白鯨 中
メルヴィル(著)
,八木敏雄(訳)
/岩波文庫
この作品のレビュー
平均 3.7 (16件のレビュー)
-
上巻
https://booklog.jp/item/1/4003230817
上巻の感想で「中巻では本格的に捕鯨がはじまるかな」とか書きましたが、
本格的に始まったのは作者メルヴィルによる鯨レポー…トだった(笑)
メルヴィル自身が捕鯨船に乗っていたこともあり、物語としても経験が元になっているのですが、それにしても鯨についての語りがこの中巻の半分を占めています。
そのため”私”という一人称は、ピークオッド号の唯一の生き残りイシュメールでもありしかし作者でもあり、二人が綯い交ぜになっているような感じになっています。
この鯨語りの目線が多岐に及んでいます。
鯨の種類、習性といった化学的(当時の)根拠を述べるもの。
そもそも旧約聖書の時代から現代の捕鯨に至るまで、人間は鯨とどのようにかかわってきてどのように捉えてきたのかを鯨の絵や鯨を使った生活用品や工芸品など、美術や伝承としての論点から語ったもの。
鯨の体の作りはどうなっているか、どうやって解体するか、鯨の食べ方(スタッブの焼き方拘りとうんざりするコックさんのエピソードがなかなか楽しい)、捕鯨で命を落とすのはどんな場合かなどというような作者メルヴィルの捕鯨船員としての体験からくるもの。
他の捕鯨船の話として、狂信者に精神的に乗っ取られた船、鯨に沈められた船のエピソードも語られます。
さて、私はあくまでも読書を”物語”として楽しむ…というか論文としては理解できない…のですが、
その私がこの鯨レポートを非常に楽しく読めました。
なにしろ鯨の体のつくりについては「鯨の口の中に入ってみると、右側には○○がありしばらく進むと△△に行きつき…」などと観光ガイドのようで、文学としても非常に楽しい。
最近は、楽しく読める科学生物本が増えているけれど、この「白鯨」も科学的には素人のはずのメルヴィルが作家として述べている事が実に生物本としても興味深いのです。
さらに白い鯨は恐れられているけれどそもそも人は゛白゛を怖れてきた歴史があり…、などと文学的考察を熱く語ったりしていて多角的な目線で語られています。
この小説の原題は「モービィ・ディック」ですが、日本語訳が゛はくげい゛となると語呂も良いし、ただ゛鯨゛というより゛白い鯨゛と言うことで迫力と特殊感が増しますね。
物語の舞台であるピークオッド号の話では、鯨を挙げたり、他の捕鯨船と行き合ったりしながら、エイハブ船長最大の目的である白鯨のモービィ・ディック追跡を続けます。
上巻序盤でイシュメールが「心の友!」となった気高き野蛮人クイークェグとの親しい関係は相変わらず。鯨を仕留めた後には「捕った鯨の上で解体するクイークェグと、私(イシュメール)は一本のベルトで繋がっていて、彼が海に沈んだりしたら私も命を共にする」とかいう作業をしています。。
この後このピークオッド号は沈没の悲劇に向かうはずですが…、いまのところ膨大な鯨薀蓄や鯨考察、多種多様な捕鯨者たちの物語にあまり悲劇性が感じられずただただ思ったより興味深く読みやすい、と感じているところ。(読みやすいからと言って理解しているわけではないかもですが)続きを読む投稿日:2019.07.29
読んでいる時の面白さは勿論として、読むことで知ったこと(知識)や感じたこと(感情)を記録し、纏めて整理するために考える(思考)、その過程や結果の記録として、記憶に残すためにこの文章(書評)を書いている…。そしてこれを書くことの意味を強く感じる。
この小説は鯨や鯨漁ついてあらゆる角度から分析されていてその知識量たるや膨大である。特にマッコウ鯨のことについて、餌としてのオキアミやダイオウイカのこと、頭から噴き出す噴水のこと、セミ鯨との比較、そして世界の海でどのように生息しているかなど、とにかく詳しく描写されている。鯨の生態学の本のようだ。あとはキリがないので省くことにする。
モビー・デックの独特の白さに迫るために、「白」に関する事をいろいろな観点から延々と描写することから、この中巻は始まる。とにかく説明が長い。
これ程丁寧に詳しく登場人物や対象、それらに関する事を描写する小説も珍しいが読んでいて余計なことを描いているとは感じない。片脚のエイハブ船長がピークオッド号で世界を航海しながら白鯨モビー・デックへの復讐戦を仕掛けるための舞台造りが着々と進行する、その期待感が増すばかりである。続きを読む投稿日:2023.09.13
新刊自動購入は、今後配信となるシリーズの最新刊を毎号自動的にお届けするサービスです。
- ・発売と同時にすぐにお手元のデバイスに追加!
