、どうして平凡な幸せを手に入れたいだけだったはずの人たちが、殺人に手を染め、他者を拷問するほどに先鋭化してしまうのかが怖くなる本だった。
日本でも、団塊の世…代の学生運動で人を焼き殺したり、仲間内で殺し合ったのも似たような心理状態だったのかな?
渋谷暴動事件も浅間山荘事件も理解できない。なぜあんな蛮行を?
当事者たちはイデオロギーがどうのこうのと言い募るかもしれないけれど、ただ単にサイコパスだったか、人間関係を含む異常な環境から抜け出せず人間性を見失ってしまったかという話なんじゃないのかな。
単なるサイコパスはそれほど多くはないはずだから、つまり異常な環境下で不安定な足場に立つ自分を見つけたら、その自分は案外簡単に他者を拷問したり殺したりしてしまうかもしれないと想像できてしまうのが恐ろしい。
少なくともロバート・バーカイクによるジハーディ・ジョンの物語からは、あるグループを排除するというやり方では、問題を解決できないどころか、新たな無数の問題を作り続けるはめになるとわかる。
ジハーディ・ジョンのしたことは、彼が過去に受けた不平等や差別的取扱いをもってしても許される余地のない恐ろしい
蛮行だ。同じ環境でもテロリストになんかならない人のほうが多いはずでしょ。
でも、イギリスの社会がもっと公正な場所だったなら、ジハーディ・ジョンのような短絡的なアホでも、誰も殺すことなく普通のロンドン市民として、今も生活していたかもしれない。
差別や排斥の問題は根深くて難しい。差別を受ける当事者が加害者になると、更に複雑になる。その恐ろしいまでの複雑さが現実だ。
読み飛ばしたとか最初に書いておいてこんなことを書くのもなんだけれど、現代を生きていて、この世の中がどうなっているのか考え続けたい人なら、この本は読む価値があると思う。
私はラストの章で登場したDr Jonathan Leader Maynardの記事か本か論文を読みたい。日本語訳が無さそう…ネットを見れば、多分英語で書かれた何かしらを見つけられるでしょう。がんばろう。続きを読む投稿日:2021.12.16
「安倍よ、お前が勝つ見込みのない戦争に参加するという無謀な
決断をしたために、この刃はケンジのみならず、いかなる場所に
おいても、引き続き日本国民を殺すだろう。つまり日本の悪夢が
始まるのだ」 …
2015年に日本人ジャーナリスト後藤健二氏を殺害したことを告げ、
インターネット上で公開されたイスラム国の動画の中で、黒装束
の処刑人は日本へ宣戦布告をした。
ジハーディ・ジョンと呼ばれた処刑人はこの動画を最後に公の場
から姿を消し、2015年11月12日にアメリカ軍のドローン攻撃によっ
て殺害された。
アメリカ人ジャーナリストのジェームズ・フォーリーから日本人2人の
殺害まで。常にイスラム国の動画に登場したジハーディ・ジョンとは
一体、何者であったのか。
イギリス訛りの英語を話す彼の本名はモハメド・エムワジ。イギリスで
教育を受けたクウェート移民の子だった。
ドローン攻撃による殺害後、著者はジハーディ・ジョンになる前のエム
ワジと会ったことがあることに気がつく。あのムスリムの青年が、世界
を震撼させた処刑人になっていたとは。
ひいきのサッカー・チームの選手になることを夢見た少年。信仰には
決して熱心ではなかったし、ムスリムとしての自覚を持ったのも遅かっ
た。そんなエムワジが、何故、イスラム国に参加することになったの
だろうか。
エムワジの周辺にはソマリアの過激派と繋がる者がいた。それが英国
の治安当局から目をつけられることになった。そうして始まった嫌がらせ。
証拠もなくテロリストの疑いをかけられ、治安当局のスパイになれとの
脅しをかけられる。海外旅行はことごとく妨害され、結婚さえも思うよう
に出来なくなる。
エムワジだけが特別だったのではない。何人、何十人ものイギリス在住
のムスリムの若者がテロの嫌疑をかけられ、似たような嫌がらせを受け
ていた。著者は彼らの話を聞き、当時在籍していた新聞にムスリムたち
の窮状を公表した。
一定の効果はあった。治安当局は自分たちの行いが公になったことで
嫌がらせは止まった。だったら、自分のケースも公表することで好転
するかもしれない。エムワジは一縷の望みをかけたのかもしれない。
著者に接触し、窮状を訴えた。
だが、タイミングが悪かった。著者が転職する時期と重なった為に、
エムワジのケースは紙面に載ることはなかった。
どの時点でエムワジが過激主義に染まったのかは分からない。もしか
したら、著者に接触した時点で一定程度の過激主義に感化されていた
のかもしれない。
それでも考えてしまう。もし、イギリス治安当局が執拗な嫌がらせをしな
ければエムワジは八方塞がりになることはなったのではないか…と。
確かに国内での監視を強めれば、過激主義に染まってシリアや周辺国へ
渡航する若者は減るかもしれない。だが、その分、国内で不満を蓄積し、
その国への憎しみを募らせる人々を増やすのではないか…と。
テロリストを育むのは、何も過激主義者たちのプロパガンダだけではない。
排外主義こそがテロリストの芽を育てるのではないだろうか。
エムワジは死んだ。けれども、第2、第3の「ジハーディ・ジョン」が誕生する
土壌は確実にあると思う。続きを読む投稿日:2017.08.23
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