イノサン 1
坂本眞一(著者)
/週刊ヤングジャンプ
作品情報
18世紀、「自由と平等」を望み、現代社会の出発点となったフランス革命。 その闇に生きたもう一人の主人公シャルル-アンリ・サンソン。彼は、パリで死刑執行人を務めるサンソン家四代目の当主。 その過酷な運命に気高く立ち向かった“純真”を描く、歴史大河の開幕──!!
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商品情報
- シリーズ
- イノサン
- 著者
- 坂本眞一
- 出版社
- 集英社
- 掲載誌・レーベル
- 週刊ヤングジャンプ
- 書籍発売日
- 2013.06.19
- Reader Store発売日
- 2014.05.15
- ファイルサイズ
- 42.2MB
- ページ数
- 210ページ
- シリーズ情報
- 既刊9巻
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この作品のレビュー
平均 4.0 (53件のレビュー)
-
もう一つのフランス革命
主人公のシャルルーアンリ・サンソンは有名な歴史上の人物であろう。
その名を知らなくとも、フランス革命期の死刑執行人で、ルイ16世や王妃マリー・アントワネット、ロベスピエールらを処刑した人物、といえば、…何らかのイメージを抱くのではないか。
では、具体的に死刑執行人とはどんな仕事をするのだろうか?
何故彼は死刑執行人になったのか?
どのようなことを感じて罪人を処刑していたのだろう?
実は、サンソン家はムッシュ・ド・パリと呼ばれる死刑執行を行う役人の地位を世襲している。
故に、主人公のシャルルは、選んだのではなく、家業として15歳で初めての処刑に臨む。
これが、この物語の始まりだ。
この物語は安達正勝 『死刑執行人サンソン ―国王ルイ十六世の首を刎ねた男』 (集英社新書)をベースにしている。
そして、安達氏が元にしているのは、シャルルの孫が書いたサンソン家の回想録などである。
死刑執行人というのはどこの国や時代にもいるが、サンソン家のように、当事者としての立場から記録を残している例は稀有で、多くの場合は、歴史の闇の部分として消えていったのだろう。
私も、上記新書でシャルルーアンリ・サンソンという人物を初めて知り、強く惹かれた。
職業への激しく理不尽な差別に苦しむ。
死刑制度廃止を願うが、それが叶わぬならせめて死刑囚の苦しみを減らそうと医学の研究にいそしむ。
敬愛する主君ルイ16世に出会うも、役人として王を処刑せねばならない運命。
安達氏の本でサンソン家の運命に強い関心を持ったにも関わらず、安達氏の描き方にどこか物足りない気がした。
安達氏は上記新書に限らず、物語的な描写をする。
しかし、サンソン家の負っているものが、文章に収まりきっていない感じがしたからだ。
だから、この漫画を読んだとき、「これだ」と思った。
1巻後半から2巻前半にかけて、15歳のシャルルの最初の処刑の仕事の場面だ。
彼の心理をどんな絵で表すのか、どんな言葉で表すのか、と思いながら読んでいったのだが、それは、絵でも言葉でもなく、漫画という媒体だからこそ可能な表現だった。
漫画にはコマがある。そのコマ割りが、こんな役割を果たすのか。
自分が死刑執行を見ているような、また、見られているような奇妙なリアリティ。
目眩と吐き気がしてきた。
死刑執行の場面を描いてすっきり爽やかなら、漫画家の力量か読者の感受性が、どちらかが欠如しているのだろう。
この耐えがたい感じは、表現として成功している。
血に塗れ、群衆から悪魔と罵られながらも、
「僕は無垢だ」
と涙を流すシャルルの表情は、本当にイノサン(無垢、純真)だ。
そりゃ、国家の正義を実行する役人なんだから、悪いことはしていない。
だが、目の前の惨状は…。
何故この子はこんな状況にあるのだろう?
何故、こんな状況にあってもこんなにも美しく悲しい涙を流すのだろう?
この、最初の処刑の場面を見ると、シャルルが死刑廃止を強く望んだこと、
しかし、自分の職務に対して誇りと責任感を持って生きたという、後半生のイメージとしっかりつながる。
作者はシャルルを美しく描く。
史実で美形設定は特になかったと思うが(笑)
それは、所謂耽美的なものと似ているが少し違う。
シャルルを美しくしているのは、職務に対する崇高とまで言える責任感であり、決して人の死や苦しみを自己の喜びとしない。
人の悲しみに涙を流すシャルルの姿が美しい。
もしかしたら、美しい人というのは、人のために涙を流すことのできる人なのでは、と思った。
そうした「美」の描き方に、好感を持てる。
現在7巻まで出ており、ぼちぼちルイ16世やマリー・アントワネットなども登場する。
彼らは、日本でも様々な歴史エンターテイメントの世界に登場するが、本作品での描写はまた新鮮なものがある。
シャルルの長い人生を思うと、この作品も長いものになるのではないかと思うが、
激動の時代の中で、シャルルがどのように「イノサン」であり続けることができるのか、続刊が楽しみである。
続きを読む投稿日:2015.02.28
-
圧倒的な美と狂気
圧倒的な作画能力で描かれる恐ろしく美しいマンガである。
そして恐ろしく残酷である。
それはルイ16世や王妃マリー・アントワネット、ロベスピエールらを処刑した人物シャルル=アンリ・サンソンという処刑…執行人を描き、処刑が残酷であることを指しているのではなく、
死刑執行人という生き方があまりに人間を残酷が環境に追いやってしまうということだ。
殺すことが生きること。
アンリはそれを受け入れられない。
処刑人の家であるがゆえに死神視され、避けられ続けてきた人生に、彼はネガティブで暗い人間になっている。
友情、愛情を感じた人間を自らの境遇が追い込み、
そしてその手で処刑を命じられる。
美と狂気は表裏一体か。
このマンガではどちらも同じ面に同居している。続きを読む投稿日:2015.06.15
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