- ・買い逃すことがありません!
- ・いつでも解約ができるから安心!
※新刊自動購入の対象となるコンテンツは、次回配信分からとなります。現在発売中の最新号を含め、既刊の号は含まれません。ご契約はページ右の「新刊自動購入を始める」からお手続きください。
※ご契約をいただくと、このシリーズのコンテンツを配信する都度、毎回決済となります。配信されるコンテンツによって発売日・金額が異なる場合があります。ご契約中は自動的に販売を継続します。
不定期に刊行される「増刊号」「特別号」等も、自動購入の対象に含まれますのでご了承ください。(シリーズ名が異なるものは対象となりません)
※再開の見込みの立たない休刊、廃刊、出版社やReader Store側の事由で契約を終了させていただくことがあります。
※My Sony IDを削除すると新刊自動購入は解約となります。
お支払方法:クレジットカードのみ
解約方法:マイページの「予約・新刊自動購入設定」より、随時解約可能です続巻自動購入は、今後配信となるシリーズの最新刊を毎号自動的にお届けするサービスです。
- ・発売と同時にすぐにお手元のデバイスに追加!
- ・買い逃すことがありません!
- ・いつでも解約ができるから安心!
- ・優待ポイントが2倍になるおトクなキャンペーン実施中!
※続巻自動購入の対象となるコンテンツは、次回配信分からとなります。現在発売中の最新巻を含め、既刊の巻は含まれません。ご契約はページ右の「続巻自動購入を始める」からお手続きください。
※ご契約をいただくと、このシリーズのコンテンツを配信する都度、毎回決済となります。配信されるコンテンツによって発売日・金額が異なる場合があります。ご契約中は自動的に販売を継続します。
不定期に刊行される特別号等も自動購入の対象に含まれる場合がありますのでご了承ください。(シリーズ名が異なるものは対象となりません)
※再開の見込みの立たない休刊、廃刊、出版社やReader Store側の事由で契約を終了させていただくことがあります。
※My Sony IDを削除すると続巻自動購入は解約となります。
お支払方法:クレジットカードのみ
解約方法:マイページの「予約自動購入設定」より、随時解約可能ですReader Store BOOK GIFT とは
ご家族、ご友人などに電子書籍をギフトとしてプレゼントすることができる機能です。
贈りたい本を「プレゼントする」のボタンからご購入頂き、お受け取り用のリンクをメールなどでお知らせするだけでOK!
ぜひお誕生日のお祝いや、おすすめしたい本をプレゼントしてみてください。※ギフトのお受け取り期限はご購入後6ヶ月となります。お受け取りされないまま期限を過ぎた場合、お受け取りや払い戻しはできませんのでご注意ください。
※お受け取りになる方がすでに同じ本をお持ちの場合でも払い戻しはできません。
※ギフトのお受け取りにはサインアップ(無料)が必要です。
※ご自身の本棚の本を贈ることはできません。
※ポイント、クーポンの利用はできません。クーポンコード登録
Reader Storeをご利用のお客様へ
ご利用ありがとうございます!
エラー(エラーコード: )
ご協力ありがとうございました
参考にさせていただきます。